第133話 メンバー決定! スタンプラリー対決!!
-side 田島亮-
修学旅行2日目、早朝。
「ガーハッハッハ! おはよう、生徒諸君!! どうも! 松岡です!!」
まだ7時だというのに、ホテルの駐車場に集合させられた俺たち、2年生の前に仁王立ちしているのは、例のクセが強い生徒会役員である。体育館での説明会以来の登場だ。
しかし、なんともまあ、朝っぱらから元気なものだな。ちなみに俺はというと、夜遅くまで翔&RBIとトランプをやっていたため、非常に眠い。ムニャムニャ。
「さあさあ、お待ちかね! 本日は修学旅行2日目、スタンプラリー対決の開催日でございます!! はい! というわけで早速ルール説明、いっくわよー!!」
低音ボイスでその語尾やめろ。
などど、おそらく修学旅行テンションでガンギマリであろう松岡にツッコミを入れていると、彼を始めとする生徒会役員の面々が生徒全員にプリントを配り始めた。
「えーっと、なになに……?」
早速手渡されたプリントに目を落とし、記述内容を確認してみる。
◆
修学旅行2日目:スタンプラリー対決
《ルール》
・このゲームでは3人、もしくは4人で1つの班を作ってもらいます
・このゲームはA~Zの計26ブロックに分かれての対戦となります
・所定の各観光名所に1人ずつ教員を配置していますので、教員からスタンプを押してもらってください
・スタンプを5つ獲得したら、ホテルに戻ってきてください
・ホテルに最も早く戻ってきた班がブロック優勝チームとなります
・ブロック優勝チームは今夜の食事のグレードが大幅アップ! 班で協力してデリシャスなディナーをつかみ取れ!!
※班分けは男女もクラスもごちゃ混ぜでテキトーに生徒会役員で決めときました。班のメンバーはイベント開始直前に発表します! お楽しみに!!
◆
ふむふむ、なるほど。ルール自体は事前説明会で聞いた時とほぼ変わってないみたいだな。
懸念点があるとすれば、それは俺と同じ班のメンバーに誰が居るのか、ということだろう。クラスも男女もランダムで割り振られているのなら、顔も名前もよく知らないヤツと同じチームになる可能性が高い。学年全員でおよそ270人居ることを考えれば……なんなら、知り合いと同じ班になれたらラッキーと言えるくらいの確率だろう。
「やべぇ、どうしよう。コレ、上手くやれんのかな……」
入学したばかりの時期ならまだしも、高2の2学期ともなれば、ある程度の人間関係が確立されている時期だ。正直、そんな中で初対面同然のヤツらとチームを組んだところで上手くやっていける未来が見えない。残念ながら、俺は初対面でウェイウェイやれるようなコミュ力は持ち合わせていないのである。
ああ、神よ。できれば知り合い多めのメンバー編成でお願いします。欲を言えば、誰とでも話せる系のテンション高いヤツと一緒が良いです。そこんとこ、マジで頼みます。
などと都合の良いゴッドブレスを胸中で行いつつ。俺は時折プリントに目を落としながら、松岡の詳細なルール説明に耳を傾けた。
◆
そして、朝のルール説明から数時間後。スタンプラリー対決直前、ドキドキの班員発表を終えた直後の駐車上にて。
──さあ、これから我がチームのイカしたメンバーを紹介するぜ。
「えー、じゃ、まあとりあえず作戦会議でも始めますか」
波風立たずにイベントが終わればそれで良し。A班、班員No.1、2年3組 田島亮。
「ふふ、まさか亮と同じ班になれるなんてね。よーし! 京香ちゃんほどではないけど頭脳に自信はあるから参謀役は私に任せてっ!」
修学旅行テンション続行中、普段より元気いっぱいなマイ幼馴染。班員No.2、2年7組 市村咲。
「ふっ、せいぜいワタシの足を引っ張らないようにすることネ。田島が余計なことをしなければ絶対に勝てるアル」
その自信は一体どこから? パワフルぶっ飛び新聞部員。班員No.3、2年2組 リン・ユーチン。
──そしてラストを飾るのは、このお方。
「なんで……なんで私までメンバーに入っているんだ……!」
見た目クールビューティー、でも中身は超絶照れ屋。ギャップがたまらない人気教師。班員No.4、2年3組担任、柏木奈々。
「いや、おかしいよな!? 私って教師だよな!? 先生だよな!? おい、松岡! 松岡はどこにいる! 事情を説明しろ!!」
「あー、松岡の班は班員が集まった後にすぐ出発したアル。もうここには居ないネ」
「奈々ちゃん先生以外の教員も、もう観光スポットに出発したみたいっすね。事情説明できる人は居なさそうっす」
「う、うぅ……どうしてこんなことにぃ……」
あー、うん。とりあえず神様、グッジョブ。皆知り合いなのはマジで神。なんで先生がメンバーなのかはホント分からんけど、マジでグッジョブ。今度神社行ったらいつもより多めに賽銭投げとこう。
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