第4話 本質
『私はあの星から来た人。』
其の言葉は、今の僕には到底、理解不能で。
僕は様々な予想をつけたが、其れは僕等の世界から見てもファンタジーに思えた。
僕は少し間を空けた後に、其の言葉の真意を問いた。彼女はただ淡々と、作業的に僕の質問に返答をするだけだった。
「『あの星から来た』って‥‥どう云う
少女は、またニカッと笑い。話を続けた。
「私達は『貴方』が創った人間‥‥の進化の終着点たる物。しかし、元人間の『私』と根源は同じ。つまり、親戚みたいな物よ。ただ『用途』は違う。」
「用途?」
「そう。君は『私自身』を取り戻す為に、まるで宇宙の星の様にぶつかり、一つに成っていく。そうしてやがて、大きな星になるのが産まれた目的。」
「ならば君は? 君は人として創られたのだろう?」
彼女の顔に少し
「『人』ではあるけれど、目的については断言は出来ない。恐らく『君達』の誰かが知っているとは思うけどね。」
そう言うと、彼女はそっと立ち上がり。
僕を先導して歩いた。
或いは、誘き寄せると云ってもいい。
道中、と云っても道など無いのだが。唯の彼女は一度たりとも振り返らず。
唯、淡々と歩いていた。
僕はその空白に耐えかねる様にして、口を切った。
「あのさ! 君は一体、どの様にして此処に来たの?」
彼女は、何かを堪えるようにして反問した。
「……何故、そんな事を訊くの?」
特に理由等無かった。只々、話し相手が欲しかったのだ。自分の中の"何か"と話すのには、もううんざりだった。
しかし、僕は彼女が何らかのマイナスな事情により、止む無く此処に来たのだと云うのが何となく汲み取れた。
「いや、言いたくないのならいいよ。変な事訊いてごめん。」
"ごめん" 初めての謝罪だ。しかも、上辺だけの謝罪ではない。少ないが申し訳ないと思っていた。それも初めてだった。
--恐らく、『俺』を含めても初だと感じた。
何故なら、『俺』にその様な感情があるならば。『世界を破滅させた』という『俺』から、残滓達が引き継いだ『原罪』への苛責の念は計り知れないだろう。
少なからず、魂だけでも狂えるぐらいの罪だと思う。
しかし、それすらなく。
むしろ、ただ自由を感じる……開放感に満ちている自分が居る。
しかし、感覚的に判る『俺』や『原罪』の存在。
それらは僕の中で、延々と混ざり合い、魂を
彼女とのたった一度の会話とも云えない様な時間が過ぎ、数回の休憩を挟みながら進んだ時。急に彼女が止まり、背中に背負ったリュックから何かを引き出し、地面を蹴り、何かを確認していた。
「下に何かあるのかい?」
彼女は僕の問いを無視して、蹴った地面に隠されていたハッチを開けた。
「さぁ、入って。」
僕は否応無しに、指示に従うしかなかった。
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