サイコパスらしい

 サイコパスらしいんですよねぇ、わたし。

 らしい、っちゅうのは、別にきちんとそう診断されたわけではなくて、周りのわたしへの評価と、度重ねたサイコパス診断なるものの結果故です。

 自分でも薄々そんな気はしていたんですよ。

 サイコパスと違ったとしても、実際ほんとちっこい頃からね、「おまえはなんて人の気持ちが分からないやつなんだ」とか、「なに考えてんのか分かんなくて怖い」とか、「なんて冷たいやつなんだ」とか、「きみはどうも人とは物の考え方が違う」とか、とにかくいろーんな人から何かにつけてとことん言われてきたのです。

 そんなつもりは全然なかったんだけど、大きくなってよくよく考えてみたらば、確かにそうかも。

 上手く説明できないんだけど、確かに自分の感覚が、自分の周りにいる人たちと違うのは明らかでした。

 「なんでそうなるの?」って、お互いが思ってるような状態というか。

 シビアというか、メリットのないことには興味がないんだろうなあって、自分で思ってます。

 だいたいのことが「どうでもいい」の枠に入っちゃう。

 客観が過ぎるというか、いつまでも同じ感情を持ち続けることができない。

 だから、いつまでも同じことで落ち込んでしまう人の感覚が分かんない。

 そしてそれをそのまんま伝えると、「おまえはなんて冷たいんだ」と、こうなるわけです。

 自分としては冷たいつもりはなくて、「だからどうする」みたいなほうに思考がシフトチェンジしてしまうので、わたしなりの思いやりのつもりなんだけど、それは誰にも伝わらないのです。

 昔はそういうのを、なにが悪いのか分からなくてどうしたらいいのかも分からなかったんだけど、「サイコパス」っていうものの存在を知ったときに、「ああー! わたしこれかあー!」と、なんかストンと納得したんですよねぇ。

 高校生の頃、図書館で心理学の本読み漁ってたときだったかなあ。

 あーこのはなしはまた別でするね。

 とにかくそれからというもの、携帯電話なるものが普及し始めてからなーんでも調べられるじゃないですか。

 サイコパスなるものを調べまくったし、世の中数多くあるサイコパス診断とかいうものも、目につく限りいろんなやつやってみたのです。

 あれお遊びみたいなもんと思ってるんだけど、やっぱ凄いなーって思うの。

 いろんな種類があるんですよ、サイコパス診断。

 絵を見て感覚を答えるやつとか、何十ある設問に答えるやつとか、イエスノーで数を足して数えるやつとか。

 どれひとつとしてね、否定されたことないのです。

 一番優しい表現で、「あなたはサイコパスの可能性があります」。

 明確だったのは、「あなたはサイコパスです」。

 わーお。


 そんで、わたしは本質が人と比べて冷酷であるらしい、ってことを理解したので、そのぶんあったかい人に憧れるのです。

 優しくて、穏やかで、おひさまみたいな人に憧れる。

 そうなりたいので、そうと受け取ってもらえるように考えています。

 物事の考え方とか、捉え方とか、話すときの言葉の選び方とか。いろいろ。

 擬態を重ねればそのうち本物になると思っているので、取り敢えず周りの素敵な人のことを模倣しました。

 何年も自分で訓練して、すごく自然にそういった思考ができるようになりました。

 だいたいの人が、「山田(仮)さんは優しい人」って、認識してくれています。

 ただね、やっぱり化けの皮みたい。

 親しくなっていくと段々評価が変わるのです。

 本質を見せてるんだろうね。

 旦那にも言われます、「おまえ冷たい」。

 義両親にも言われます、「どうにも考え方が合わないねぇ」。

 古い友人にも言われます、「あー、あんたそういう人だもんなあ。大丈夫分かってるから」。

 やはり擬態は擬態かなあ。

 まあそれを受け入れてもらえてるから、辛くはないけどね。

 なりたい自分になるのは努力が必要ですね。

 そのまんまの自分を受け入れてもらえることは勿論しあわせなことだし、わたしも正直そんな自分を嫌いではないので、いいっちゃいいんだよ。

 相手の対応によって、自分とその人との距離感が明確になるしね。

 でも、優しくなりたいなあ。

 違うな、優しい人だと、認識してもらえたら嬉しいなあ、だ。

 

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