第3話俺は監禁された

「おはよう、それともこんにちはかしら。もしくははじめまして?」


目の前にいる美しくも可愛い女に睨みを効かせるがあまり効果はないようだ。


「あんた、誰だよ。なんで俺はここにいるんだ?」

「私は愛美(あいび)なんでここにいるかは、想像通りだと思うわよ」

「俺の想像通りなんだったら、俺はお前に何かをされて、ここに監禁されている、って事でいいんだよな?」

「えぇ、そうよ」

「なんで監禁したんだ?俺を」


まず動機が不明なのだ。こいつは、はじめましてと言ったから、どこかで顔を合わせたわけじゃないと思う。学校にもこんな綺麗なやつがいたら、流石の俺でも多分知っているはずだ。


「なんでって、一目惚れかしら」

「はぁ?一目惚れ?」

「えぇ、一目惚れ。ロマンチックじゃない?」


ロマンチックもくそも、監禁されている時点でロマンチックではない。それに俺のどこに一目惚れをするのだろうか。それなら、俺の通ってる学校にイケメンのやつくらい、かなりいると思うぞ。


「今日初めて貴方を見てこうなっちゃったの。後ろからこっそり着いていったら、ボロボロのアパートに入っていくから、半額って文字使えば出てきてくれるかなーって」


こいつ相当頭が切れるやつらしい。あの瞬時に俺の状況下をある程度悟って半額の文字を使って俺を家から出させた。さらに行動力も中々だと思う。ここがあのスーパーからどのくらいあるか分からないけど、こんな細そうな体をしたやつが男子高校生を担げるはずもないし。どう運んだか気になるが、今はこいつをもっと知らないと危険すぎる。


「とにかく、この鎖を解いてくれ」

「いやよ、せっかく貴方をここまで連れてきたのに。逃げられたら追いつけないしね多分。あぁでもロックかかってるから無理か。アハハハ」

「……」


途端に俺の頭にフラッシュバックが起きる。

潤と彼女が愛し合ってるあの時を。とても幸せそうにしていた。俺には持ってない感情を持っている気がした。それが羨ましそうにしている自分も。


「……お前は俺の外見で一目惚れしたんだよな?」

「えぇ、そうよ」

「もし、中身がお前の思ったような人間じゃなかったらどうするんだ?」

「もしそうなら、どんな手を使ってでも私が、えがいたようにするわ」

「そうか……単刀直入に聞くがお前は俺のことが好きってことでいいのか?」

「合っているようで少し違うわ」

「どんな風に?」

「貴方を愛してるの」

「っっ!!」


俺が1番欲しかったもの。愛情を俺にくれた。こいつは好きじゃなくて、俺を愛していると言った。普通の人じゃ嫌がるかもしれないけど、俺には砂漠の砂に少量の水が染み込んでいくような感覚が俺を襲った。


「お前は俺を監禁してどうしたいんだ?」

「私が思ったような人なら一緒に過ごすだけでいいわ」

「そうか」

「えぇ」

「なら、好きにするといい」

「え?それって監禁していいってこと?」

「俺の返事なしにもう監禁してるだろうが」

「そうだけど」

「でもこれだけ言っといく。絶対いつかここから出てやるよ」

「ふふっ。できるものならね」


こうして変わり者とヤンデレの彼女の監禁生活が始まった。









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