第4話テスト前にやたらと掃除がはかどるのはなぜだろう

「やばい…」

中間テストまであと一週間だというのに、私の自習ノートは真っ白だった

昨日は机にむかい教科書を開いたところまでは良かったのだが全く集中できず結局机の上で朝を迎えた

(さすがに初めてのテストで赤点をとるわけにはいかない!!)

…どうにかしてこの状況を打破しなければ

私はスマホをとりだし、〔テスト勉強 集中〕と検索した

「えーと…なになにいつもと場所を変えてみる?」

図書館やリビングなどいつもと場所を変えることで集中力がアップするらしい

(図書館か…そういえば近くにあったな)

スマホで図書館への道を確認した。バスにのるとかなり近いらしい

私は勉強道具と水を鞄につめ図書館へとむかった


図書館へ入ると適度に冷房がきいており、沢山の人が勉強をしたり本を読んだりしていた。

(そういえば小学校の授業で一度だけ来たことがあったかもしれない…)

勉強スペースは隣同士がパーテーションでしきられており一人一人のスペースがもうけられていた。

できるだけ静かそうな人の横に座り私は鞄にから勉強道具を取り出した

(よし!やるぞー!)


「まもなく閉館時間となります。館内にいるかたはすみやかにお帰りください…」

(もうそんな時間なんだ…かなり集中できたな…図書館で勉強…ありかも!!!)

私は鼻歌交じりで勉強道具を片付け図書館をあとにした

バス停まで向かい歩いていると後ろから肩をたたかれた

「おい。」

「えっ…?この声ってまさか」

すぐさま後ろを振り返ると眼鏡にマスク姿で帽子をかぶった日下部がそこにいた

「…お前何ぼけっと歩いてんだ?」

「何って…図書館で勉強してたんだけど…」

「…ふーんお前真面目なんだな」

「いや、真面目って…テスト一週間前なんだから普通でしょ?」

「…俺あんまりテスト勉強したことないからわかんねぇわ。普段やってれば特別勉強することもないだろ。」

「いや真面目はどっちよ…」

私は大きくため息をついた。

「そんなことよりお前なんで連絡してこなかったんだ?」

腕を組み少しいらだっているようだった

「この前名刺渡しただろ?」

私の思わず目をそらせた

「えーと…まぁちょーっと忙しくて」

「嘘だな。言い訳するならもうちょっと ましなこと言えよ。いまの答えテストだったら0点だ」

(うっやっぱりごまかせないか…でも恥ずかしくて言えない!連絡していいかわからなかったなんて!!)

昔から太郎以外の異性と交流があまりなかった私はこういったことは経験がなくどうしたらいいのか全く分からなかった

日下部はちらっと腕時計をみた

「…お前今から時間あるか?」

「えっ?まぁなくはないけど…」

「…ならちょっと付き合え。」

そういって日下部は私の手を引っ張り歩いていった

「ちょっ…ちょっと!」


そうして連れていかれたのは近くにあったカフェだった

比較的空いているようだ

日下部はドアから一番近い席に腰かけた

私はしぶしぶ日下部の前に座った

「いらっしゃいませ。ご注文は?」

「えっと…」

「アイスコーヒー二つで」

(いや、私の意見は!?)

「はい、アイスコーヒー二つですね。少々お待ちください」

「少しは私の意見を聞こうとか思わないの!?」

「なんだ?アイスコーヒー嫌いか?」

「いや、まぁ好きだけど…」

アイスコーヒーが到着するまで私たちの間に微妙な空気が流れた

「…スマホ」

「えっ?」

「いいからスマホ貸せ。」

私がおずおずとスマホを差し出すとすごいスピードでなにかをうち始め、私に返した

画面を見てみるとLimeの新しい友達に日比谷青空の名前が追加されていた

「これでよし。次の舞台決まったから正式に発表されたら送るわ」

満足そうにうなずきアイスコーヒーを口に運んだ

「…もしかして私が連絡するのずっと待ってたの?」

日比谷はよほど驚いたのか飲んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになっていた

「んなわけ…ないだろ。自惚れすぎ」

「あはは…そうだよね…ごめん」

私は少し恥ずかしくなり水滴のついたアイスコーヒーを飲み目を伏せた

日比谷は「はぁ…」と深く深くため息をついた

「…お前ってほんとするどいのか鈍いのかわかんないな」

「それってどういう意味?」

「別に…そのまんまの意味」

日比谷は再び腕時計をちらっとみた

「じゃあ悪いけどそろそろ行くわ。俺この後舞台の打ち上げあるから。お前はゆっくりし勉強でもしておけ」

「え!?そうなの!?時間大丈夫?」

「ここから近くの店みたいだしたぶん大丈夫だろ。じゃあまたな」

「あっお金…」

「は?別にいらねぇよ。」

そういって伝票を持ち二人分のお金を払って店を出ていった


しばらくそのカフェにいると皐月からLimeが届いた

〈明日の放課後勉強会しない?〉

(勉強会か…一人でやるより気分転換になっていいかも)

私はOKマークのスタンプを送った

〈よかった(^^)せっかくだから鈴木くんも誘わない?皆でやったほうがきっと楽しいと思うから〉

(太郎も?あぁそういえばこの間勉強教えてくれって頼まれてたんだった…皐月きっと気を使ってくれたんだ)

〈うん!了解!じゃあ太郎に連絡しておくね!〉

皐月からよろしくお願いしますというスタンプが送られてきた

太郎に明日皐月と勉強会をするからよかったら来てという内容のLimeを送った

〈まじて!?助かるわ…明日の放課後な!了解!〉

(あっ…そうだ!いいこと思い付いた…)

私はすぐさま皐月のLimeをひらいた

〈ねぇもう一人誘ってもいい?〉

〈もちろんよ(^^)ところで誰を誘ったの?〉

〈それは…当日のお楽しみかな〉

私は早速とある人物にlimeを送った

(来てくれるといいんだけど…)


次の日の放課後私、皐月、太郎は学校の近くにあるファミレスに来ていた

「ファミレスで勉強するのってちょっと夢だったの!嬉しいわ」

皐月はよっぽど嬉しいらしくかなりハイテンションだ

「…そうか?俺はときどき来るけど」

「そういえばもう一人くるのよね?」

「うん。多分。」

「多分?」

「誘ったのは誘ったんだけど…あっきたきた!」

そうして扉をあけて入ってきたのは眼鏡とマスク姿の彼だった

「え?誘った人って日下部くんだったの?」

しかし彼は私たちを見ると驚いた表情をして店を出ようとしていた

「日下部?俺たちの席はあっちだぞ」

「すみません。ちょっと来る場所を間違えたみたいで」

「間違えてないよ?私が誘ったんだから」

日下部は私を見ると睨み付けていたが気にすることもなくにっこりと微笑みかけた

「日下部くんよね?はじめまして私は桐生です。今日はよろしくね」

「…鈴木です。まぁよろしく」

(はぁ…)「…日下部です。よろしくお願いします」

軽く自己紹介をしたあと私たちは席に戻り勉強会をスタートさせた


勉強会がはじまりしばらくすると私のスマホにLimeがとどいた

〈お前どういうことだよ!どうして他のやつがいるんだ!お前が一緒に勉強しようっていうから俺は…〉

日下部は見えないように机のしたでスマホを操作していた

〈だってそういわないと絶対来ないでしょ?〉

私は日下部にむかって笑いかけた

「お前なぁ…」

「日下部どうかしたのか?」

「…すみません。なんでもないです。」

「そうか?わからないところがあれば遠慮なく聞けよ!二人に」

「そこは私たちなのね…」

(なんとも頼りないなぁ…)

「まぁ俺はちょっとな…」

「…はぁ。あとそこの問題間違えてますよ?」

「えっどこだ?!」

「ここのBの問い。この問題はまずここから解いてそれから出た答えをここにいれてそれから…」

日下部は白いかみに数式を書き噛み砕いて説明していた

「あーなるほど!そうやって解くんだな!お前すごいな!」

「別にこのくらい普通です…」

「それができない俺は普通以下ってことか…」

「…そのページで間違えてるのそこだけですし、あとはケアレスミスに気を付ければ大丈夫だと思います」

太郎の暗かった顔がぱあっと明るくなったせ

「日下部…!お前いいやつだな!」

「…別に事実ですから。あと近い。」

「日下部くん!あとで私にも教えてね」

日下部はこころなしかすこし嬉しそうだった

(やっぱり誘ってよかった…)

お節介かもしれないが私は日下部にもっとたくさんの人と仲良くなってほしかった

今回の勉強会はきっといいきっかけになると思ったのだ

(まぁいつもと態度が違うのが気になるけど…さすが俳優…)

太郎と日下部は仲良くなったらしく日下部にここは?ここは?と質問攻めしていた

「太郎…ちょっとは自分で解く努力をしなさいよ」

「いや、解けないから聞いてるんだろ?」

「日下部が自分の勉強に集中できないでしょ…だいたい太郎はいつも」

私たちは小さなことで言い争いをはじめた

「あの二人ってほんと仲いいわよね…日下部くんもそう思わない?」

「…あの二人はどういう関係なんですか?」

「幼なじみなんだって。あぁいう関係っていいわよね。羨ましいわ。まぁ鈴木くんにはもうちょっと頑張ってほしいけど」

「ふぅーん幼なじみね…」

「…玲香はかなり手強いわよ?」

「…敵は強い方が燃えるっていいますよ?」

「…まぁそうね。ふふっ玲香モテモテね?まぁ本人はまるで気づいてないけど。」

「ちょっと!皐月聞いてよ!」

「おい!日下部!」

二人はあきれつつはいはいという顔をして私たちの話を聞いていた


勉強会の効果もあってか私はほとんどの教科で80点以上をとることができかなり満足のいく中間テストとなった。(これで明日からゲームに集中できる!!)翌日廊下に成績上位者が張りだされ、私は学年の中でも三十番以内の成績をとることができた

しかし驚いたのは上位者の一番上の名前に日下部の名前がのっていたことだ

「えー!一位…!?」

(そんなに頭よかったんだ…)

日下部の勝ち誇った顔が浮かぶ

(次はもっと頑張ろう…)

皐月は日本史でクラス最高点だったらしく坂口先生に褒められていた

他の教科もまずまずだったらしい

太郎はなんとか平均点はとれていたらしい(数学と英語は赤点ぎりぎりだったらしいが)

そうして私達のはじめての中間テストは終わった


次の日職員室にむかう途中前から斎藤先輩が歩いてきたので声をかけた

「ゆりせんぱ…」

それを聞き付けると先輩はすごい勢いでこちらに近づいてきた

「お前それ絶対わざとだろ?次呼んだらお前のことずっと無視するからな」

「すみません。…ちょっと呼んでみたくて」

「呼んでみるな!」

「で先輩はどうかされたんですか?」

「あぁまぁこのあと補習でな…」

「補習?」

先輩は少し小声で言った

「まぁ実はほとんどの教科が赤点でな…俺はスポーツ推薦でこの学校にはいったんだが…勉強はからっきしだめでな…」

すると後ろから「斎藤!」と呼ぶ声が聞こえるとすっとんきょうな声をあげじゃあなと軽く手をふり先生のもとへ走っていった

私は先輩の後ろ姿を見送りながらあんな二年生にはならないでおこうと心に固く誓うのだった

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