雨に冷えた街(お題「商店街」15分)

 永久凍土のように冷え切ったシャッター街が泣いているように見えたのは、雨のせいじゃないはずだ。

 老いた屋根だけが人のために働き続け、救われる人はそこが墓地だと気付かない。さかな、やさい、にく。褪せた文字は必要以上に心をゆさぶり、幼いわたしに問いかける。

 さんまをおまけしておくからね。うちのはたけでとれたきゃべつなんだ。うしさんたべておおきくそだつんだよ。

 大きく育ったわたしを、じゃあ誰が見てくれるというのだろう。色のない風が商店街のまんなかを駆け抜けた。細かすぎる雨は屋根を鳴らすこともできない。

 手を合わせてつぶやくのは感謝の言葉か、供養の言葉か。


(お題「商店街」十五分)


𓇼‥‥‥‥𓆟‥‥‥𓆞‥‥‥𓆝‥‥‥‥𓇼


 シャッターの閉まった商店街には、廃墟に似た寂しさやノスタルジーを感じます。そこで育った人たちの物語がシャッターの向こうにあるはずなのに、永遠に開かない。

 ……とか思いながら旅先でシャッター街を歩いてると、翌朝通りかかったときには普通に賑わってたりしますよね。


𓇼‥‥‥‥𓆝‥‥‥𓆞‥‥‥𓆟‥‥‥‥𓇼

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