第5話嵐を呼ぶ体育祭(前編)

中間テストが終わり一息つく間もなく私は一番恐れていたイベントを迎えようとしていた

「よし!いまから体育祭のエントリー種目を決めるぞ!ちなみに俺たちは赤組だそうだ!燃えるような赤!まさに俺たちのことだな!」

(うわぁ…ついにきてしまった)

走りが遅く運動音痴の私は体育祭というイベントが苦手なのだ

(団体の競技なら目立たないし走りの速さも関係ない!)

私は綱引きや棒引きに狙いをさだめた

しかし次の先生の発言で私は愕然とした

「先生はこういう決めごとが苦手でな!めんどうだからリレー以外は名簿順にしよう!」

(いやなんでー!!?)

生徒からはブーイングがおきていたが先生は全く気にせず種目名の下に次々と名前を書いていった

「よーしこれで種目は決まったな!」

(100メートル走、借りもの走、あと二人三脚か…まぁ希望の綱引きがあるだけいいかな…)

「次はクラス対抗リレーだが…これはここにある100メートル記録表の速い順で行くぞ!」

そういって対抗リレーもなんなく決まった

「…よし!次は体育祭を盛り上げる応援団を決めるぞ!各クラス男女二人ずつだそうだ!だれかやりたいやついるか!」

クラス中がシーンとした空気で包まれた

「なんだ?誰かいないのか?ちなみに応援団は女子はチア衣装、男子は学ランが着れるぞ!」

「チア衣装…!?」

皐月は目をキラキラさせて勢いよく手をあげた

「先生、私と早乙女さんやります」

(えー!皐月!)

私は皐月に目で訴えたが皐月は舌をちろっとだして口パクでごめんね?といった

「おぉー!そうか!じゃあ女子は早乙女と桐生に決まりな!よろしくな!男子はいなければくじ引きでいいか?」

そうしてくじ引きにより男子二人が決まった

そうして体育祭にまつわるすべての事が決定し坂口先生は頑張ろうな!皆!と一人熱く言っていた


「ちょっと!皐月!なんで応援団なんてめんどくさそうなこと立候補するのよ!」

「え?いいじゃない!チア衣装着れるのよ!こんなチャンス滅多にないじゃない!コスプレイヤーの血が騒ぐわ…」

皐月はチア衣装という言葉に心惹かれたらしい

「えぇ…」

「そうと決まったらまた身体鍛えなきゃ!明日お昼さっそく説明会があるそうよ!」

皐月はそういうとよーしやるぞ!といい気合いがはいっているようだった

「…はぁどうしよう…でもいまさら断れないしな…」



次の日のお昼時間私たちはお弁当をもって会議室に集まった

会議室に入るとホワイトボートの前に全くタイプの違う三人が座っていた

「…はーいみなさーんクラスごとに座ってくださーい。それでは今から説明会をはじめまーす。私は三年赤組応援団長の森本ことはでーす。よろしくねー!」

「…同じく三年白組応援団長森本慎之介だ。よろしく頼む」

「同じく三年青組応援団長の木戸孝一だよ。よろしくね」

「ちなみに私としんちゃんは双子でーす」

(えっ?双子?)

会議室内は少しざわついた

「まぁ二卵性だからあまり似てないがな」

「確かに性格も顔もそんなに似てないもんね…はじめ聞いたときは驚いたよ」

すると私には皐月が小声で話しかけた

「あの三人ってうちの学校の生徒会役員で三人ともかなりの有名人なの。書記のことは先輩は別名エンジェリースマイルことはって呼ばれてて、あの先輩に笑顔をむけらるとどんなお願いでも聞いてしまうそうよ。

そして副会長の木戸先輩は木戸グループの御曹司で先生たちもあの人には頭があがらないらしいわ

そして生徒会会長の慎之介先輩は全国模試一位の秀才で常に成績はトップクラス。剣道部にも所属していて県大会で優勝するほどの実力者…まさに最強の生徒会ね…」

(そんな人達いるんだ…)

なんとも現実離れした話でにわかには信じがたかったがあの三人の姿を見ていると信じざるをえなかった

「えーとではさっそくですが私たち応援団の仕事は競技中の応援はもちろんだけど、一番の見せ場はお昼休憩後の応援合戦でーす。毎年各組が音楽にあわせてオリジナルのダンスや演舞をしまーす。あっもちろんこれも得点に入るから全力で頑張りましょーね」

(は?ダンスや演舞!?)

「各組ともに練習は来週の月曜日の放課後から開始とする。」

「あっ当日の衣装は男子はしんちゃん、女子は私に言ってね?ちなみに男子は学ラン、女子はチアガールでーす!女子は組によって色が違うから注意してねー」

「以上で説明を終わるんだけどなにか質問はあるかな?」

会議室は静寂に包まれた。三人の雰囲気に圧倒されだれもなにも言えなかった

「特にないようならばこれで終了とする。弁当を食べたものはすみやかに教室にもどり次の授業の準備を整えるように」

「じゃあまた月曜日にねー」

「皆お疲れ様。」

そういうと三人は扉を開け会議室を出ていった


「はぁ…ダンスなんて絶対できない」

教室にもどった私は魂が抜けたようだった

「大丈夫よ!なんとかなるわ!まだ日にちもあるし…それより楽しみねチア衣装…早く着たいわ」

「…皐月は楽しそうでいいね」

私は深くため息をついた。これからのことを考えると正直頭がいたい。

お昼時間終了のチャイムがなり次の授業の先生が入ってきて皐月は自分の席へと戻っていった

私は月曜日のことで頭がいっぱいになり授業内容が全く頭に入ってこなかった


月曜日のお昼に各組集合場所のアナウンスがあり私たちは映像室へと集まった

部屋にはいるとことは先輩がプロジェクターを準備していた

(なにか映像でもみるのかな??)

「はーい!皆適当に座ってくださーい。今から練習を始める前に映像を見てもらいまーす!」

そういって先輩はパソコンの再生ボタンを押した

すると「僕たちはいつかかならず伝説のアイドルとなる!」という台詞とともにレジェンドオブアイドルというタイトルが現れ、キャラクター達が華麗に踊っている映像が流れた

(え?これって)

「私たち赤組はーこのレジェンドオブアイドルのオープニング曲を踊ろうと思いまーす」

(ええー!!これをやるの?!)

明らかに難易度が高そうな動きばかりだ…というかカメラワークがくるくるかわりきちんとした動きが見えない

(こんなのできないでしょ!)

皆も同じ思いらしく絶対に無理だ、とても間に合わないと口々に言っていた

「私この作品が大好きでねーやってみたかったの!…もちろん皆やってくれるよね?」

先輩が微笑むと苦情を言っていた人達もなにも言えなくなった

(さすがスマイリーエンジェル…)

「あっもちろん知り合いの先生にお願いしてちゃんとダンスだけの映像にしてあるからー皆これをみて練習してね」

そういって先輩はみんなにDVDを配った

「あっ明後日その先生が教えにきてくれるからぜーったいに来てね!当日の衣装は私が用意しておくからお楽しみにー」

皆黙りこくったまま先輩の話を聞いている

(まるで葬式だ…)

「それじゃ次は応援の練習をはじめまーす!いまからプリント配るから皆私に続いて一緒に言ってね!」

それから私たちは先輩の後に続いて台詞を読み上げたがかなりトーンが低かった

「んっもう!くらーい!そんなんじゃぜっーたい負けちゃうからね!もう一回いくよ!」

先輩は可愛らしい声で台詞を読みあげた

私たちはできるだけ明るく後につづいて読み上げた

「まぁ初日だしこんなものかな…じゃあ皆また明日も練習するからよろしくね!あっそのプリントは各自しーっかり覚えてね!じゃあまったねー」

先輩はスキップをしながら帰っていった

先輩が帰った後皆口々に文句を言っていた

… ただ一人を除いては

「レジェアイのオープニングなんて最高ね!レジェアイの衣装が着れるなんて楽しみだわ!!」

皐月は目を輝かせ一人興奮していた

「私には絶対無理…ダンスだって難しそうだし」

「大丈夫よ!先生も来てくれるんだし…あぁ…体育祭早く来ないかしら…さっそく映像見て練習しなきゃ!」

皐月は

私は絶望感にうちひしがれていた

家に帰るとさっきもらったDVDをさいせいした。やっぱり動きが複雑すぎてさっぱりわからない…

しかも学年ごとに動きがわかれているところもあり複雑さをましていた

「こんなの絶対無理だー!!」

私はベットに寝転んだ

でも出来なかったらあの先輩に何言われるかわかんないしなぁ…

「もう一回やってみるか…」

何十回も繰り返している内にようやく大まかな動きは覚えられたが出来上がりはひどいものだった

次の日の放課後私たちはダンスの先生にみっちりと動きを教えられ終わる頃にはことは先輩を除いて誰一人立てなくなっていた

「…よし今日はここまでだな。また来週も同じ時間にくるからよろしくな」

「先生!ありがとうございましたー」

「「あっ…ありがとうございました」」

(ことは先輩汗ひとつかいてない…!!)

すると倒れている私のもとへ先輩が歩いてきて私の近くに座った

「うーんと早乙女さんだっけ?あなた一人だけ動きが鈍いしずれてるわ…悪いけど皆の足を引っ張らないでくれる?」

「すっすみません…」

そういうと先輩は私に手を差し出した

私はその手をとるとすごい力で引っ張られた。背も小さく細いのにいったいどこにそんな力があるのだろう

「…でもまだ時間あるし一緒に頑張ろーね!」

先輩はいつもの笑顔をむけた

私は思わず身震いして先輩の手をすぐ離した

先輩はその笑顔を崩さずまたねーといい帰っていった

皐月は私に駆け寄り心配してくれた

「玲香大丈夫?何か言われたの?」

「うっうん…」

「何か言われても気にすることないわ…私達プロじゃないんだもの。完璧にはできないわ」

「そう…だよね…」

「そうよ!…これから頑張りましょう」

私は先輩に掴まれた手をぎゅっと握りしめた


家に帰ると体の節々がいたく生まれたての小鹿のようになっていた

「明日は筋肉痛だな…」

そういいつつ私は湿布を取り出し腰にはった

私は先輩に言われた言葉を思い出した

悔しいが確かに皆のスピードについていけていないし一人だけ動きが鈍い

だけどいくら練習したって私達はプロじゃないのだから…ん?プロ…そうか!プロに頼めばいいんだ!

私はすぐにスマホを取り出しLimeの画面を開けた


土曜日。私は指定されたスタジオに来ていた

「遅い!時間ないからさっさとはじめんぞ」

彼は珍しくめがねとマスクをはずしTシャツにハーフパンツとラフなスタイルだった

「…今日は眼鏡とマスクないんだね」

「…出掛けるときと学校行くとき以外はしてねぇよ。持ってきてはいるけどな」

私はLimeで日下部に経緯を説明しダンスを教えてほしいと懇願した

日下部は以前レジェアイの舞台をやっていたのできっとダンスはお手のものだろうと思ったのだ

そうして日下部は今日の午前9時にここにこいとこのスタジオの地図を送ってくれた

「ところでこんな広いスタジオつかっていいの?」

「まぁここは俺の知り合いがやってるし、鏡もあるしな…ただ午後からはダンススクールになるから使えるのは午前中だけなんだが」

「そうなんだ…なんか悪いね」

「…んなことよりそのフリのDVDは持ってきたのか?」

もちろん!というと私は鞄からノートパソコンとDVDをとりだした

日下部はDVDを数回見ると時々一時停止をさせてフリを確認していた

「ん…よし」

「えっ?もう覚えたの?」

「まぁレジェアイは俺も役づくりのために何十回とみたからな…まぁこれはすこしアレンジしてあるが」

(さすがプロだ…)

「よし、さっそくはじめんぞ。まずは…」

その後日下部によるスパルタ指導がはじまった

「ちがう!そこはファイブでおきる!んでターンだ!お前はワンテンポ遅いんだよ!もう一回いくぞ…ワン、ツー」

日下部のトレーニングのおかげで私はどんどん上達していった

日下部の教え方はとても分かりやすく、丁寧だ

学校での練習にも皆に遅れることなくついていくことができるようになりいよいよ体育祭本番の日を迎えた


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