あれとかこれとかそれ

盗撮は結構バレる

　されたことあります？　盗撮。

　わたしはねぇ、あるんですよ。

　わたしが高校生だった時分には、今よりも女子高生のスカート丈は短いものでした。

　わたしはその中でも、校内で2番目くらいに短くしていました。

　もう本当、パンツ見えないのが不思議なくらい。

　脚は若くて見せびらかせるときに出しておかなければ！　とかいう謎の主義主張を持っていたのです。

　ルーズソックスとかあったよねー、あれが廃れ始めたくらいの頃ですわ。

　世代がばれるな。

　その日わたしは学校終わりに本屋で立ち読みをしていました。

　『銀魂』のコミックスだった気がします。

　肩掛け鞄を持って、下向いて本棚に向かって立ってました。

　ふと脚にね、なにかがちょん、って触ったんだよね。

　膝の裏の、ちょっと上くらい。

　2回くらい当たって、「ん、なんや」と思って振り返ったら、後ろに明らかに不自然な体勢のお兄さんがいるんだよね。

　低めの中腰でわたしの斜め後ろにいて、そのお手てにはカメラがこちらに向いた携帯電話。

　お互い目を合わせて一瞬の間。

　そこからのお兄さんのスタートダッシュはあれ多分グラウンドだったら金メダル獲れるね。

　逃げんのめっちゃ速かった。

　なにが悔しかったってその日のパンツはあまり可愛いやつじゃなかったんですよ。

　パンツ見るならもうちょっと見せれるやつ穿いてるときにしなさいよね！！　ってのを、まず最初に思いましたね。

　憤慨。

　許さん。

　あとこれは多分ただの変態なんだけどねぇ、またしても本屋さんですわ。

　あ、別のとこよ。ちょっと大きな本屋さん。

　今度は旦那と一緒に行ったときだったんだけどね、わたしはまーた脚出した格好してまして、ベビーカーに赤子寝かして連れながらひとりで建築関係の雑誌を漁っていたんですよ。

　内装とかインテリアとか勉強しててね。

　もうねぇ、明らかにおかしいんだよそのお兄さんも！

　ワイシャツにスラックスで、イメージとしてはお仕事の合間に本屋さんに立ち寄ったみたいに見えるんだけど、もう見て分かるんだよ絶対違う。

　左手には腕時計、右手にはスマホ。

　それしか持ってない。

　どう見ても明らかだったからガッツリ観察したもんね。

　鞄も持ってない、財布も持ってない。

　スラックスのポケットもすっかすか。

　本を探すふりをしながらわたしの背後に立つ。

　場所を変えても不自然についてきて背後に立つ。

　だからわたしは本棚に対して横向きに立ちまして、お兄さんバレてますぜのつもりでそのお兄さんを視界に入れるようにしてみました。

　距離がほんのちょーっと離れたくらいで、本当ずーっと離れない。

　うっっっ……ざ！　と思ったので旦那を捜してゆっくりうろうろしてみると、分かってないからまだついてくる。

　旦那見つけたので「変態がいるわ」っつってお兄さん見たら、その瞬間それはもう競歩の選手だったら優勝できるわってくらい颯爽と、脇目も降らずに店から出ていきました。

　ああいう人たちって本当に逃げるの速いね。

　いやまあこっちも脚出してるからね、見るなとは言わないよ、好きに見てもらって構わないんだけどさあ、遠くから眺める程度にしてもらえないものかねぇ。

　わたしも綺麗なお姉さんの脚眺めるのすきだからまあ分かるよ。

　分かるけど不自然に近いと気持ち悪いし、なによりパンツは覗いたらあかん。