残骸-episode-

「うん、綺麗な青空!」

私は心の底から思うのだ。綺麗な青空に電柱と電線が程よい程度に存在するこの状態が最高なのだと。

「あとは、真っ白な積乱雲があれば綺麗なのになぁ・・・。」

ぽつりと不満を呟いてみたりした。

呟いたら綺麗な積乱雲が自然発生すると良いなぁ・・・。

意味不明な事を考えながら、一切車が通らない道路の真ん中をゆっくりと歩いていた。

「何もないね。」

誰かに喋ってるように呟いてみる・・・。

何も変わらない。

クラゲとか空を飛んでたらきれいだなぁ・・・。まぁ、そんなのいるわけないけどね。

意味のない想像を続ける。

何も無いね。

うむむ・・・、こんなに何もないと悲しくなって来る・・・。

「何か起きろ!」

大声で叫んでみた。

・・・。

・・・。

ん?何だあれ?

青空の中にキラキラ光る何かが見える・・・。

でも、何も起きないなぁ・・・。

それだけかぁ・・・。

・・・。

ん?

・・・。

落ちてきてる?

・・・。

うん、落ちてきてるね。

でも、大きいものじゃないね。じゃぁ安心だね。

数秒後、自分の足元に銀色の羽が落ちてきた。

「わぁ、綺麗!こんなに綺麗な物ってあるんだ!」

凄く綺麗な銀の羽を持ち帰って玄関の目立つところに飾った。


次の日


朝起きて、玄関に見に行ってみたら、もうなくなってた。

銀色の粉になっちゃった。

少し悲しいけど、綺麗な物は風化し変わっていくのだ。知ってる。

だからこそ綺麗な物を大切にする。

「ありがと・・・。」

感謝の意を小さな声で呟いた。

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