第6話 開き直りぃーぬ
「俺、名乗ったし! 名前は阿修羅、荒ぶる戦いの神で、この姿は趣味だ」
豆柴が開き直った。
「神ですか? 精霊ではなく?」
「おう! 神だ」
ドヤる豆柴。
「ヤンチャしてな、今ちょっと封印されていて精霊の姿しかとれない。人間に加護を与えて世のためになることをしたら神に戻れる。だから風花を世界一強い軍人に…へげぶううう」
父に胴体を掴まれた。
「うん、昨日約束したよね? 風花は軍人にならないし、ご縁の結び直しにも協力するって?」
父が阿修羅の胴体をぎゅうぎゅうと締め付ける。
「じまじた……おてて、はなしてえ…」
「精霊は誓いを破ることが出来ませんのでご安心ください。阿修羅さん、聞き取りに協力していただきますよ」
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「どうやら神であることに間違いなさそうですね。その加護も大変強力なものです」
神殿の神官が入れ替わり立ち替わり阿修羅を質問攻めにしたり、術をかけたり、あらゆる方法で調べた結果、阿修羅の言葉が事実であると結論が出た。
「下手な人に阿修羅さんの加護を与えることはできません。加護の交換を希望していない人も含めて候補を検討させていただきますので少しお時間をいただきます」
「それまでは、そうですね…ペットのワンちゃんとして愛玩されてはいかがでしょうか」
「くうん」
神官たちの声を受け、パタパタと尻尾を振りながら風花を見上げる阿修羅。認めるのは悔しいが大変可愛らしい。
「それに阿修羅さんは風花さんのボディーガードとして優秀だと思いますよ」
「わふっ!」
ばっさばっさと激しく尻尾を振る阿修羅。
「そういうことなら我が家に置いてやる。しっかりガードしろよ」
「くう」
風花の父、こわい。
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