結果報告

「お疲れ様、1日に3人なんてハードだったわね」



翌日。

執務室――の奥にある、係長部屋 兼 応接室。

本来いるべき部屋のいるべき自席に座っている今関係長は、報告書に目を通した後、前に立っている私を見上げた。


「金代さんとの関係が良くなったのはとても大きな進歩よ。みんな苦戦していたし…引き続きよろしくね」

「はい」

「あと永礼さんと阿木さん…新たな力を研究してくれているのは結構だけど、やりすぎないよう伝えて頂戴ね」


阿木さんは高齢だから無理させたくないし、永礼さんは……変にはりきるところがあるから。

今関さんの言葉に私は苦笑する。

まったくもって同意、だなあ。



「あと言うとすれば…」



最後に、今関さんは言葉を考えてから私に告げた。


――――――――――――――――――――




「あれー、菜子っち、午前中からどうした系?」



空中のディスプレイに表示されているのはさきほど話した各訪問先の報告書。

私は机に肘をつき、組んだ両手の上に額を載せてうつむいていた。



「いや…特にこれといったことはないですが…」

「うん」


「報告書…『日記みたい』って言われました」


「ぶは」



灯ちゃんが笑いながら私の背中を叩く。痛い。



「いつものことじゃーん!菜子っち、特にちっちゃい子相手の時なんか親戚のオバサン味あるっしょ」

「お、オバサン…」



提出書類なのに…日記みたいとか…。

書き直そうかな、とつぶやくと灯ちゃんは私の肩に手を置いた。



「どう書いたって日記になるからあきらめな、っつーか、係長に出して受理された時点で直しても意味ないし~」

「…そうなんだよねえ…」



今日の業務は始まったばかりである。

私はもやもやしながら報告書の画面を消した。

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