恋想少年1


恋というものはよく分からない。


誰かを“好きになる”ということが分からない。


あぁ、いや、人間が嫌いとかじゃなくてね。





僕は、優しくされたりすれば好きになっちゃうから、“好き”と“恋”の違いがよく分からない。





感情とは難しいものだ。
























「あ」

「どうしたの?」

「あの男の子の周り、キラキラしてる」

「ん〜、どした?眼科行く?」

「アンタ医者でしょ?」

「内科外科心療内科精神科小児科、などなど基本的なものぜーんぶ専門外」



ホント、何なんだろう。この医者。



「最初会った時に言ったでしょ?現幻げんげん医者だって。僕の担当は現幻科。」

「そんなの聞いたことない」

「当たり前だよ。普通にしてりゃお目にかかんない」

「………………」


ゴンッ


「あだっ!?」



魔幌先生よ。それは遠回しに私が普通じゃないと言いたいのかい?ん?



「痛いなぁ。もう」

「私あの男の子追ってくる」

「え?あ、ちょ、少女ちゃん!!」



魔幌先生のそばにいるとイライラする。

本当にウザい。ちょっと離れたいわ。
































「ねぇ、君」

「?僕…ですか?」

「うん。君」



お店のショーウィンドウを、ジッと見つめる男の子に声をかける。



「何してるの?」

「…これ見てたの」

「?」



男の子が指差したのは



「綺麗…」



椿の髪飾りのセット。


ピンやヘアゴム、バレッタなどが一つの箱に入れてある。


とても綺麗で可愛い。



「やっ、ぱり、可愛い、よね?」

「うん!すごく可愛い!」

「そっかぁ……良かったぁ」

「…」



へにゃりと幸せそうに笑う男の子。



「ねぇ、名前なんていうの?」

「え?僕?…僕は、如月椿きさらぎつばき。高等学院の…君も高等学院生か」

「うん。一年月組」

「僕は一年星組だよ。隣だね」

「そうだね」



家族や友達の記憶は今は無いけど、学校の記憶ならまぁまぁある。


私が通っているのは全寮制の【健全青年育成学院】の高等部。

略して高等学院生とも呼ばれる。


一年生から三年生まであって、クラスは学年に2クラスずつ。



規則は厳しく、破れば一週間の掃除の罰を下される。あとお小遣いも少なくなる。



「あ、君はなんていうの?」

「私は「少女ちゃーん!」チッ、うるさいのが来た」

「えっ」



タイミング悪っ。そこは空気読みなさいよ。



「空気は読むものじゃなくて吸うものだよ。はじめまして、現幻医者の宇都野魔幌うつのまほろでーす!よろしくね!少年!」

「あ、はい…」



あぁ、もう。如月くん引き気味じゃん。



「ぐぴゅう」

「お、夢歌むうた。どうしたの?」



先日の黒い龍。名は夢歌となった。夢に歌うと書いて、むうた。名付け親は私。



「ここら辺、甘い匂いがするね〜。お腹すいてきちゃう」

「ぐぷぷぅ」



本当に甘いなぁ。

この匂いはなんだろ。アイスかな?クレープかな?



「ってことがあってさ」

「それは大変でしたねぇ…」



私の視線の先には、会話をする魔幌先生と如月くん。


如月くんの周りには



「………モヤ?」



ピンクっぽい、キラキラしたモヤが漂っていた。




















如月椿きさらぎつばき

高等学院の一年生。見た目は黒髪に赤い瞳。緑の制服のズボンと白のワイシャツ。その上に灰色のパーカーを着てヘッドフォンをつけているというお方。少しどもります。


【少女】

今回で高等学院一年生だということが判明。

セーラー服は変わらない。だって家わからないから。洗濯はしてるよ。

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夢想夢幻少女 ひかげ @0208hina

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