吐露
「一緒じゃん!!!
何も違わないよ!!!
お兄さんのために大学に行く君と!!
お父さんのために人を殺す私の!!!
どこにどんな違いがあるって言うのよ!!!」
ボタリ、と少女の目から涙が零れた。
「君に私のことを
責める資格なんてないでしょ!!!」
口から言葉がこぼれるがままに、
少女は全てを叫んだ。
父にとって、
人を殺さない子供は娘ではなかった。
父は人を殺せば優しかった。
褒めてくれた。
父でいてくれた。
人を殺せば、
父はとても嬉しそうな顔をした。
「それの何が悪いの……!!!」
少女はもう自分で自分がわからなくなっていた。
誰かに初めて本音を語り、
感情の向くままに叫んだのは、
少女にとって生まれて初めての経験だった。
「…………」
少年は何も言えなかった。
想像を遥かに上回る話に、口が開かなかった。
「分かるでしょ……」
蹲るようにして少女が呟いた言葉が、
彼の意識を浮かび上がらせた。
「……分かるよ。」
彼は、静かに頷いた。
彼の瞳に、涙のあとは見えなかった。
初めから、
濡れていたのは少女の足元だけだった。
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