第121話【文化祭と提案】
「はぁ.......。」
「お、おい。そう気を落とさない方がいいぞ。アリス。何度も言うけど仕方がないって。うん。」
「ハイ。でも、せっかくまみやくんが、かわいいっていってくれたのに。いってくれたのに。パパはいじわるでス.....。」
「いやいや、お父さんもアリスのことを思っての判断だって。な、だから本当にそんなに落ち込まない方が......。それにもうドクマナルドでも働いているし。」
まぁ、そもそもアリスを連れてメイド喫茶に行っていたことがまずアレだけどな。本人が喜んでいたからよかったけど、絶対に自分がチヤホヤされたいからだろ.......。うん。今度アリスママに確実にチクろう。
あと、俺だけじゃなくアリスのメイド姿に関しては想像した誰もが可愛いと言うことだろう.......。そう。俺だけじゃない.....。
「..........。」
とりあえず今日は朝から、学校でのアリスはずっとこんな感じ。
昨日の勧誘の時点では恥ずかしいとか何とかであんまりメイドのバイトの方には乗り気じゃなかった様な気がするんだけど.......。
どういう心変わりだ。
「かわいいっていってもらえたのに......。まみやくんに。」
「.......。」
また俺の名前......。
た、確かに言ったけど.....
「ん? どうしたんだい。間宮くんとアリスちゃん。」
「って。え? あぁ田中君か。」
「たなかくん......。」
「いや、ちょっとな。」
「はい。ちょっとデす。」
何だ? 何故かいつにも増して楽しそうな顔で。
「さっき何かメイド喫茶がどうとか聞こえてきんだけど、そのことかい?」
そしてほんとこの男は人の話をよく勝手に聞いているな.....。
「はい。そうでス。」
「へぇー。」
本当に何だよ田中君。何をそんなにニヤニヤと。
「つまり、アリスちゃんはメイド喫茶でバイトがしたくなったけど、お父さんに許可がもらえなかったと。」
「........。」
うん。余すところなく、全て盗み聞きしてやがる.....。
完璧な情報収集能力。
いい意味でも、悪い意味でもな.......。
いや完全に悪い意味か......。
「なら、ちょうどいいじゃん。今度の文化祭でうちのクラスでメイド喫茶をすればいいんだよ。」
え? 文化祭で?
「え? そ、そんなのできるんですか?」
そして何かすごい勢いでアリスが食いついている。
「うん。できるできる。幸いまだ文化祭で何するかうちのクラス決まってないじゃん。ちょうどいいと思わない? な? 頼本くんもそう思うだろ?」
「え、あ....まぁ。」
「ほら、頼本くんもそう言ってるし、次のホームルームの時に彼に提案してもらってさ。」
「え? 俺が?」
「何だい。何か文句あるのかい? ん?」
「いや.....まぁ.....おう。」
「ほら、もう頼本くんもノリノリだよ。もうメイド喫茶がやりたくて仕方がないってさ」
「........。」
おい、頼本。こんなこと言うのもアレだけど一回そいつもぶん殴っていいんじゃないか。
前からずっと思っているけど、ほんと何でお前はそんなに田中君に従順なんだ......。
不思議すぎるだろ。周りの奴等もずっとそう思っているはず。謎だ。
「それに山本さんとかもうちのクラスにはいるし、絶対人が集まるって。な、頼本くん。」
「まぁ....それは確かにそうだな。山本のメイド姿......。」
まぁ確かに山本やアリスがメイドをやれば確実に人は集まるな。
今はお手洗いかどこかに行っているのか教室にいないけど。
「え? ほんとにほんとですか? わたし、メイドさんできるんですか?」
「........。」
とりあえず、気がつけばアリスもさっきとは裏腹にものすごく表情が明るくなってる様。
「ほら、間宮くんもやっぱりアリスちゃんとかのメイド姿みたいだろ。」
「え.......。」
って、またアリスがいつのまにか真剣な表情で俺の目を。
「ま、まぁ。」
「ふふ、やったデス!やったデス!ぶんかさい、さいこうです!」
そしてさらにさっきよりも喜びだした......。
え? ってことはこれ、もしかして本当にメイド喫茶する流れ?
「よし、決定。後で山本さんには僕から言っておくよ。これは楽しくなりそうだぞー。おし、行くぞ頼本くん。」
「え、ちょ」
って、田中くん達はいつの間にかそう言ってもう風の様にどこかに消えてしまった。
「.......。」
マジか。
「ふふ、やった。やったです!みんなでメイドきっさでス!」
まぁ、別に悪くは悪くはないんだけど.....。
「.......。」
これはちょっと色々と大変になりそうだぞ......。
うん。
そうか......メイド喫茶か。
もし、そうなったら次の実行員の集まりでとりあえず報告か。
「........。」
ちょっとだいぶと予想外だぞ。これ。
皆でメイド喫茶......。
うん。大変だ。
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