第2話
バス停まで彼を抱きかかえ歩くがバスはもう無かった。困ったと思い携帯を取ろうとするが彼を抱きかかえているため取れない。もう少し大きい道路に出たら車が走っているだろうと思い足を動かした。
少し大きい道路に出ると多少車の往来があり手を挙げてみる。すると1台のワンボックスカーが停車してくれた。優しそうなおじいさんが乗っている。理由を説明すると駅の近くまで送ってくれると言ってくれた。言葉に甘え僕らはおじいさんの車に乗り込む。ゆっくりと車は駅へ向かって走る。道中なんでこうなったのかと聞かれ少し嘘をついた。僕らはあまり人によく思われない関係だから。気持ち悪いと何度も言われ傷ついたことは幾つ指があっても足りない。多分この人もそう思うに違いないから真実は言えないまま僕らは車を降りた。
まだ彼は起きない。小さな規則正しい寝息を立てて僕の手の中で丸くなっている。このまま電車に乗るのは些か視線が気になり周りを見渡すとホテルが数軒見えた。料金表を見て1番安いホテルに入って彼をベットに寝かせる。ベットは1つしかないからソファに横になってみたが、何か落ち着かない。今まで彼と2人きりの部屋で過ごしたことがないからだと気づく。1人で納得しシャワーを浴びようとするが彼も浴びたいだろうか、と考える。でも起こすのは.....と思い1人でシャワーを浴びてホテルに置いてあったパジャマに着替えソファに横になり目を瞑る。疲れていたのか直ぐに眠ってしまった。
カーテンが開けっぱなしになっていた窓から煩いくらいに太陽の光が部屋に入り瞼の奥に入ってくる。眩しくて目を開け部屋を見渡す。まだ彼は起きていなかった。彼が起きるまでまだ少し寝ていようと思いソファに横になると僕の上に彼が乗っていた。
「おはよう、亮ちゃん。」
「!」
僕は目を見開く。
「そんなに驚かないでよ、亮ちゃん。」
「..............ごめん。」
「謝んないでよ!むしろ僕の方が謝らないといけないのに.....。」
「良いよ。よく寝れた?」
「うん!ありがとう。亮ちゃんが運んでくれたんでしょ?」
「うん。」
彼はぎゅっと僕を抱きしめた。
「亮ちゃんだーいすき。」
耳元で囁かれた。少しくすぐったい。僕も彼を抱きしめ
「俺も。」
と呟く。
「名前で呼んで?大好きって言ってよ、亮ちゃん。」
「!!!」
耳が赤くなるのを感じる。
「あ、亮ちゃん赤くなった!かわいいね。」
耳にキスをしてくる。
「やめ、ちょ、やめてって、環。環、ちょ、本当に待って.....。」
「じゃあ僕の名前を呼んで大好きって言って?ね?」
「わかった、わかった。.....だからちょっとやめろって....!」
「やーだ!やめない!」
「........環.....大、好きだ」
「僕も亮ちゃんのこと大好き。ね、このまましようよ。」
「え?」
「えっちなこと。しよ?」
また頬が赤くなるのを感じる。
「亮ちゃんすぐ真っ赤になってかわいーね。林檎みたいだよ。」
「悪かったな....。」
そっぽを向き俯く。
「あー!ごめんって。機嫌直して?ね?」
声のトーンが下がり少し涙目になっている彼を見て
「.........環からキス、して?」
「!」
目を丸くした彼を見て変なこと言ったと内心焦り言い直そうと思って環の方を向くと首元を掴まれそのままキスをされた。驚いて環の目を見る。彼は唇を開けようと力を強め始めた。環から離れようとするがソファへそのまま倒される。手首を掴まれ抵抗ができなくなりなされるがままになった。
僕らはチェックアウトの時間まで繰り返し繰り返し体を重ね続ける。こんなに体を重ねたのは初めてでもっと繋がっていたいと思った。
青と春 あなん @Anan08
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。青と春の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます