第2話 尚「神かな?」
はぁ…最悪…
ジャン勝ちってなんだよ…
いつもジャンケン勝てない奴らの妬みじゃん
こんな時だけ一人勝ちって…悲しすぎでしょ
まじでやめて欲しいわぁ…
あ、どうも、次男の尚でーす★(真顔)
僕ってあんまり顔に出ないんだよねー、今みたいに。
一応これでも今年の春から高校で教師やってるからね。
僕みたいな頭やばいやつでもなれるよ(嘘)
頭ヤバいって頭悪いって意味じゃなくて頭イってるってことね。
あ、俺ら兄弟のことは割愛しまーす。
どうせこの前買いに行った時に耀渡が名前くらいは教えただろうし。
んで、駄菓子屋にアイスを買いに行ってるわけさ。
ホーンとめんどくさい。
先週よう(耀渡)がいけばいいのに。
おまけにはや(疾風)も。
てかほんとに今回はだーれも着いてきてくれないのね。
きゃー尚ちゃん泣いちゃう(裏声)
……
ちょっと流石にこんな炎天下で1人でこんなこと言ってるとまじで頭痛くなってくるからやめるわ。
ちなみに今の服装は紺色ボーダーのシャツに緩めのズボン、サンダル。
暑いからこれくらいの服装が1番だわぁ…
お、ささやま見えてきた。
『お客様へ
おじちゃんとおばちゃんは海外旅行に行ってきます。
探さないでください。
おじちゃん達はいつもみんなの心の中にいます。
駄菓子屋 ささやま』
………………………………………………
尚「……あいつなんも言ってなかったんだけど。一言いえよ」
…ん?LI○E来てる…
耀渡『なー(尚)、言い忘れたが、ささやま閉まってるから行くならコンビニいけよー』
[耀渡がスタンプを送信しました]
……………………………………………………
よし、八つ当たりしよう。
真顔であいつのスマホ奪って逃げよう。
それかアイス奪うか。
うん。それがいい。
尚「………はぁ…」
しょうがない…せっかくカメラ持ってきたし、アイツらのために写真でも撮りながらいくか…
…いや、暇だし、僕と疾風、3つ子の目の話でもしようかな。
これを読んでくれている人に僕らのこと少しでも知って欲しいからね。
次男の僕、尚と4つ子の弟である三男疾風は、生まれつき目の病気だった。
4つ子なのに、耀渡と裕哉は全く異常がなかったみたいだけど、多分僕らの眼球の養分あいつらに持ってかれてるよね。これは草はえますわ。
…ごめん、はえないね。これスルーね。うん。
さっき病気って言ったけど、病名とか症状とか、いまいち僕らも未だにわかっていない。
母さん達に聞けばよかったんだけど、あいにく父さんと母さん、今もう死んじゃってるからきくにもきけないんだよね。
忍(居候)も一夜(いとこ)も知らないって言ってたし。
ちなみに僕は右目、疾風は左目。
眼球を取り除いちゃってるから病気再発とかは今のところはない。
眼球取り除くくらいだから結構重い病気だよねー。
これのせいで少しはいじめられたよ。
手術のあとを隠すために眼帯してるんだけど、それが厨二病だー、嘘つきだー、ただのファッションだろ外せーだの、散々言われたよ。
これは他の生徒だけじゃなくて先生とかも言う人は言ってた。
まぁ、全く気にしてなかったけど。
今ももちろん眼帯してるよ?
学校行く時もね。
グロいよりはいいかなって。
…そうこう言ってるうちにオアシスが見えてきた…
神かな?
とまあ僕達の話はこれで終わりね。
いじめられたけど僕らは厨二病だけど何か?とかわざと縫った目とかを見せて解決させてやったぞい。
あ、やっとコンビニ着いた。
あ゛ー…涼しい…
…チャリが壊れてなけりゃ乗ってきたのに…
車出すのもめんどくさいしな…
あ、イチゴバーはっけーん。
あいつらは……なんか箱のアイスでいいか。
文句は言わせん。
あいつら教師のことなんもわかってない。
今日はホントに久々の休みなのにこんなことに休みを使わされて…
馬鹿じゃないの?
次の土日休みじゃないんだけど?
まぁ部活だから気楽でいいけどさ…
…しゃあない、ちゃんと買ってってあげるか…
尚君やっさしー
…出たくなかった…
なにこれ…アイスどころか僕ら人間も溶けるんじゃない?
てかもう僕溶けかけてるんだが?
??「あれ、尚兄?今度は尚兄がジャン負けしたの?珍しいねw」
尚「…玄冬」
末っ子の『玄冬』。
あだ名は『くろ』だったり『ろと』だったり…
尚「ジャン負けじゃなくてジャン勝ち。ふざけてるよ」
玄冬「何それwww」
今は学校指定のジャージを着て、でかいバックを背負ってチャリにまたがっている。
太陽光のせいで、玄冬の変わった色の目と、綺麗な金髪ががキラキラ光っていた。
そうそう、こいつも目のことでいじめられてる張本人。
多分今はいじめられてないと思うけど…
玄冬「…な、尚兄?汗そんなにじろじろ見て…俺の顔になんか着いてる…?」
尚「いやべっつにー
…てかなんで1人?蒼斗達は?」
玄冬「あーキャプテンと話してるよ。俺は宿題が終わってないからすず姉に帰ってやれって怒られた…汗」
尚「あらまぁ…あ、じゃあ一緒にかーえろ
聞きたいことあったの」
玄冬「何ー?」
尚「…最近、大丈夫?」
玄冬「…あー…」
下3つ子も目がおかしい状態で生まれてきたんだ。
僕らみたいに思い病気…って程じゃない…と思われる((((
正直こっちもわかってないのよ。
3つ子はいわゆるオッドアイ。
3つ子の1番上の『蒼斗』は右目が黄色、左目が青。
うちの家唯一の女子『菘』は右目がピンク、左目が黄色。
そして、こいつ『玄冬』は右目が青、左目がピンク。
これだけでもう結構凄いんだけど、末っ子がもう一個目立つ要因を持ってるのよね。
その要因ってのが、金髪。
もちろん染めた訳じゃなくて、小さい頃からずっと。
目のことも含め医者に聞いても原因不明だったらしい。
未だによく分かってない。
多分目の方は先天的な虹彩異色症だとは思うけど。
Goo○le先生に聞いた結果だけどね。
遺伝じゃないのは確か。
僕ら兄貴や両親、ましてや祖父母や叔父叔母にも外国の人はいない。
茶色の瞳してるし。
くろの髪のことはまぁ全くわからないけど3人の目はそんな感じ。
…あの反応、何かあったな…?
尚「兄ちゃんでよければ話してみんしゃい」
玄冬「…いや…大したことじゃないけど…」
尚「…またいじめられた?」
玄冬「いじめはないよ(苦笑)
…いやぁ…実はさ…」
尚「?」
玄冬「……はぁ…これ読んでみて」
差し出されたのは紙袋に大量に入った手紙。
その中身を歩きながら読むが、どれも「玄冬様、好きです!」や「バレンタインでチョコ作ります!」とか…
いやいつの話してんだ。まだ8月始まったばっかだよ。
玄冬「…あんまり表情に出さない尚兄がまじで嫌そうな顔を…www」
尚「…僕の場合出さないんじゃなくて出ないの。
よくこんなもらったね…まだ夏休みなのに」
玄冬「下駄箱にパンパンに詰まってました…」
尚「確か双子もそれでまいってなかった?」
双子というのは、両親の小学校からの親友である人達の子。
うちの隣に住んでおり、現在は家がつながっていてもうほとんど家族のようなもん。
双子の両親も、僕らの両親さが殺されたと同時に…ね…
その2人はめっちゃモテるらしく、高校入学当初から毎日のように一通は必ずラブレターを持って帰ってくる。
あ、ちなみに双子の下はすず(菘)と付き合ってるからもらっても迷惑そうな顔しかしてなくて笑えるんだけどね。
玄冬「そうだね…w毎回まいって帰ってきてるよねぇw
あいつやらこういうののな対処法とか知ってると思うけど…
もぉ〜!俺どうすりゃいのぉぉ!!」
玄冬は長男を真似したオールバックの髪に手をあてて叫んだ。
いや僕にそれを言われても。
なんでもとは言ったけどさ…
尚「…知らんけど本当に好きな子だけに返信すりゃいいじゃんない?」
玄冬「でも!せっかく手紙書いてくれたんだよ?何かお返ししなきゃ…」
尚「…(呆れた眼差し)」
玄冬「な、何その目…」
尚「お前は甘すぎる…そんなのほっときゃいいの。せめてバレンタインもらったら返しな」
玄冬「で、でも…」
尚「気があると思われるのも嫌でしょ?だったら無視が1番」
玄冬「…そうなのかなぁ…」
ま、知らんけど(((((((
だって僕恋愛経験ないし。
そういうのは僕じゃなくてゆう(裕哉)に聞くべきだ。
…あいつが恋愛経験あるか知らんけど((((
家に着くと、蒼斗と菘、双子の成実(なみ)と凜空(りく)が家に帰ってきたタイミングだった。
あの後こいつらの先輩に付き合わされて走り込みをしてたらしく、走ってた蒼斗、成実、凜空はもちろん疲れきってたが、マネであるすず(菘)も結構疲れきってた。
そのあと僕が耀渡のスマホを奪って走り去ったのは言うまでもない。
散々追いかけられて2人してバテてたけどね。
唐突だけど、僕はこの家族を支えなきゃ行けないと思ってる。
もちろん僕は次男だから、色々仕切るのは長男である耀渡にはなるけど、それを、支えなきゃ行けないと思ってる。
長男はしっかりしてるように見えて、飲み込みが遅いし、なんでも抱え込む。
三男は明るく振舞ってるけど、あいつも抱え込むし、無理してるだろうし。
四男は四男で上3人を見ながら下6人も見なきゃ行けないから、自分のストレスためまくりだろうし。
…何だこの兄弟、溜め込みすぎじゃん。
僕がしっかりしなきゃいけないんだ。
弱音なんか言えるか。
だから、僕は願う。
母さんたちを失う以上の悲しみがこれから無くなるように…
尚「…幸せに…何事もなく生きたいな…(小声)」
玄冬「?尚兄?なんか言った?」
尚「…玄冬君、もしかして幻聴が聞こえるまで抱え込んでる…?」
玄冬「そこまで抱え込んでないから!!」
こうやって、いつまでも笑顔でいられますように____
おまけ
耀渡「おん…?この前の仕返しか…?ゼエゼエ…」
尚「さぁねーゼエゼエ…」
裕哉「てめえら家で走り回んな!子供か!!」
疾風「やったー!イチゴバー!2本あるけど尚のー?」
尚「……そう…ゼエゼエ…」
蒼斗「早くしないと尚兄達の貰っちゃうよ?w溶けるしw」
耀/尚「いくら蒼斗でも許さないからな?/ね?」
蒼斗「怖い!(´;ω;`)」
成実「アイスのことになると反応早いな」
【続くとしたら次は『疾風編』】
俺と弟とアイス、猫も少々。 空彩★ @sorairo_0304_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺と弟とアイス、猫も少々。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます