第12話 行動力のあるイケメン

ハンニバルはイケメンだった。

カデンちゃんの召喚術は超便利だった。


阿修羅をブラッシングしながら考えるのは加護交換のことばかり。


「風花はブラッシンッグが上手だなあー」

手元で豆柴が溶けていた。


「ねえ阿修羅はどう思う? ハンニバルさんに阿修羅の加護をあげてもいいと思う?」

「あーあー! その話は聞きたくないんだぜ! ほら、お腹もブラッシして!」


して! といいながらヘソ天になる阿修羅、とても強そうに見えない。むしろかわいい。


夜は阿修羅専用のベッドとしてバスケットを用意していたが、いつの間にか風花のベッドにもぐりこんでいた。毎晩もぐりこんでいる。それさえも可愛いとは! 恐ろしい子!


しかも最近では最初から風花のベッドにもぐりこんで添い寝して「おやすみ風花」なんて言う。

お前は彼氏か。


それにしても悩ましい。

あれから毎日ハンニバルがやってくる。

遊びに来るのではなく、両親が経営するパン屋に客としてやってくるので追い返すこともできない。ハンニバル目当ての女性客がほんのり増えたような気もする。


そして意外にも阿修羅が看板犬として人気だ。風花への愛情を目いっぱい表現する阿修羅は本当に可愛いし、両親の言うこともよくきき、聞き分けが良い。

うっかり、このままでもいっか!となりそうで危ない危ない…。


「あらあら阿修羅ちゃんたら、すっかり溶けちゃって」

「くうん」


「最近は阿修羅ちゃん目当てのお客さんもいるのよねー」

「わふう…」


「ハンニバルさん目当ての女性客も増えるかしらー」

「がるるる!」


「阿修羅ちゃんのヤキモチかわいいですねー」

「うううー…」


阿修羅と母はすっかりなじんでいた。ベイクも近くに阿修羅がいても逃げなくなった。今も母の肩で阿修羅の様子をうかがっている。



その頃ハンニバルたちは…

「カデン、パン屋の隣の建物の買取が完了した。改装についてはご一家と相談してから進めよう」


その頃、ハンニバルは風花一家の隣の家を買い取っていた。

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