第3話 子犬の正体

「風花、風花の精霊はどんな精霊なんだい?」

「それが‥‥確かめる前にご縁が結ばれてしまったの。名前も知らない…」

項垂れる風花と驚いて顔を見合わせる両親。


「俺は阿修羅、荒ぶる戦いの神だ。この姿は趣味だ」

犬好きだからな!と、ドヤ顔の豆柴。


「風花の“うすぼんやりしたオーラ”が超タイプだったから勝手に縁を結んでやった」

さらなるドヤ顔。

「俺の加護で風花を最強の軍人にしてやるぜ!暗殺者もいいな!」


風花の目からハイライトが消え、表情が固まった。


「ふ、ふうか?」

先ほどまで自分を抱っこして『かわいい~♡』とキャッキャしていた風花から超クールな風が吹いている。


風花の目の前までふわふわと飛んでいって豆柴ハンドをそっと差し出す。


ぺしっ!


目の前に差し出された豆柴ハンドを風花が払った。


「ふ、ふうか‥‥! …う……ぐすっ…ひっく…。ふうかにきらわれた‥‥うぉーーーーーん!!」


豆柴が泣き出したが知ったことではない。

一生に一度しか精霊と縁を結ぶことができないのに、こちらの意思と無関係に勝手に縁を結ばれた。戦いの加護なんていらない!

泣きたいのは風花の方だ。


フェルムとベイクが気の毒そうに阿修羅を見ている。


「こら風花! 小さい子を虐めてはだめだろう」

何故か風花が父に叱られた。


「おーよちよち、悪いお姉ちゃんですねえ」

母が豆柴精霊を抱っこしてあやしていた。

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