第15話 女子会とメグちゃんvol.2

やっほ。久しぶり月羽だよ。

こう語るのは久しぶりかな。

冷房無しでは辛い時期になった金曜日の放課後。

教室にあるデジタル時計には湿度85パーセトを表示していた。

教室は勉強に集中出来るように各教室空調完備なので快適に保たれているので湿気が気になるのは登下校の時ぐらい。

けど空調の効いた教室内でもこの湿度だから廊下や外なんて100%ぐらいあるんじゃないかな…

あたしは園部さんと話しながら教室を出て昇降口へ向かう。

あたしはそこで靴は取り出さずにそのまま廊下を直進する。

「また月曜日ねー」

「じゃあねーー」

園部さんと別れて、K教室に向かった。

本当はヨシくん達と一緒に来たかったけど、

ヨシくんと涼夜くんはアイドルが出るラジオの公開収録があるからって下校時刻と共に走って帰ったらしい…。

ヨシくんがアイドルの追っかけか。

どんなアイドルが好きなのか気になるわ。


そんなことを考えながら歩いているとあの教室が近づいてきた。

いつもは教室が近づくにつれて話し声が聞こえるが今日はとても静か。

しかし教室の明かりが点いているので誰か居るらしい。

楓ちゃん辺りかな。

何も気にせず扉を開けたが……。

制服の夏服を着て自撮りするメグちゃんこと神田先生が居た。

……。

……!?

幻覚? それともあの人に似てる生徒?

一度落ち着けと自分に言い聞かせて、そーっと扉を閉めてから手のひらぐらいの隙間を開けた。

そこから覗き込むもやはり同じ光景が広がっていた。

これはどうしたものか…。

不幸中の幸いって言うのかな?まだ先生は気づいていないので気配を最大限に消せばどうにかなる。

この記憶はしばらく消せなそうだけど…。

今後会った時どう見ればいいのよ。

てかあの写真…ヨシくんに送るんじゃないでしょうね!!

そんなのあたしが許しませーん!

勝手に被害妄想してる感じになってるけどあの人ならやりかねない。

この前の軽井沢旅行を機にあの人の裏の顔?がわかりつつあるし。

万が一だけどその……エ…エッチな写真とか撮らないかの監視よ。

その後映える写真が撮れないのか、撮る→唸る→ポーズ変更→撮るの繰り返し。

心の中で『その角度からだと可愛く撮れない』『もろ逆光じゃん…』とか思いながら眺めている。

これでもJKなんだから必要最低限の知識はあるつもり。

なんか足音が聞こえた気がするけど気のせいよね。

その判断が仇となった…。

「わっ!」

「キャッ!」

「うわっ! え? 誰かいる?」

紫依奈さんの脅かしであたしが驚き、その声に驚くコスプレ自撮り教師。

見事に連鎖した。

「お久しぶりね〜。会いたかったわツキちゃん♡」

「うっ…お、お久しぶりですね〜昨日の放課後振りですね。

昨日の放課後って単語を少し強調して言ってみた。

「そうだね〜。まさかここに来て会えるなんて…運命を感じるわぁ」

スルーされた!?

「そ、そうですね…」

てか、何が運命よ…

あたし知ってるもん。

教室を出たところであたしの後ろに居たことを!

多分今一緒にいる愛依奈ちゃんと合流するために1年教室の階に居たんだろう。

そうであって欲しい…

「おぉ。最近お姉ちゃんと仲のいい月羽ちゃんではないか〜。ヨッ!」

「どうも〜」

相変わらず愛依奈ちゃんはハイテンションだなぁ。

「お2人はここに用事ですか?」

あたしは結構この場所に来ているが、ここで紫依奈さんを見たのは初めて。

「あー。それがね…2人して家の鍵を忘れたんだよねー。もぅ…お姉ちゃんしっかりしてよー」

「えっ? わたしはアイちゃんが持ってきてくれると思って…アイちゃんを信じてたのにぃ」

わざとらしく手を胸の前で組んで愛依奈ちゃんを見つめる紫依奈さん。

男の人にやったらほぼ全員が落ちるわね…。

そんなことを考えながら姉妹のやり取りを見てるあたし。

「ご、ごめん。次から確認します…」

案の定愛依奈ちゃんの敗北。

紫依奈さん恐ろしい…

これ紫依奈さんが悪くてもあんな風に言われたらこっちが謝りたくなる。

「あっ…わたしも確認するね? アイちゃんだけが悪いわけじゃないからね?」

「ありがとうございます」

最終的には姉に向かって深々と頭を下げてるし(笑)

そんな2人のやりとりを見ていたら教室の扉が開いた。

「あの……見ました?」

さっきコスプレ自撮りをしてた人がとても心配そうに聞いてきた。

「おー。メグちゃんー。バッチリ見たよ。そして現在進行形でコスプレメグちゃん見てるぞい」

「ですよね…」

「この事はナイショね! 絶対だよ?」

モジモジしながらめっちゃ恥ずかしがってる先生が可愛い。

てか制服のままなのね。

さっき神栖姉妹と話してるときに着替えたのかと思ったらまさかのそのまま現れた。

そんな恥ずかしそうにするなら、はよ着替えんかい!

心の中でツッコミながら教室の中へ入った。

教室に入るとそれぞれがいつも座ってる場所に向かう。

特に決めていないのに各自お気に入りポジョンが決まっていく。

人って面白いね。

「今日ってこの4人しか集まんないのかな〜」

「うーん…男子2人は居なくて、楓ちゃんは家の用事で帰ったでしょ…あとは亜梨栖さんが来るかどうかだね」

「え? 男子2人来ないの!?」

まさかの担任の先生が一番驚いている。

「いやいやーメグちゃん…あの2人ホームルーム終わったと同時に帰っていったっしょ?」

「えぇ…あれてっきりお菓子でも買いに行ったのかと思ったわぁ…」

そんな訳あるかい…。

放課後にダッシュしてお菓子買いに行く男子が居るわけないっしょ。

※パシリとか何かしらのイベントを除く。

「えぇーー、つまんなーい」

神田先生はそう言って足をバタつかせる。

もしこの場に入ってきたら全員がこの人教師だと思わないだろうな…。

あたしも先生って呼ぶの辞めようかな…

「メグちゃん…おもちゃ買ってもらえない子供みたい…」

「あらー可愛い…」

えっ?

紫依奈さんは頬に手を当ててメグちゃんを見てる。

あの人どんだけ女好きなのよ…

まさか!

この前の壁ドンも隣人であるあたしをおびき出す作戦だったのでは。

もうヨシくんから連絡来ない限り見に行ったりしないんだからねっ!

……たぶん。

あの日からあたしの日常が狂い始めたし…。

てか、足をバタつかせている人を先生と呼ぶのはあれなのでもうメグちゃんと呼ぼう。

だって先生よりメグちゃんの方がしっくりくるもん。

「メグちゃんってなんか『運命の人居るのよ』的なこと言ってるクセに理稀のこと気になりすぎじゃね?」

愛依奈ちゃんがテーブルにあるホワイトチョコのお菓子を食べながら聞いた。

「1人の生徒としてよ?」

うわーめっちゃ目が泳いでる(笑)

「じゃあさー。その運命の人と理稀同時に告られたらどうするん?」

あー、それ気になるわ。

「そ、そんなの…え、選べる訳ないでしょ」

「えー。つまんなーい」

さっきのメグちゃんのマネをしているが口調といい動作といい明らかにバカにしてる。

「さっきのわたしのマネしてバカにしてるでしょ?」

「わかった? んでどっちよ?」

「どっちもよ。選べる訳ないわ。運命の人と理稀くんは同一人物よ」

「んなわけあるかい! この浮気者っ」

そう言って愛依奈ちゃんはスマホをいじり始めた。

「理稀に『うちの担任は浮気者です。お気をつけて』って送ったからっ」

「あなた……わたしの評価下げてどうするつもりよ。わたしも貴女の評価下げようかしらねぇー」

ニコニコしてるが目が笑っていない…

こ、怖い…。

「職権濫用だぞー。ちゃんと成績見て評価せんかい!」

「見てるわよ? 補習常連さん♡」

「前々回は補習じゃなかったから常連じゃないし…」

「アイちゃんと恵海先生って仲がいいのね…嫉妬しちゃうわ」

えぇ…この前妹を放置してあたしにベタベタしてきた人がよく言うわ…

そんなことを頬杖を突きながら思っていると目が合った。

ヤバっ…

「ツキちゃん暇なのね。わたしと遊ぶ?」

「え、えぇ…」

どう断ろうか考えていると教室の扉が開いた。

「だっだいまーー。おつかれーーあたしっ」

扉の方を見ると亜梨栖さんが仁王立ちしてその後入ってきた。

亜梨栖さんグッジョブ!

珍しく褒めてあげるわ。

そしていつもの椅子に座る。

最近紫色のクッションを置き始めたらしい。

そして教室をキョロキョロ見渡した。

「あれ、今日は女の子オンリーなん?」

「お、姉御…お疲れ様っす。今日奴らはどこかに出かけましたぜ」

「おっ、愛依奈じゃーん。オツー。ふぅーん。出かけたんだ」

受け答えはどうでも良さそうな感じだけど内心焦りと驚きでいっぱいなのがわかる。

「お、お姉ちゃんに何も言わないで出かけるなんて…」

近場の人にしか聞こえないぐらいの声で呟いた。

ほらね。超気にしてるじゃん?

「あーー。これじゃ女子会じゃん。理稀と涼夜くんを呼び戻せーー」

そう言ってテーブルに伏せる亜梨栖さん。

「さすがビ○チの亜梨栖さん。男を欲しがりますねー」

たまには弄ってやらないとね。

「誰がビ○チじゃ!! 前にも言ったけどあたしは経験無いって! 本当なんだからっ」

「絶対嘘ですね」

「月羽ーー。酷いぞ。いつもそう言う風にあたしをバカにしてー。あたしの事好きなんか? あたしの初めて貴様にくれてやろうか!」

「なっ……!」

んな訳あるかい。

「あらツキちゃん…浮気かしら。わたしと言う大切な人が居るのに…お姉ちゃん悲しい!」

もうどこからツッコミを入れれば良いかわからん!

てか、今更ながらツッコミ担当あたししか居ないじゃん!?

「あたしと紫依奈さんは特に何もないですよね?」

「まぁ…ここであの事を言って欲しいのかしら? お姉ちゃんは恥ずかしくて言えないわぁ…けど気持ちよかったのよね…ホッ」

『ホッ』じゃねーーわ!

その瞬間全員の視線があたしに向けられる。

「ツーちゃん…あたしの姉に何したのよ? いや、あのね。別にそういうのも認める派だし問題ないけどね」

「いやいや。何もしてないよ…」

もぅ…紛らわしい言い方するなし。

あたしがそっち系だと思われかけてるじゃない…

「照れなくても良いんだぞ。ここには女子しかいないから。君の幼なじみには黙っておくから……ね?」

そう言ってウインクする愛依奈ちゃん。

幼なじみって言ってもそこまで小さい時から知り合いって訳じゃないのよね。

「ただ、一緒にお風呂に入っただけだよ? 言っておくけど…あたしは不本意だったからね?」

「不本意なんて…照れちゃって…もう♡」

もーー。あの人と話すといちいち誤解を招くから嫌だ!

「照れてません!」

「本当かしら? 今と一緒で入っている時顔も真っ赤だったじゃない?」

普段1人だから少し緊張しただけよ?

けど別の言い訳を考える。

「それは…浴槽が熱かったから…」

「あの時お風呂は37℃だったわよ?」

なんで覚えてんねん…

「あー。この時期の理稀って基本ぬるま湯しか入らないから紫依奈さん合ってるわ」

くっ…実の姉からその発言は説得力ありすぎ。

周りの方々うなづいてるし。

「あたしは少し熱い方が好きだからたまに一緒に入る時40℃にすると怒るんだよぉ」

ほぅ…ぬるいお湯が好きなのね…脳内メモリに保存完了っと。


……は?

教室が沈黙に包まれた。

「ちょーー、それ本当なの?」

その沈黙を切り裂いたのはメグちゃん。

「そうだよ〜。ちなみに冬場は40℃かな。42℃だと熱いって文句言われたし」

「へぇー。冬場は40℃ね。じゃ、温泉行く時はぬるめの場所にしないとね……じゃなくて!」

(>人<;)←こんな顔になってるメグちゃんを眺めている。

表情がコロコロ変わって面白い人だなぁ。

授業の時はこんな感じでは無かったんだけどなぁ。

「ん? メグちゃん先生なにか問題あった?」

「あるわよっ。高校生の男女しかも姉と弟が一緒に入るなんて、羨ましい……じゃなかった……教師として見過ごせません!」

あっ、本音出た(笑)

「いやいや、家庭の事情だし。お互いオッケーしてれば良いんじゃね?」

「聞いてしまったからにはスルー出来ないわ」

「羨ましいから見過ごせない訳じゃないわよね?」

おっ、亜梨栖さん攻めますね〜。

攻撃は最大の防御って言うし、とことん攻撃するのかしらね。

「な、ないわよ? 2人が間違った方向にいかないように忠告してるの」

その割には目が泳いでる。

「いやいやー。流石にそれはないわ」

亜梨栖さんは手を横に振って否定してる。

「ヨシくん的にはアリらしいですよぉ?」

本当にそう思ってるのか気になったのでそう聞いてみた。

勿論本人の口からそんな言葉聞いたことがない。

「ほ、本当なの?」

めっちゃ前のめりになって聞いてきた。

ブラウスの第二ボタンまで外しているので谷間と黒いブラが視界に入ってきた。

チッ…

表に出すと感じ悪いので心の中で盛大に舌打ちしてやったわ。

あれ絶対わざと見せつけてる!

はぁ…年齢と共に胸の大きさも成長すると思ったのに中2辺りから止まった…

成長が他の子に比べて早く小学生高学年の頃は大きい方だったってのが余計に腹が立つのよね。

「将来巨乳じゃん! 羨ましい〜」

とか言ってた奴マジで許さないわ。

そして「でへへ〜。そうかなぁっ」って言ってたあの頃の月羽も許さない。

あの頃のあたしに会ったら頬を抓って『貴女の将来はこれよっ!』と言ってやりたい…

はぁ……。

過去のあたしと今のあたしが現実を受け入れられずに抱き合って号泣しそう…

……。

虚しくなるだけなので考えるのをやめました。

「ねねっ。詳細聞かせてよ! 何時? 何処で?」

どうしよう…この状況で『嘘でした〜テヘッ』なんて言えない…

「いやいや。あたしの胸ばかり見てないで教えてよ〜」

気付いたら亜梨栖さんの胸をガン見していたらしい。

考え込んじゃうと一点を見つめる昔からのクセが出てしまったわ…

「み、見てませんわ!」

何故か出たお嬢様口調。

ま、とりあえず時間を稼ぐ。

「ねねね! メグちゃん邸泊まって良い?」

この場には全く関係ない話題が右の方から聞こえた。

この話題に便乗するしか。

「あたしも泊まりたいわーー。先生の家にっ!」

「おっ、ツーちゃんもそうだよね? いいねー襲撃しようぜー」

「ちょっ…あたしの話…」

「し、襲撃だー。おー」

「今夜は寝かせないぜ! 恵海っ」

「ね、ね、寝かせないぜ…め、恵海〜」

愛依奈ちゃんってこういう事よく平気で言えるよね…。

「あのね……家主の許可も得てないのに」

愛依奈ちゃんのウインクに対してすジト目で返すメグちゃん先生。

「ダメなの?」

「ダメとは言わないよね?」

「ダメじゃないけど……こんな頻繁に教師の家に上がり込むって変じゃない?」

「別に? どーせ、家に呼ぶ友達居ないっしょ?」

うわー。愛依奈ちゃんたら容赦ないわ…。

流石に便乗しませんでした…だって、あたしが言われたら一発で心折れるわ。

「ひ、ひどいっ」

わざとらしく両手で顔を覆うメグちゃん。

「心配するな…寂しい時はあたしが横に居てあげるよ」

うわー…。 本気であれ言われたらドン引きするわ。

けどヨシくんに言われたらキュンとしちゃう♡

女子ってそんなものよ。

「本当…信じるわよ?」

「あぁ…」

見つめ合う2人に対してあたしは再びドン引きして、亜梨栖さんは状況判断出来ずにオロオロして、紫依奈さんはジッと見つめている。

……あたしを。

「何か付いてます?」

「ううん。何もないわよ〜」

……。

マジで怖いんですけど…

その辺のB級ホラーより断然怖いんですけどーー。

「んで、メグちゃん邸に行く人ー?」

「はいっ」

とりあえず話の流れをおかしくしないようにわたしが挙手する。

たまに誰かの家に泊まるのも良いかな。

割と1人寂しいし…

「いいねー。亜梨栖さんはどします?」

「どしよかなー。みんなでワイワイするの楽しそうだけど…マイダーリンが待っているのよねぇ」

はぁ? なにがマイダーリンよ!

片思いのくせにーー

「亜梨栖さんも一緒に行きましょうよぉ」

なんかヨシくんと一緒にしたくないので無理矢理誘うことにしたわ。

「わかったわよ…」

「お泊まり会とか楽しそうね。わたしも行くわ」

げっ…しれーっと帰ると思ったが紫依奈さんも宿泊なのね…。

「メグちゃん邸で二次会だぁーー」

「まぁ…いいか。あの場所なら騒いでも平気だし」

ん? 何か言ったようなきがするけど気のせいだろう。

ハイテンションな愛依奈ちゃん。

と言うことでここのメンバー全員でメグちゃん邸へ向かうことになった。

この学校の駐車場から全員乗って行こうとしたが、校内で車に乗り込むのは大分不自然なので少し離れた場所で拾ってもらうことになった。

正門を出て少し歩いたところで待っているとメグちゃん先生の車が停車したので乗り込む。

車は5人乗りなので全員乗れるがキツい…

運転手がメグちゃんで助手席に愛依奈ちゃん、左に亜梨栖さん、真ん中月羽、右に紫依奈さんという配置。

後部座席の真ん中ってあまり好きじゃないのよね。

両脇に人が居るから肩身狭いし、寄りかかれないし。

まぁそこまで距離なさそうだし我慢我慢…。

10分ぐらい走ると少し大きめなスーパーマーケットに入った。

どうやらそこで夜ご飯を買うのか、材料を買うのかわからない。

まぁ女子5人なわけだし?

何かしら作るでしょ。

協力して1人がカットして、もう1人が料理をして、他のみんなでテーブル掃除して〜…。

みんなの手料理楽しみだな〜。

あたしはそう思いながらカートを押している。

……。

「ねね!これ美味しそうじゃない?」

「おぉ!いいねー。2つぐらい買っちゃう?」

「食べきれないからやめておきなさい」

「ぷぅ…亜梨栖姉ちゃん。この人ケチだよー」

「ねー。お母さん買ってよー」

「ちょっと…亜梨栖ちゃん…お母さんっていう歳じゃないんですけど?」

そう言って愛依奈ちゃんの頭をポンと叩くメグちゃん。

「え? わたしを叩いた? なんで?」

愛依奈ちゃんは不意打ちに戸惑っている。

それをカートを押しながら眺めるあたし。

カゴが1つでは足りないと判断した紫依奈さんが帰ってこないんだが…。

あまりにも買うお惣菜類が多いので売り場の隅で要るか否かの多数決が行われて半数以下の物は売り場に戻すことになった。

返却は何故かあたしとメグちゃんというこの中では常識人が行うことに。

どうして…と思ったけど途中で余計な物を持ってこないための策だろう。

そんなこんなで買い物終了!

結構選別したはずなのに会計後のカードの中身が女子5人とは思えない…。

カツオのたたき(30%引き)、カキフライ、たこ焼き、海鮮サラダ(わたしが無理矢理カゴに入れました)、唐揚げとポテトの盛り合わせ(もはやオードブルレベルの大きさ)など…。

これから宅飲みでも始まるんか?

そんな内容のお惣菜達…。

メグちゃんに至ってはアルコール9%のチューハイ買ってるし…

これに留まらず大量のお菓子類…

誰が見てもこの人数では消費不可能な量だし。

4袋にもなるレジ袋を手分けして車へ運ぶ。

ここで問題が…

「運転手〜トランクに入らんよ? もうちょっと大きい車買いなよ〜」

「うるさいわねー。 あなた達買いすぎなのよ…わたしの2、3週間分の食費と同じ金額よ…」

「知らん…てか、ごちそうさまでーす」

「何言ってるの? 全員で割り勘に決まってるでしょ」

メグちゃんはトランクに押し込むも入りそうにないビニール袋を取り出しながら言った。

「収入の限られているJKからお金を巻き上げるとかひどいってー。社会人なんだから奢ってよー。そう思うよねアス姉ちゃん?」

「そうだーー。ん? アス姉ちゃんってあたしよね?」

「そうだよー。やっぱりこう呼んだ方が親密性があるかなって」

「そうね。そういうの好きよ〜」

「わかったから。とりあえず、早く乗りなさい。悪いけど月羽ちゃんこれ膝に乗せておいて」

「今わかったって言った! イェーイ!!」

「はぁ……」

ため息とは裏腹にどこか楽しそうなメグちゃん。

こうして買い出し終了から車に乗り込むまで10分近くかかりました。

ちなみに紫依奈さんとは会計前に無事合流出来ました(笑)


メグちゃんカーに乗り込んで30分が経った。

明らかに窓の外は見覚えのない風景になっていた。

みんなは話に夢中になってるせいか、明らかにあたし達が住んでる市ではない場所を走り続けているのに誰も反応しない。

それに気づいていないのか…目的地を知ってるのか…。

金曜日ってこともあってか眠気に襲われて瞼を閉じた…。


それからどれだけ経ったかわからないけどエンジンが止まった静かさとドアを開ける音で目が覚めた。

あたしは思いっきり紫依奈さんに寄りかかって寝ていたらしい。

「おはよ…ツキちゃん」

「す、すみません…思いっきり寄りかかってましたね…」

「良いのよ…ツキちゃんの為になれたのなら本望よっ」

お、おぅ…。

それよりここ何処だ?

周り真っ暗なんだけど…

「ねねね!アス姉〜空気が美味しいとはこの事を言うのかな〜」

「あたしは空気の味とかわからないけど多分そうじゃない?」

車から降りるとはしゃぎ出す2人。

「おーい。月羽も降りなよー」

亜梨栖さんに呼ばれたので膝の荷物を一度後部座席に置き車を降りた。

確かに空気が澄んでいてあたしの住む街とは違うのがわかった。

あの辺工業地帯近いし空気あまり良くないんだよね…。

そして上を見上げると星空が広がっていた。

はぁ…キレイだわ…ずっと眺めていたい。

そう思える素晴らしい光景が広がっていた。

「ってかさ、ここどこよ?」

……。

これはあたしの発言じゃないよ?

愛依奈ちゃんがふと口にしたのだ。あまりの非日常に馴染んでしまったけど本当にここ何処なのよ。

「いいから。早く荷物運びなさいよー」

「おー。メグちゃん。良いところに…ここ何処?」

「えー。わたしのお婆ちゃん家よ?」

「へぇー、そうなんだー………えっ?」

愛依奈ちゃんの真面目トーンの『えっ?』が新鮮過ぎて…少し笑える。

「な、なんで…愛依奈はメグちゃん邸に行きたかったわけであり…メグちゃんお婆ちゃん邸に行きたいわけでは…」

メグちゃんお婆ちゃんって…メグちゃんを馬鹿にしてるかコント名みたい…ププッ。

「ツーちゃん…何か面白いことあった?」

「愛依奈ちゃん自体が面白いかな」

「お、おぅ…。ありがとう? てか、お腹空いたーー」

「はいはい。中に荷物運んで夜ご飯にしましょう」

「おー。じゃなくてー、あのマンションに行きたかったんよーー」

そう言いながらメグちゃんを追いかける愛依奈ちゃん。

こうして荷物を運んでメグちゃんお婆ちゃん家に上がらせてもらった。


玄関から入ると右側に客間があり奥に台所という配置になっていた。

昔ながらの家って感じであたしのお婆ちゃん家と同じような独特の匂いがする。

はぁーなんだか落ち着くわ……。

「今誰も居ないからくつろいで良いわよ。勿論常識の範囲内でね」

「おいおい。メグちゃん、わたしたちはそんな非常識な人達に見えるかね?」

「えぇ」

「………とぅ!」

そう言ってメグちゃんに後ろから抱きつく愛依奈ちゃん。

「貴女そう言うところよ……」

「メグちゃん…誰もいないって?」

「あれれ…月羽ちゃんまでわたしのことをそう呼ぶのね…。まぁいいわ。祖父母は昨日からわたしの実家にいるから誰もいないのよ。週末お留守番を頼まれたってわけ」

なるほど…そういうことね。

てか、メグちゃん呼び本人から公認されました〜。

あれ、そういえば2がいない。

車を降りた時は居たのに.まぁいいか。

……。

あたしが苦手な2人だからか居ないと気になる。

それよりも流石に空腹が限界に達しそうなので手を洗ってからメグちゃんが客間に準備してくれたテーブルにお惣菜を載せたり台所を借りて温めたりした。

そして一通り並べ終わって座布団に座る。

「あの…2人ほど足りない気が…」

「あー、お風呂沸かしてもらってるわ。この家の自慢は小さいけど露天風呂あるところよ。詰めれば4人は入れるお爺ちゃんのお手製なんだからっ」

まるで自分が作ったかのように自慢するメグちゃん。

それだけお爺ちゃんのこと好きなんだろうし好きなお風呂なのかな。

「それなら入ってみますね」

するとメグちゃんが嬉しそうに頷いた。

それから2、3分すると玄関の方から2人がやってきた。

「恵海ー。濡れたー」

「恵海さん。わたしも亜梨栖ちゃんに濡らされてしまいましたわっ」

紫依奈さんの言い方……。

別に普通?

そ、そうよねー。深い意味はないわ。

……。

「いやー、蛇口からお湯出そうとしたらシャワーから出てきて2人して濡れちゃったーー」

2人をよく見ると土砂降りの中帰ってきた人みたいに濡れていた。あれ、普通に遊んでたんじゃね?

「じゃあ着替え持ってくるから…待ってて」

割とめんどくさそうに立ち上がり着替えを取りに向かった。

「あー、あたしは間違って持ってきた体操着あるから大丈夫だよー。上着しかないけど」

「どうか…この紫依奈に服を恵んでください〜〜」

え、なんで上着だけ?

少しするとメグちゃんが戻ってきた。

「ごめん、これしかなかった…」

メグちゃんが持ってきたシャツは紫色で"LOVE POISON"とプリントされている何とも言えない物…。

なんでこれを買ったのかすごく気になる……。

「ラブ……ポ、ポジ、ポジション? どゆ意味?」

「ポジションじゃないわ…ポイズン…毒よ」

どこか気まずそうに言うメグちゃん。

毒好き的な意味なのかな?

ププッ…なんかしっくりくるわ。

「あらら。ツキちゃん何が面白いのかしら?」

げっ、表情に出てたか…。

「お、お似合いだな〜と思って…あはは」

「ありがとう。 これはお礼する必要あるわね〜」

あの満面の笑みの中で何を考えているかなんて想像したくもない…。

「はいはい。早く食べるわよ! 冷めるし早く燃料を投下したいのよ」

燃料? 何それ?

パンパンと手を叩いてみんなを座らせる。

「みんな座ったわね…じゃ、いただきまーす」

よっぽど空腹だったのか真っ先に唐揚げを食べてその後すぐに鰹の刺身を食べ始めた。

その後プシュっと缶を開けて缶チューハイを流し込むメグちゃん。

燃料とはチューハイのことらしい。

その光景にあたし含め4人が釘付けになった。

「何みてんのよ〜。早く食べなさーい」

テンションと口調がいつもと違う。

もう出来上がってます?

そう思ってみんな箸を取り各々食べたい物を取り始めた。


…30分後…


「あにょねー。こーいうの飲まなきゃやってられないのよーー。 君たちにぃ…わかるかにゃ?」

「い…いやー。わからないにゃ?」

絡まれてるのは愛依奈ちゃん。

この場ではもの凄くマトモに見える…。

比較対象って大切ね。

メモメモ…

「そうよね。そうよねー。だからこの神田恵海を讃えなさい。そして崇拝しなさい」

「やめるにゃ…」

どこから持ってきたのかわからない猫耳を付けられて語尾に『にゃ』を付けろと命令された愛依奈ちゃん。

「なんですって!? 早く拝みなさいー」

「辛いにゃ…」

他の3人は頼むからこっちに来るなと念じながら黙々とお惣菜をつまむ。

このまま愛依奈ちゃんが絡まれてみんな寝落ちして終わると思っていた。

しかし…。

「シイちゃん…さっき言ってた3年前の理稀だよ。なんか公園で偶然会ったから写真撮ったんだ……。あれ?」

2人が寄って何やらコソコソし始めた。

少し気になったので近づくと亜梨栖さんが画面を見せてきた。

画面を覗くと写真を撮られて焦ってる懐かしいヨシくんが写っていた。

「やっぱり今と若干違いますね。この頃より今の方が好きですね」

「え、好き?」

「あ、いや、その……人として好きと言うか…友達として好きというか…」

つ、つい好きなんて言っちゃったー。前の女子会でもそんな事あったような…ないような。

「ま、それは置いといて…」

あ…人の恋愛が置かれた…(´・ω・`)

そう言って画面の右の方に写ってる女の人を指さした。

うん? あれっ…

画面に写ってる人と缶チューハイ片手に教え子に絡んでいる人を交互に見る。

似てる……。

「にゃにぃ? 人の顔にぃ〜何か付いてるんかにゃ?」

そう言って亜梨栖さんに後ろから抱きつくメグちゃん。

かなり泥酔してらっしゃる…

そしてスマホの画面を見ると固まった。

「うそっ…、こ、これって」

さっきまでの泥酔メグちゃんが嘘のような口調だ。

「ねねっ。この子誰? ね、早く教えて!!!」

「お酒臭いよ……」

「良いから…早く教えなさいよぉ。しないとぉ…お耳ペロペロしちゃうぞっ♡」

そういって亜梨栖さんのお耳をカプッと噛み付く。

「ちょ…、や、やめっ…」

「やめてあげなきにゃーー」

もう何言ってるかわからん…

あたしは身の危険を感じたのでそっさに逃げると、珍しく紫依奈さんも逃げてきた。

「あれはヤバいわね…」

流石にあの行為はヤバいとわかったのね。常識的なところもあるのね。

「あんな事されたら絶対癖になっちゃうわー」

……。

この人とは今後距離をおこう…護身のために。

「こ、この人は……あ…」

「ん? 誰にゃ?」

「弟よっ……もうやめてっ」

亜梨栖さんがメグちゃんを突き放し、意外と力強くやったのかメグちゃんが転げた。

笑ってはいけないと思いながらも転げ方が面白かったので必死に堪える。

後転を失敗した人みたい……ププッ

「あっ、ご、ごめん…」

「フフッ…」

……?

笑い声の方を見るとメグちゃんが起き上がった。

申し訳なさそうにしてた亜梨栖さんも笑い声が聞こえた瞬間少し警戒し始めた。

その後メグちゃんは起き上がり少しの間沈黙が続いた。

……。

「……やっと……たわ」

メグちゃんが何かを呟いた。

その後『何て言いました?』って言おうとした瞬間メグちゃんが立ち上がった。


「やっと見つけたわーーーー。わたしの初恋の相手ーーーーー!!!」


静かな屋内にメグちゃんの声が響き渡る。

そして全員がポカンとしている。

「あの…頭打ちました?」

亜梨栖さんが心配そうにメグちゃんを覗き込む。

「ううん…そんなことないわ。亜梨…いや、お姉ちゃん」

「は?」

「ここに写ってるこの人はわたしよ。そして焦ってるこの子に自転車を直してもらったの 運命の人初恋の人。はぁ…長年の恋が叶う時が来たのねーー」

手を胸の前で組み天井を見つめている…

そして2歩後ろに下がった。


「良いかしら。わたしは今日から神崎理稀君を……」

一同がメグちゃんを見つめる。

授業中より注目させている気がする。

それって教師としてどうなのよ…

「あ…わたしの授業よりみんな見てくれているわね…あはは」

本人もそう思ったらしい。

「メグちゃんどうするんだよーー。拐うのかー?」

愛依奈ちゃんがヤジを飛ばす。

「ゴホン…違うわ」

ドヤ顔してる(笑)

そしてまたしも沈黙が訪れる。

あたしトイレ行きたいから早くカミングアウトして欲しい…


「彼を本気で惚れさせるわ…そして、彼から告白させる……見てなさない小娘どもーー。貴女達に彼はあげないわ。フフッ」


メグちゃんはあたし達に宣戦布告したのであった。

この時メグちゃんの脅威を知るものは誰もいなかった。





「あー楽しかったな」

「よかったよな!」

ラジオの公開収録を堪能した理稀と涼夜は満足そうに会場外に居た。

俺…神崎理稀はアイドルも悪くないなんて思い始めている。

「それにしてもお前の運の良さには感動するわ…」

「そんなことないって。偶然だよ」

理稀の手には『船形 茉優姫ふなかた まゆき通称まーちゃんかのお見送り特別券という物があった。

今回の収録で1人だけ貰えるという幸運のチケット。

会場には150人弱居る中の1人に選ばれたらしい。

まーちゃんに良い質問した人とか印象に残った人がもらえるらしいがそれがこの俺だった。

質問って言っても『昔の思い出って何かありますか?』って咄嗟に思いついた質問をしただけなのに。

後ろから数えたほうが早い場所にいるにも関わらず俺が指名されるとは…

答えの『大切な人とさよならすることがあったんですけど、その時の約束ですねっ。これのおかげで今のわたしがいるので』ってのがどうも引っかかっている。

なんか思い出せそうなんだよなぁ。

そんなことを考えながら指定された場所で待っているとイベントスタッフに声をかけられて会場の奥へ。

「おぉ…関係者以外立ち入り禁止の文字があちらこちらにあるぞ。す、すげー」

券は同伴者も対象になるらしいので涼夜が隣にいる。

俺も普段見慣れない風景にキョロキョロして挙動不審になってるだろう…。

そして会場の裏口のところで再び待たさせた。

何だろう…とても緊張する。

そしてまーちゃんがマネージャーさんと共に出てきた。

「お待たせしました〜」

アイドルって感じの微笑みでこちらにやってきた。

「おぉ! まーちゃんだ!」

涼夜がなかなか興奮している。

「こんばんは。会えて嬉しいわ」

「俺もっす! イベントでみたことあるだけだからめっちゃ嬉しい」

「そうなんだ〜。今度から私のところにも来てね♡」

「もちろん! 今日決めた。これからまーちゃんに会いに行くね。」

「ありがと」

なんか俺がチケット貰ったのにあまりと言うか全く話してないんだけど…

「あの少しよろしいでしょうか?」

マネージャーが涼夜に声をかける。

涼夜も『ヤバっ話しすぎたかな』と焦り始めた。

「あ、いえ。少しアンケートに答えていただきたたくて」

その言葉を聞いて安心したらしく『俺に任せろ』と言わんばかりにマネージャーと話し始めた。

その光景を俺とまーちゃんが眺めて少し経った時お互いに目が合った。

この感じどこか懐かしい気がする…

「今日はありがとうね。前から会いたかったんだ。かっちゃん……いえ、なんでもないわ。貴方に会いたかったの」

……。

えっ?

もしかして……

「あの……」

「ごめん。もう時間みたい…今度いっぱい話そうね」

そう言ってセミロングの黒髪を靡〈なび〉かせながら慌てるように出口へ向かった。

そして扉の前でクルリと振り返り手を振ってきた。

それに応えるようにこちらも手をふり返す。

そしてマネージャーと合流してこの場を去っていった。

少しのあいだ棒立ちになっていたが涼夜に方を叩かれてふと我に帰る。

「帰ろうぜ! 終電無くなるぞ」

「そうだな。え?そんな時間なのか!?」

「もう快速は無いらしい…。時間かかるわー」

「いやいや。終電までまだまだ時間あるじゃん…とりあえず帰るか」

こうして2人は家路についたが、あの『かっちゃん』が気になっていた。





「もっとお話ししなくて良かったの?」

ドアを出てすぐにわたしのマネージャーである富浦さんが聞いてきた。

「えぇ。あれだけで満足だわ」

「そっか。ま、アイドル生活に支障を出さない程度にしておきなよ。明日の収録も早いんだから早く寝てよね。もう寝坊とか勘弁してよ…」

「わかりました。あのために頑張りますね」

「あー。わかったよ」

スマホ画面を見て微笑むわたし。

「また会えましたね。次はもっとプライベートな時間を過ごしましょう…フフッ」

「何か言ったー?」

「いえ。なんでも」

そう言ってマネージャーが用意した車に乗り込んだ。

『どんな手段を使ってでも彼をわたしの物にするわ』

そう思いながらスマホをカバンに入れて、お気に入りの星空模様の手帳を開いた。

そこに大切に挟んである昔の写真を眺めて微笑んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る