6 天気雨と迷子の猫 猫ちゃん、どこにいるの?

 天気雨と迷子の猫


 猫ちゃん、どこにいるの?


 木の葉たちの前には橙色をした煉瓦造りの道があったので、その道の上を木の葉たちは歩き始めた。

 木の葉は始め、効率を考えて女の子とは別々に分かれて、猫を探すつもりでいた。しかし女の子は当たり前のように木の葉の横にくっついて歩き始めた。そしてそのまま木の葉の許可も取らないで、ずっと空いている木の葉の右の手のひらを自分の左の手のひらでぎゅっと捕まえた。木の葉は女の子に手を掴まれたときに、しまった、と思った。ズボンのポケットの中に手を入れておけばよかったと思ったのだ。でも、もうすべてが後の祭りだった。

 女の子は楽しそうに笑いながら木の葉の右手を、自分の左手と一緒にぶんぶんと動かした。木の葉は女の子の動きに逆らわないようにして、手の力をそっと抜いた。

 木の葉は仕方ないので、女の子と一緒に迷子の猫を探すことにした。

 後ろを振り返ると、そこにはさっきまで木の葉たちが腰を下ろしていた白いベンチがあった。その後ろには大きな一本の木が立っていて、その木の影が、ベンチの上に半分くらいの木陰を作り出していた。……そこはちょうど、木の葉が座っていた辺りの場所だった。

 あの大きな木が目印になるから自分たちの居場所がわからなくなるってことはないかな? と木の葉は思った。

 迷子の子猫を探しに行って自分たちまで迷子になってしまったら、笑えない。いくらなんでもそんなことはないとは思うけど、広い公園だし、一応、確認していおきたい。しかも今日は自分一人ではなく、小さな女の子を連れているのだ。きっとこの女の子の両親はあの大きな木のある白いベンチを目印として、この女の子を一人にしているに違いないと木の葉は考えていた。だから僕たちは猫を見つけたあとに必ずこの場所まで戻ってこなければならないのだ。

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