第127話 修学旅行deレクリエーション?
-side 田島亮-
校庭の木々が鮮やかな赤へと色を変え、肌に当たる風が少しずつ冷ややかになってきた。気づけば衣替えも終わり、10月も半ば。なんともまあ早いもので、今日から2学期後半戦である。
文化祭、シルバーウィークの秋祭り、中間テスト、となんだかんだで忙しない日々を過ごしてきた俺であるが、イベントラッシュはまだ終わらない。
そう。来月には高校生活最大イベントとも言っていいであろう、修学旅行が控えているのである。
「えー、天明高校2年生の諸君。今更自己紹介をする必要も無いとは思うが、2年3組担任の柏木だ。部活や勉学等で忙しい中、こうして体育館に集まってくれてありがとう。今日は修学旅行の説明会ということになっているが、まあ手短に終わらせる予定だから安心してくれ。では、早速私の方から説明を始めるとしよう。ワクワクしたりソワソワする気持ちも分かるが、ちゃんと聞いておくように」
そして現在、まさにその修学旅行に向けた学年集会の真っ最中。体育館に集まって整列をしている2年生総勢280人の前で、マイクを片手に持った奈々ちゃん先生進行のもと修学旅行の説明会が行われている。
「事前にアナウンスしていた通り、今回の修学旅行の行き先は京都だ。日程は11月10日から11月13日で、計2泊3日。1日目は文系クラスと理系クラスで行動内容が異なっているが、まあその辺は後で配る"修学旅行のしおり"を見ておいてくれ。そして2日目は生徒会主導でレクリエーションを行うことになっている」
ん? レクリエーション? レクリエーションっつったら、集団で軽くゲームしたりするアレのことだよな? それを修学旅行でガッツリやるってのは、なんとなくイメージが湧かないような......
「よし。では、生徒会の方からレクリエーションの説明を頼む」
「はい! 了解であります!!」
レクリエーションという単語に一抹の疑問を抱いていると、今度は1人の男子生徒が先生の呼びかけに応えて元気よく立ち上がり、俺たちの前に現れた。どうやらレクリエーションの説明が始まるようだが、さて。わざわざ京都に行ってまで一体どんなレクリエーションをやろうというのか。
「えー、皆さん、こんにちは。どうしても女子との思い出を作りたくて先生方にレクリエーションの案をダメ元で提出したら、なんと採用されてビックリ。どうも、生徒会役員の松岡です。いやー、さすがは生徒の自主性を重んじる天明高校。感謝感激雨霰ですねぇ!」
なんか、またクセが強いのが出てきたな......
「はい、というわけで早速修学旅行2日目を丸ごと使って行うレクリエーション、『スタンプラリー対決』の説明をさせていただきますね。まずはこちらのスライドをご覧ください」
するとプロジェクターの光が点灯し、体育館のステージ上に大きなスクリーンが表示された。
♦︎
修学旅行2日目イベント
『男女で協力して勝利を勝ち取れ! スタンプラリー対決!!』
(イベント説明)
--修学旅行といえば青春。
--青春といえば異性とのキャッキャウフフ。
はい! というわけで皆さんが修学旅行で最高な青春の1ページを刻めるように、私たち生徒会役員が大規模レクリエーションを考案しちゃいました! その名もスタンプラリー対決! 京都府の観光スポットをゲーム感覚で楽しめるレクリエーションとなっております!
(ルール)
・これはチーム対抗戦です。
・チーム分け、および対戦チームの組み合わせは後日別途プリントで配布します。基本的に男女混合チームになっています。
・基本的なルールはスタンプラリーと同じです。京都府の観光スポット5ヶ所に設置されているスタンプを全て集めてください。
・全てのスタンプを集めたら2日目の宿泊先のホテルに向かってください。1番早くホテルに着いたチームが1位となります。
・ゲームの順位によって2日目の夕食のグレードが変わります。1位のチームには豪華なご飯が待っているかも!? 美味いメシのために協力して勝利を勝ち取れ!
♦︎
「.......は?」
え、ちょっと待って? 何コレ? 修学旅行でこんなハッチャケたことやっちゃって良いの?
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