失墜した蒼穹-UTAU-

何も無い、道路の上を歩いた私。

もう見えない、彼女が隣を歩いていた、この道。

残酷な言葉、残忍な世界。

認めてくれない自分の我儘を、彼女は認めてくれたのに。

あの真っ赤な日が嘘のように、今日は青い空。

私を認めてくれたあの手はどこに行ったのかも分からない。

どこか遠くにいるのでしょうか。

彼女があの蒼穹そらに溶けているような気がする。

でも、私は彼女を見ることはできない・・・。

あぁ、何で私じゃなかったんだろう・・・。

私よりもできる、私よりも優しい、私よりも綺麗な彼女が死んで、私が死なないのかが分からない。

この町に、何が残っているのか。

彼女の残痕を探し、歩くだけの私も居ないと同じなのだろう。

誰も、私なんて、要らないと、思ってるんだよ。

私は走る事しかできなかった。

私はこの苦い気持ちを忘れるために、走る事しか・・・。

周りも何も見ないで走り続けた。

私なんて・・・!

私は周りを見ないで走り続けた。

そう、周りを見ないで。

だから、こんな世界一無駄な命はこうなるのだろう。

決まってた結末。

私なんかが相手で、ごめんね・・・。

___________________________________________________________

最後に皆に聞こえたのは、車の急ブレーキの音。

その車はブレーキ痕という、残痕を残し、消えていった。

その蒼穹は失墜し、真っ赤に変わっていくのだ。

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