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 木の葉は女の子の顔を見た。女の子は木の葉たちのいる周囲の地面の上に視線を向けて、必死に猫を探していた。あの三人組にはまだ気がついていないようだった。

「あそこに誰かいるね」と木の葉は女の子に言った。猫が見つかるまでの気晴らしのための、たわいのない会話のつもりだった。しかし、木の葉の言葉を聞いて、視線を動かした女の子はその三人の姿を確認してとても驚いたようで、口元に両手を当て、元から大きな目をさらに大きく見開いた。それから数秒間固まったあとで、まるで助けを求めるような視線を木の葉に向けた。言葉はなかったが、女の子は、どうしよう? とでも言いたげに大きく口を開けていた。

「知っている人たちなの?」と木の葉は言った。すると女の子はこくんと小さく頷いた。

 木の葉たちがそんなやり取りをしていると、どうやら向こうの三人組からも木の葉たちの姿を捉えることができたようで、先頭を歩く男性がこちらに向けて指を動かした。その顔は、見つけた! とでも言わんばかりに歓喜に満ちている。それから女性二人もこちらを確認し、三人はお互いに顔を向き合い頷き合ったあとで、さらに速度を上げて、小走りになって橙色の煉瓦造りの道をこちらに向けて移動し始めた。

「わわ、ど、どうしよう。見つかっちゃった」と女の子が言った。

「見つかっちゃったって、なにかまずいの?」と木の葉は言った。女の子は困ったように慌てふためいているが、遠目にもあの三人組は悪い人たちには見えなかった。誘拐犯とか、極悪人とかではなくて、もっと普通の善良な人たちに木の葉の目には見えた。

「だって私、先生たちに見つかったら連れて行かれちゃう」と女の子は言った。

「連れて行かれちゃうって、どこに?」と木の葉は言った。

「バス。私、それに乗らなくちゃいけないの」と女の子は言った。「バス?」と木の葉は言った。「うん。バス。おっきなバス。おっきな青色のバス」と女の子は言った。

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