第120話【喫茶】

 「まみやくん!さいきん、ほんとにたいへんなんでス!ほんとに!」

 「みたいだな。大丈夫か」


 正直、気持ちはわかる。

 わかるけど、ここは何だ......。

 

 あの出来事によって、再びバイトを謹慎になって数日

 連れて行きたいところがあると、珍しくも半ば強引に彼女に連れて来られたけど........。

 ここは........。


 「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様!」

 「ふふっ、ただいまでス!」


 「あーアリスちゃんだー。今日も可愛いー。」


 「.......。」


 何でアリスがこんなところに。

 どこで覚えた。


 「..........。」

 俺の目にはメイド姿の女の人達がいっぱい。


 そう。


 どう考えてもここはメイド喫茶というやつ........。


 何かうまく言えないけど、すごい.......。

 テレビとかでは何度か見たこともあったけど、実際に来てみたら色々と特殊な雰囲気が.......。


 「今日はパパと一緒じゃないの? ふふ、隣のご主人様は?」

 「まみやくんです!」


 そういうことか.......。

 アリスパパ。そういうことか........。

 アリスママは知っているのか?


 「おむらいす2つにふりふりサイダー2でおねがいしマス!」


 そしてかなり慣れている。

 メニューも見ずに注文か。常連。

 アリスパパ.......。


 「ふふ、どうですか。まみやくん!ここはわたしのおすすめのばしょデス!まみやくんがバイトなくなっておひまかとおもいましテ。たのしくないですか?」


 「あ、ありがとう。まぁ、楽しい........。」

 「ふふ、よかったです!」

 お気に入り。

 まぁアリスもかなり楽しそうだし、合意の上か。

 

 「んー? もしかしてアリスちゃん。隣のご主人様はボーイフレンド?ふふ」


 ボーイフレンド......。

 この場合のボーイフレンドとはどういう意味だ。


 「な、な、な、なにをいっているんですか!い、いきなり」


 「え、可愛いー。ふふ、そうなんだー。」

 「も、もう。からかわないでください......もう。」


 って、なんだその反応......。

 何でそんなに急に顔を真っ赤にして目が泳いで.......

 そしてこっちにチラチラと視線を......。


 「..........。」

 ちょっと何かその反応は色々と.......

 ちょっと......。


 メイドさんも何をニヤニヤと......。


 「アリスちゃんのパパに言っちゃおっかなー」

 「もうー!」


 「ふふ、嘘だよ。怒るアリスちゃんも可愛すぎるー。」


 「.........。」


 「ねぇアリスちゃん。ほんとにここでバイトしてみる気はない?絶対に人気でるよ。絶対にファンがいっぱいできるって。ねぇどう?」

 

 その女の子は既にもうドクマナルドでもファンがたくさんついています。

 先日の騒ぎでそれはさらに。

 このメイドさんは知らないみたいだけど。


 「い、いや、やっぱりちょっとはずかしいデス........。」


 まぁすでに他の客の多くの視線がメイドさんというよりちょっとアリスの方に向いている気がするけど。気のせいだろうか。


 「えー、ねぇご主人様はどう思う。アリスちゃんのメイド絶対に可愛いよね。」


 「え?」

 と、唐突に俺?


 しかも何かアリスも急にまた真剣な顔で俺の顔をじっと見ているし.......


 「え、いや.......まぁ。確かに」

 アリスのメイド姿か.......。


 「わ、わたしがメイドさん.......。可愛い......」


 「........。」 


 とりあえず、何だこの時間.......。

 

 嫌いじゃないけど.......。


 何だ。

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