第7話 繰り返しの世界ー....

 そこから先は長かった。

 何百、何千もの死を経験した。

 刺殺、絞殺、銃殺、撲殺、轢殺、射殺、圧殺、焼殺、爆殺、殴殺、薬殺…。

 と。

 自分あいてを殺し続けた。


 これが本当に正しいと思えるものだったのか?

 ──自分の喉仏をナイフで掻っ切って酸素を脳へ供給させないようにした。

 これが本当に自分のやりたいと公言できるものだったのか?

 ──歩道橋の上から時速六十キロ近く出ている車両に向かって飛び込んだ。

 これが本当に自身の手にするべきものだったのか?

 ──ガソリンが充満している空き家に火を点けて倒壊する中、焼け死んだ。

 これが本当に欲しい、と心から叫べるものだったのか?

 ──自室で大量の薬物を過剰に摂取して身体や精神に異常を引き起こした。

 これが本当に、上内里留の願いだったのか?

 そんなこと最早、判断する術を上内は持っていなかった。

 これでいい。これが正しい。これできっと救われる……。

 そう自分に言い聞かせた。

 だってそうでもしなければ、今の行いに『意味』を見出せなくなるから。

 だってそうでもしなければ、自身の『なにか』かが崩壊しそうで怖かったから。

 だってそうでもしなければ──…。

 だってそうでもしなければ──…。

 だってそうでもしなければ──…。

 だってそうでもしなければ──…。

 そんな言い訳を未練がましく彼は発し続けた。

 だから。

 どんなに『天使』の考えに疑問を持とうと、どんなに自分の『理想』とかけ離れていたとしても。

 彼は肯定し続けた。

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