幼馴染に彼氏ができたがなにかおかしい。

ここです。

短編 幼馴染に彼氏ができたがなにかおかしい。



僕には女の子の幼馴染がいる。


ぽやっとした性格をしていて、見た目もよく、周りから好かれ、人が集まってくるそんな女の子。勉強や家事、運動と女子力も高いそんな女の子。本当に僕にはできた幼馴染。だから、いつかは僕の側からいなくなるそんな思いを溢れさせるそんな女の子。


ある日、その幼馴染から「彼氏ができた」と伝えられた。

そっか…とうとう出来たんだなと僕は寂しさを覚える。小さな頃から今まで、いつも一緒にいた彼女を取られた気がして。それでも、いつかはこうなることは分かっていたし。これはこれで仕方ない。

そんな言い訳じみた思いを胸に抱きながら


「おめでとう、おめでたいことだけど、でも、もう一緒にいられなくなるなあ…」


そう僕は彼女に呟いたんだが。


「へ?そんなことないよ。今まで通り一緒だよ?」


彼女は平然という。ん?なにかおかしい。


「いやいや、一緒にいたら、彼氏に悪いし、もう無理だよ。」


「いやいや、そんなの関係ないよ。だって幼馴染だもん。」


ん?やっぱりわけわからない。


何が幼馴染なんだろうか?幼馴染より彼氏を大事にしないと駄目だろう。


「どう思おうと、僕は彼氏に恨まれたくないから。今までどおりは無理だから。彼氏を大事にしてくれよ。」


僕は、今でも大切に思ってくれているんだろう?彼女を拒絶した。




なんとかその日は彼女を家に追い返し、翌日から、彼女なしの生活をしなきゃなと少し落ち込み気味な心に活を入れ、その日はそのまま眠りについた。




むにゅ。柔らかいなにかが僕の体に押し付けられる。あれ?なんでいつもの感覚が僕の体に感じるのだろうと、目を覚ますと、今まで通り、幼馴染の彼女は、僕の腕に抱きついて、目をつむったまま、


「むにゃむにゃ、「僕」くん…」


なんて言葉を呟きながら寝てるし。てか、これ駄目だろう…


僕は彼女を起こし、もうこんなことはするなと注意するが…


「幼馴染なんだからいいじゃない、彼氏は関係ないよ?」


なんて言う。え?彼氏ってなんか扱いが雑じゃない?おかしくない?幼馴染より大切でしょ?だよね?なのに何をを考えてるの?君?


何故かいつもどおりの朝を迎え、いつものように学校へと向かおうとする。ただ、その中で、違うこと、彼氏が幼馴染を迎えに来るらしい。それならと僕は幼馴染をおいて、ひとりで行くとつたえたところ、


「え?なんで?いっしょにいこうよ?嫌なら彼氏に来ないように言うから。」


だから、なんで僕を優先するの?彼氏を優先しないと駄目だろ?


恨まれるの嫌だよ。僕はそう思い、こりゃ駄目だと、幼馴染をおいて走って学校へとひとりで向かった。




学校で僕がひとりでいるのが珍しいのか、クラスのみんなが声をかけてくる。

「喧嘩したの?」や「別れたのか?」とか、僕と幼馴染が付き合ってるみたいなことを言ってくる。あれ?そんな認識だったの?みんな?


とりあえず、僕とはつきあってなかったし、幼馴染に彼氏ができたとみんなには伝えておく。その言葉にみんなは驚いていた。嘘だろ?と。




遅れて着いた幼馴染は、一緒に登校してきた彼氏を置いて何故か僕のところに来る。ほっぺたを膨らませ可愛い顔をしながら。


「なんでおいてったのよ。一緒に行こうって伝えたじゃない!」


んー。わからん。何考えてるんだ。幼馴染。


「いや、彼氏で来たんだから、僕と一緒にいちゃ駄目だろう?」


なんか同じことばっかり幼馴染に言ってる気がする。


「関係ないの。幼馴染はいつまでも一緒なの!」


んーわからん。彼氏のほうがいいから、彼氏作ったんじゃないの?僕どうしたらいいんだろう。


「「彼氏」くん、なにか言ってよ。僕恨まれたくないんだけど。」


幼馴染に言っても話が進まないと彼氏にへと話を振ってみる。


「幼馴染との関係を邪魔したら別れるって言われてて…」


彼氏は、悔しい顔をしながら、そう僕に言った。


んーわからん、やっぱりわからん。彼氏可哀想すぎるだろ。


「とりあえず、ふたりとも僕に関わらないで。間男になりたくない!」


僕は拒否の言葉を伝える。


すると、彼女はなぜか「うーん」と考え込んでいた。




まあ、そんな感じな日々をしばらく続けていたのだが、いつのまにか幼馴染は、彼氏と別れたらしい。


理由を聞いてみると、


「「僕」くんといられないなら彼氏はいらないかな。なんか難しいね、彼氏って。」


なんてことを言う。


いや、おかしいおかしいよ。幼馴染と彼氏を比べて彼氏いらないとか…




ほんと幼馴染はわからない。


それでも、まだ、そばにいられる、それだけは僕にとって嬉しいことで、一緒の時間をこれからも大切にしたいと思わせるそんな出来事であったのはいうまでもない。






なお、幼馴染は


「少しは妬いてくれたっていいじゃない」


僕に聞こえない声で、今まで感じていなかったそんな思いを、ボソッとつぶやくのでした。

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幼馴染に彼氏ができたがなにかおかしい。 ここです。 @kokotangpu

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