第2話「初出勤!」
「お、おはようございます。今日からよろしくお願いします」
初めてのアルバイトの初日。お店の控室にて。
「千屋君、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。ここはただのハンバーガーショップだから」
そう声をかけてくれるのは、女性アルバイトで先輩の広永さん。僕と同じ深夜のシフトに入っている。
ちなみに今の時間は午後10時。こんな夜遅くにおはようございますというのは若干不自然な気がするけれど、昼間のバイトの皆さんがそう言っていたのでそのまま真似している。
「それに深夜に来るお客さんなんて、そうそういないしね。……あ、はいこれ。店長から制服渡されていたんだった」
渡された袋を受け取る。なんかバイトの制服って高校の制服より新鮮な感じがする。学ランやブレザーとは違って「大人」という感じがあるな。
とりあえず着替えてねー、と言われるままに更衣室に。カーテンを閉めて、袋から制服を取りだす。サイズはM。僕は男にしては体の線が細いけど……。
「おお、これが……」
それは、なぜか女性用の制服であった。
「いじめかっ!」
カーテンを開けて更衣室から出る。シャツを脱いでいたから少しばかりセクシーなの格好ような気もするが、関係ない。
「あ、あの広永さん? これは一体どういうことで……?」
広永さんはんー? と視線を空に向ける。
「ああ、そういえば店長が『性別間違えちゃった。てへぺろ!』とか言っていたような」
「店長ってもうおじさんだったような記憶がありますけど」
「うーん、でも替えの制服ないし……。あ、時間だ。とりあえず千屋君、今日はもうそれ着て! お願い!」
そういってレジに入っていく広永さん。ええ、でも……。
……。ああ、もう!
カーテンを閉めて、勢いで着替えていく。そう、これはすべてバイト代のため、仕方のないことなんだ……っ!
お着替え中
一応店内に誰もいないことを確認する。そして、ひっそりとレジに向かう。
「うおっ。千屋君……」
広永さんの驚いた声。そりゃ女装男子なんて見たら驚くとは思いますよ、普通……。
「千屋君……とっても似合うね!」
どこから持ち出したのか、女性の金髪カツラを被らされる。普通じゃない!
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