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家に帰っても、
それは変わらなかった。
なにも考えられない。
どうして早川さんが。
答えの出ない、
頑としてでも受け入れたくないこの思いだけが、
胸に燻り続けていた。
そんなことするはずがない。
でも、それと同じくらいに、
俺が間違えるはずがない。
正当防衛?
銃を持っていたのに?
傷一つ見えなかったのに?
……あんなに手慣れていたのに…?
早川さんを擁護する意見は、
結局ひとつも見当たらなかった。
……明日、ちゃんと向き合おう。
1歩ずれれば、
死んでた、殺されていたのに、
不思議と恐怖は湧いてこなかった。
「どうして」
「嘘だ」
「なにか理由がある」
少しでも希望に縋っていたくて。
もし、俺の思う答えが返ってこなくても。
もし、俺が殺され事になっても。
あの時俺、
「鹿島くんだって一緒じゃん!!!」
ズガン!
頭を思い切り殴られたようだった。
早川さんの口から語られる言葉の、
どれをとっても空想みたいで、
そんな馬鹿な、
そんな状態で、俺らと同じ空間に、
普通に馴染んでいられるなんて、
そんなこと出来るはずが。
それなのに、ふ、と胸にはストンと落ちていく。
そして。
「お兄さんのために大学に行くんでしょ!!」
あ、わかる。
誰のためかってだけだ。
俺らが違うのは。
きっと早川さんは、
誰かに必要とされたくて、
誰かに自分といて欲しくて。
幼い時から誰もそばにいない。
もし母さんと兄貴がいなかったら?
誰も必要としてくれなかったら?
どんな気分だろう。
そんな時誰かに家族だって言って貰えたら?
凄く嬉しい。
なんだっておれはやるだろう。
必要とされたくて。
喜んで欲しくて。
笑顔が見たくて。
……でもきっと、それは。
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