第14話 新戦組本部部隊、参上‼

 轟く爆音、燃え上がる建物、突然のことに逃げ惑う市民。永田町周辺の建物はおびただしい数のMASTERの構成員によってことごとく破壊され、巻き添えになった市民も殺された。所々で迎撃に当たっている新戦組支部の隊員の刀とMASTERの構成員が持っている鉈やハンマーが交わる「ガァン‼ キィン‼」という金属音も聞こえる。


 「バァン‼」という銃声も聞こえる。本庁の機動隊、更には所属している部の垣根を超えて本庁職員も銃や警棒で迎撃に当たっている。しかしMASTERの構成員数は彼らを遥かに凌駕し、その進行を完全に食い止めきれずにいた。周辺でパニック状態に陥っている市民も次々と巻き込まれ、その混乱は収まる気配を見せなかった。


「「「「「「我らが大師様の下に‼」」」」」」


 本庁職員達の耳にはそんな声が四方八方から聞こえている。彼らからすれば悪魔の囁きに聞こえるだろう。銃をもっていくら迎撃しても懲りることなく向かってくるのだ。


「状況はどうなってるんだ⁉」

「それが、MASTERの構成員があまりにも多すぎて、霞が関にも襲撃があったという報告が……」

「新戦組本部の連中の到着はまだか⁉」

「もう間もなく到着します‼」

「よぉし‼ 全員、それまで持ちこたえるんだっ‼」

「「「「「「「了解‼」」」」」」


 機動隊は引き続きMASTERの迎撃に当たった。


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 霞が関一丁目に集結していた新戦組の五つの支部の隊員達は、交番や周辺の警察署職員と共に構成員達への迎撃を行っているものの、既に防衛線は壊滅寸前まで追いつめられていた。


「数が多すぎる‼ こいつら一体に何人いるんだよ⁉」


 新戦組の隊員の一人が、手にした刀を血で紅く染めながらそう言った。


「千人単位どころじゃない、下手したら一万人単位でいるかも知れんぞ‼」


 隊員達も、ここまで大規模な襲撃は初めてだったらしく、警察職員達も含めてその数の多さに戦慄を覚えている様子だった。

 すると彼らから見て東側のやや遠い所でバスの止まる音が聞こえた。中から出てきたのは澤村修一率いる本部八番隊だった。


「遅れんじゃねぇぞ‼」

「「「「「「オウ‼」」」」」


 彼らに指示を出した直後、修一は両腰に佩いているカットラスを鞘から抜いて両手に持ち、支部の隊員達を支援するために走り出した。

隊員達もそんな修一に続き、刀を抜いて駆け抜けた。


「我らが大師のお造りになる新世界のために、我らが命をここに輝かせるのだ‼」

「「「「「「我らが大師様の下に」」」」」」


 構成員達のそんな叫び声が聞こえるや否や、彼らは修一達八番隊の方向へも戦力を割いた。


「これだけ暴れておいてただで済むと思うなよ‼」


 修一はそう叫びながら右手のカットラスに風の闘気を、左手のカットラスに雷の闘気を纏わせて隊員達と共に一気に突撃をかけた。


「食らぇぇえ‼」(疾風迅雷‼)


 突如修一の姿が電光を伴って構成員達の前から消えた。


「「「「「うわっ‼」」」」」


 すると突然構成員の群れの中から叫び声にも似た悲鳴が聞こえた。見ると修一が両手のカットラスを振るって縦横無尽に戦場を駆け抜け、構成員達を次々と薙ぎ払っていた。


「俺らも修一に続くぞ‼」

「「「「「「「オウ‼」」」」」」」


 八番隊の隊員達も士気が上がり、それぞれ刀に自分の属性の闘気を纏わせて敵陣に突撃した。彼らの向かうところ、構成員達の屍の海が広がっていくのだった。


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 霞が関二丁目に襲撃をかけた構成員達との交戦に入った笠原勝枝率いる七番隊は、花咲夏美率いる九番隊、そして花咲冬美率いる十番隊、そして現場の警察職員や新戦組支部の隊員達と共に迎撃していた。


「オラオラオラ‼」


 勝枝はそう言いながら得物の十字槍「白虎」に夥しい量の炎の闘気を纏わせて横に円を描くような動きで振るい、次々と構成員達の身を焼き斬っていた。

七番隊の隊員達も彼女の働きに倣ってそれぞれ刀を振るって構成員達と武器を交えた。


「早くここから出ていけぇ‼」(女豹乱舞‼)


 夏美は両手に持ったトンファーに炎の闘気を纏わせ、隊員達と共に四方八方から押し寄せる構成員達と戦っていた。

 夏美が繰り出すトンファーの一撃の前に、次々と打撃された箇所を抑えて悶える構成員の姿が見えた。中には炎の闘気に身を焼かれて苦し構成員の姿もある。


「殺せっ‼ 殺せっ‼ 我らが大師様がお造りになる新世界に不要な愚かな人間共をっ‼」

「「「「「我らが大師様の下に‼」」」」」


 しかし構成員達は怯むことなく向かってきている。彼らから戦意が衰える気配がない。手にした鉈やハンマーを振るい、時には手榴弾を投げたりと、相変わらず猛攻を繰り返した。


「私が援護します。 皆さんは私の攻撃の後に敵陣に突撃を‼」

「「「「「了解‼」」」」」


 手にしたフリル付きのピンクのパラソルに夥しい量の水の闘気を纏わせた冬美は、指揮する十番隊にそう指示した。闘気が鉄扇に集中すればする程、周囲に風が発生し、チャームポイントのウェーブのかかった栗色の髪が発生した風によって靡く。


「行きます‼」(氷雨ひょうう‼)


 冬美が水の闘気を纏わせたパラソルを天に掲げると、闘気が無数の氷柱に変化し、一斉に向かってくる構成員達を襲った。


「「ぐわ……ぁ……」」

「「がっ‼」」


 襲い掛かる氷柱の嵐を躱しれなかった構成員達は氷柱にその身を貫かれ、ことごとく絶命していった。その様子を確認した冬美はこう叫んだ。


「今です、十番隊突撃っ‼」

「「「「「了解‼」」」」」


 冬美の命令を受けた隊員達は構えた刀を振りかぶって一気呵成に構成員達に向かって突撃をかけた。

 すると冬美の後方から構成員の一人が鉈を振りかぶって襲い掛かってきた。


「隙あり‼」

「やらせないよっ‼」


 声の主は冬美の危機を察知した夏美が、襲い掛かってきた構成員に飛び蹴りを食らわせて昏倒させた。


「ありがとう、お姉ちゃん!」

「あたしに構わずぶっぱなし続けてっ‼」


 肩で息をしながらそう言った夏美は向かってくる構成員を炎の闘気を纏わせたトンファーによる猛攻で次々と焼き倒していった。

 冬美も水の闘気を纏わせたパラソルから無数の氷柱を生み出して構成員に向かって放った。


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 霞が関三丁目に襲撃をかけた構成員達を迎え撃っていた本部三番隊組長の鳴沢佐助は、得物の両手持ちの大型剣で迫りくる構成員達に強烈な斬撃を食らわせ続けた。


「数は多いが、強さはピンキリのようだ」


 佐助はそう言いながら構成員達に向かって構えた大型剣に雷の闘気を纏わせた。


「一気に片付けるぜ」(雷砕らいさい‼)


 雷の闘気を纏う大型剣を振り下ろし、巨大な雷撃を巻き起こす佐助。直撃した構成員は真っ二つに斬り裂かれ、周囲に構成員達は半径八メートルに及ぶ電流に身が麻痺してしまった。


「動かねえと死ぬぞ」


 そう言いながら佐助は大型剣に炎の闘気を纏わせて左右に構成員達を斬り裂き続けた。


「三番隊、さっきの薫からの報告の通り、あと十分は持ちこたえろ!」

「「「「「オウ‼」」」」」


 佐助の命令を受けた三番隊の隊員達は戦意を高めて刀を振るい続けた。


「四番隊も持ちこたえるでごわすっ‼」


「「「「「了解」」」」」


 剛野助六率いる四番隊も士気を上げながら迎撃した。すると五人の構成員が助六に向かって鉈やハンマーを振りかぶって襲い掛かってきた。


「迂闊でごわすな……」


 そうつぶやくと助六は大木のように太く鍛え上げられた両腕に鋼の闘気を流し込んで硬質化させて構えた。


「ふんっ‼」(連砲撃‼)


 鋼の闘気を流し込んで硬質化させた拳の連撃を目にも止まらぬ速さで繰り出し、命中した構成員達を血と肉の塊に変えていった。すると近くで迎撃していた佐助が近づいてきて話しかけた。


「少しだが数が減ってきたようだな」

「しかし油断は禁物でごわす。敵は死を覚悟して一気呵成に攻め立てている」

「向こうも命がけってことかっ‼」


 佐助はそう言いながら炎の闘気を纏わせた大型剣を振り回し、周囲の構成員達を斬り裂いていった。


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 永田町二丁目では、本部六番隊組長の本島紀子が、手にした長棍「流麗」で向かってくる構成員達に対して隊員達と共に迎撃していた。

 構成員七人が紀子に鉈を振りかぶりながら襲い掛かってくると。紀子は彼らの鉈を鋼の闘気を流し込んで硬質化させた流麗で軽々と防ぐ


「迂闊ね……!」(硬防乱こうぼうらん‼)


 紀子は流麗で受け止めた攻撃と勢いを利用して身体を一回転させ、遠心力を加えた一撃をお見舞いする。直撃を食らった構成員達は、背後の構成員達諸共吹き飛ばされてしまった。


 更に紀子から二十メートル程離れた道路では、本部五番隊組長の霧島鋭子が両手に持った苦無に闇の闘気を纏わせていた。


「遅いな……」(影昇天えいしょうてん‼)


 構成員達の背後に回り込んだ鋭子は、闇の闘気を纏わせた苦無で彼らの首の頸動脈を的確に狙っていった。技を食らった構成員達は、闇の闘気によって傷口から腐食して絶命していった。


「敵の練度にばらつきがあるのが幸いしましたね」


 鋭子は紀子の近くに言って彼女にそう話した。


「ええ、あと五分で増援が来るから、それまでの辛抱ね」


 すると二人の前を無数の光の筋が通り過ぎて構成員達を貫いて爆発するのが見えた。


「今のは真の貫鉄閃かんてつせん……」

「いえ、それだけじゃないわ……」


 紀子と鋭子が光が放たれた右側を見ると、弓を構えた二番隊と、彼らを率いる椎名真の姿があった。


「「「「我々二番隊が、皆さんさんを援護します‼」」」」


 二番隊の隊員達はそう言って弓を構え、紀子達も迎撃を続けるのだった。



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