第4話俺は監禁された2

「なぁ、聞きたいことがあるんだけどいいか?」

「えぇ、私もあるからいいわよ」


俺の前に椅子を置いて呑気に紅茶らしき物を飲んでいる。俺は相変わらずベットの上で楽に座っている。


「まず、お前は大人かそれとも学生か?」

「それは遠回しに私の年齢を聞こうとしているのかしら?レディーについてのマナーを知らないの?」

「あぁ、残念ながら誰からもそんなことは、教えてもらってないな」

「……まぁ、いいわ。私は貴方と同じ高校生よ。桜崎学園に通っているわ」


桜崎って俺の高校の近くの高校じゃないか。

あの学校はお嬢様学校だったはず。

エリートの子しかいないらしい。俺とは真逆だ。


「なるほどな。次だ。ここはどこだ?」

「ここは、私の家よ」


やっぱり桜崎に通っているだけあるな。

この部屋の広さと、ベットの大きさ。それにこの低反発マットレスは高いか知らないけど、この部屋自体でどんな家系か大体わかる。


「俺を監禁するのはいいが、お前の親はどうするんだ?」

「大丈夫よ。絶対にこの家には帰ってこないから」

「なんで?って聞きたいけどまぁ、今はいい」

「えぇ。質問はこれだけかしら?」

「いいや。俺のことはどうするんだ?」

「どういうことかしら?」

「俺も、もちろん学校に通っているし、アパートだってある。何日も学校に行かなかったら、色々と怪しまれるだろ?」

「そういうこと。もちろん辞めてもらうしかないわね。それにアパートも契約を解除してもらわないと」


やっぱりそうなりますよね。

監禁しているのに、学校に行かせるなんてありえないだろうし。ここに住むようなもんだから、もちろんアパートもいらない。


「学校のことはこっちに任せて大丈夫よ。アパートはそのうちね」

「わかった。最後だ。お前が俺を捨てるってことは?」

「それは、私が貴方を捨てるってことで合ってるかしら」

「それ以外何があるんだよ」


ガタッ、という音がして俺と彼女の距離が一気に縮まった。首に手を回されておでことおでこがくっついている。少し顔をずらせばキスができそうだ。


「そんなこと絶対にないわ。私から貴方を突き放すことはありえない」


甘い吐息が俺の顔にかかる。心臓の音が速くなる。


「そ、そうか」

「えぇ、そうよ。そんなに心配なら私と貴方の体を手錠と縄で縛り付けながら生活する?」

「い、いや、大丈夫」

「そう」

「大体分かった。次はお前の番だろ」

「あぁ、そうだったわね」

「答えるからとにかく戻ってくれないか?少し近すぎる」

「あら?なにかご不満?」

「そういうことじゃない。とにかく今はどけ」

「少しくらいいいじゃない」


不満そうに俺から離れて、椅子に戻っていった。

そして紅茶らしきものを一口。

できるなら俺も何か飲み物が欲しい。喉がカラカラだ。


「じゃ私ね。監禁するのに貴方から同意を得たけど、貴方の親はそれを認めないでしょ?私は貴方の親をどうすればいいかしら?」

「その点については、なんの問題もない。なにせ俺には親がいない。まず血が繋がっている人間の顔を知らない」

「なぜって聞いてもいいかしら?」

「あぁ」




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俺は彼女に今までのことについて大体のことは話した。ついでに俺が何歳か、どこの高校に通っているか、人間関係も全て。それに不幸の子と呼ばれていることも。


「なかなか壮絶な人生を送っていたのね」

「俺にとっては普通だったんだが」

「そんなはずないでしょ……って言ってたらキリがなさそうね。今は置いておくことにするわ」

「そうしてくれ」

「それにしても、こんな好都合の人間がいるなんて信じられないわ」

「俺からしたら、男子高校生を監禁しているお前が信じられないけどな」

「ふふっ、そうね」

「質問はこれだけか?」

「えぇ今の所はね。思いついたらまた聞くわ」

「あぁ」


俺は彼女に試したいことがあった。

それは、人間がどのくらいの愛が好きで、どのくらいから、嫌になるかだ。

今の潤みたいな関係が多分1番いい感じなのだと思うが、それもずっと続くか分からない。

もしかしたら、彼女の甘えが潤は嫌になるかもしれないし、その逆もあるかもしれない。


とにかく、俺にとって初めて異性からの愛だった。

それを使わない手はあり得ない。

彼女にとって俺は好都合な人間かもしれないが、それは俺にも言えている。俺の知りたいことが、初めて分かるかもしれない。この彼女を使えば。


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