第117話【権力】
よし!よし!よし!
渋谷さん、いや渋谷様が動いてくれることが決定した。
何かを色々と言っていた気もするけど、正直そんなことはどうでもいい。
とにかく今は、俺がドラマに出なくてよくなるのであればそれでいい。
後はもう朗報を待つだけ。
やばい嬉しい。嬉しすぎて柄にもなくさっきから連続ガッツポーズ。
本当に良かった。
だってどう考えてもおかしいからな。
素人の俺がいきなりドラマなんて。
しかも準主役級。うん。普通に無理だろ。
何か一気に肩も軽くなった気がする。
ふふ、明日からはもう田中君たちとあの訳のわからない練習もしなくていいんだ。
危なかった。山本ともギリギリ変なことをせずに済みそう。
もちろんミキともな。
とにかく良かった。ほんっと良かった。
きっと渋谷様のお父様なら100%話をつけてくれる。もう心配もしていない。
本当に後は待つだけ。
確か多分2、3日でケリがつくと言っていたな。あぁ待ち遠しい。
って電話。
「.....。」
って、柊さんとこのおっさんか。
ふっ、今日の俺は気分が良い。
特別にとってやるか。
『はい。間宮です。』
『や、やってくれたね。まさか間宮っちがあの渋谷副会長のご令嬢のお友達とは......』
え?もう話いってんの?
仕事はやっ。
って副会長? やっぱりすこぶる偉い人だったのか。何をしている人かはわからないけど。肩書がもう既にすごい。
さすがとしか言い様がないなこれは。
まぁ俺を騙したおっさんが悪い。
「......」
うん、確か騙された......はず。
まぁそんなことはどうでもいい。
とにかくありがとうございます。渋谷様父。
『沙織なんてその話を聞いた途端にものすごい剣幕で怒り出す始末だよ。普段はそんなわがままを言う子じゃないのに、間宮くんを戻してくれなきゃもうドラマには出ないとかゴネ出したし。どうしてくれるんだ.....間宮っち。前のジェニーズのバックダンサーだって全く意味わからないし。』
柊さんって怒ったりするのか......
『だからさ。今度改めて話し合わないか?間宮っち。頼むよ。何でもするよ?本当に何でもする。』
今度改めて?何でもする?いやもうその手には引っ掛からない。
『いや、すみませんがそういうことなんで。もう俺の意思は変わりません。』
本当に素人がいきなりドラマなんて無理だから。しかも原作があんなに有名な大勢が見るようなドラマに。
『まぁ、でもそうか。あの渋谷副会長の意向に逆らうこともできないしな。く.......仕方がないか。沙織は何とか説得するよ......いやでも。待てよ』
うん。仕方がない。いくらごちゃごちゃ言ってもそれは仕方がない。だってあの渋谷副会長が言うことなんだから。本当に何をしている人かは全くわからないけど、とにかくすごい人が言うことなんだから。
しっかりと説得しておいてくれ。
『とにかく、この件に関してはもう渋谷さんサイドに全て任せていますので僕は関係ありません。後は宜しくお願いします。」
そう。本当に俺はもう何も関係ない。
『ふっ、そうか。もう俺が間宮くんにこの件で何を言っても駄目なんだな。渋谷副会長に交渉の全ては任せていると。はぁ......ほんと間宮くんにはやられたよ。』
『はい。その通りです。』
そしてそれはこっちのセリフだ。
危なかった。本当におっさんに今度こそ騙されるところだった.....。
でも、もう二度と同じ過ちはふまない。
直接このおっさんと関わるのはとにかく危険だ。
あと何でかわからないけど、ちょっと笑ってる?
まぁ気のせいか。とりあえずこれで本当に終わり。
『ではそういうことなんで失礼します。』
『うん。うん。わかった。じゃあねー。間宮っちー』
「.......。」
何だよ。何でそんなに声色が明るく.......。
まぁでも本当にこれで終わり。
よし!
まさかこんなにも早く動いてくれるとは。
本当に感謝しかない。
ありがとうございます。渋谷副会長様。
よし!
バイト行こ。
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