鏡で自分の姿を見ることに異常な恐怖心を抱くOL宮下愛里は、小学校時代に仲の良かった五人組の一人である柿沼大輔が、同じ五人組の一人、骨董商の坂田茂雄を殺害したこと、そしてその事件には古い手鏡が関わっていたことを知る。残り二人の仲間、野島流海と堀口拓也に接するうち、自分の過去の記憶の奥底に、暗きとぐろを巻いて佇む不可解なわだかまりを意識し始めた愛里は、やがてその闇が鎌首をもたげて現在に蘇り、襲い掛かってくる戦慄を身をもって味わうことになる……というホラー。信じていたものが鏡像の如く反転してしまう恐怖が、神話的事象に忌まわしく馴染んだ作品である。