第10話4月 21日 キャサリン 光 武
4月 21日 月曜日
ペラペラ。
キャサリンが真剣に僕たちが渡したプリントを見ている。その顔はあくまで険しい。
ペラペラ。
ここは大学構内。ここでキャサリンの予定を聞いた後、僕と光と武が集まって彼女にあるプリントを渡したのだ。
そう、前に話したキーとなる人物がキャサリンなのだ。この映画はキャサリンの助けなしでは成立しない脚本となっている。
そのキャサリンが僕のプロット表を読み終えた。
「大体のことは分かったわ」
「うん、それで」
期待半分不安半分の視線で僕らはキャサリンを見つめた。キャサリンは大きく息をついて、そして言った。
「この映画に参加するは。もちろんヒロインとして。それでいいでしょう」
野獣たちが雄叫びをした。そこにはギャンブルで勝った人のような勝利に満ち満ちていた余韻(よいん)を出した。
「よっしゃ!あとはわいたちに任しとき!一樹!」
「ああ、細部の詰めは僕たちでやろうか。まだ、ラストどうするのか考えていないしな」
「でも、結局はこの京子と優奈のどちらかをとるのよね?一樹?」
「まあね。でも、それは監督とプロデューサーと一緒に考えようか」
僕は二人は見た。彼らは不敵に笑っている。
「じゃあ、決定だな。一樹、武二人ともいつ空いている?俺は明日の午後には空いているが」
「わいも空いてんで」
「僕も開くようにするよ」
そして、これでひとまず解散、と言おうとしたとき横から武が口をはさんだ。
「なあなあ、知っとるか?梅沢教授という人」
「梅沢教授?」
僕は光と目を合わして、光は首を横に振った。
しかし、話は意外な方に降り出した。
「私、噂に聞いたことはあるわ」
意外なキャサリンの言葉に僕たちは彼女を見つめる。
「なんでも、元東大の教授だったとか。この学園創立してから4年経つらしいけど、今でも彼の単位で可をとった生徒いないらしいわよ」
「本当か?」
キャサリンは肩をすくめる。
「まさか。多分、噂に尾ひれがついていると思うけど、でも相当厳しいことだけは確からしいわね」
「それやで!」
それに武が指を指す。
「せっかくやからその梅沢教授とちゅうものがどれほどのものか見へんか」
その突然の武からの提案に、しかし場は一つの波紋を投げかけるだけだった。
「いいわよ」
「俺も」
「僕も、それを聞いたら興味が出てきたな」
「なら、決まりや。梅沢教の講義に出て単位を取りましょう」
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