第99話【下校と寄り道】
それにしても今日は朝から本当に大変だったな。
新学期早々かなり疲れた........。
初めてだ。職員室に呼び出しをくらったのなんて。
まぁ怒られなかったけど.......。
むしろ先生からは褒められたっけ。今までが大人しすぎたって。
「.......。」
でも榊、知らない間に早退してやがったな。
あいつのことだからまた俺に何か仕掛けてくるかもしれない。
いや絶対に仕掛けてくるな。
「ねぇ間宮くん。ちょっとゲーセンでもどう。」
「って、ん? ゲーセン?」
ゲーセンか........。そういえば久しく行ってないな。
とりあえず俺の隣には財布の中身を確認しながら歩く田中くん。
さっき、帰り支度をしている俺に一緒に帰ろうと声をかけてくれた。
そして今の俺にその提案を断る理由はもちろんない。
まぁ予定にはなかったけど悪くはないか。そういうのも。
「うん。いいよ。いこうか。」
「う、うん!行こう。すぐ行こう。おおー!まさか間宮くんが了承してくれるとは。」
まぁ今までの俺のことを鑑みればそのリアクションもわからなくはない。
ただ、田中君は文化祭の実行委員になった俺の手伝いもしてくれるみたいだしな。これぐらいは本当に全然付き合おう。
色々と変わるって決めたしな。
_______ってマジか。
「おい、お前ら。ちょっと金貸してくんない?」
ゲーセンに来たとたんにこれか........。
今、俺達の目の前には同年代ぐらいの、いかにもヤンキーっぽいヤンキーが一人。
髪は赤で身長も高くてごつい。
はぁ......とりあえず残念ながら知性は欠片もなさそうだな。
このご時世に赤髪のヤンキーって.......話通じなさそう。
「おい、聞こえてんだろ?出せよ。痛い目みたくないだろ?」
そして気がつけばそう言って田中君の顔に自らの顔を近づけている赤髪。
「って、あ?お前なんだその面。舐めてんのかコラ。早く金だせや!殺されたいんかマジで?おぉ?」
「........。」
確かに何だその表情.........。
俺の視界には何故かすんごく余裕ぶった顔をしている田中君。
「へー?誰が誰を殺すって?」
しかも両手をポケットに突っ込みながら何かそれっぽいセリフまで.......。
おい、どうした。
悪いけど何か俺までそのドヤ顔にはムカついてきたぞ田中君。
おい。
「あぁーお前まじでムカつくわ!全殺しけってーい!」
はぁ.......。
「って、あ?」
本当に今日は疲れる。
「なんだおめぇ!」
それはこっちのセリフだ。
とりあえず田中君に殴りかかった赤髪の拳を右手で受け止めている俺。
って、今度は俺にか。
中々早いけど、これぐらいならまぁ避けれるな。
赤髪は標的を俺に移し替えた様。
「ぐえっ..........」
って、あ。つい条件反射でボディに。
「カハッ.....な、く......何者だおめぇら」
いやマジでそれはこっちのセリフだ。
てか朝も確かこんな感じのことあったよな。
目の前には腹を抱えながら地面にうずくまる赤髪。
あんだけイキってまた一発かよ。
「こ、この俺が.....なんで...こんな奴等に.....う、嘘だろ。」
まだ何か言ってるし。どの俺だよ。
全然しらないぞこんな奴。赤髪だったら普通目立つはずだろうに。
もしかしてここら辺の奴じゃないのか?こいつ。
「おい、お前。人見て喧嘩売れや!次俺らの前に現れてみろ。こんなもんじゃ済まねぇぞ。あぁん?」
って、今度は中指をぶっ立てて何をしているんだ。田中くん。
「く.......本当に何なんだよ一体。」
いや、それもこっちのセリフだ。
一体何なんだ。お前も、田中君も.......。
って、あ。逃げた。
何かよくわからないけど.......もう本当今日は疲れた。
「........。」
やっぱり見た目から変えた方がいいのかな.......。
何回カツアゲされたらいいんだ俺。おかしいだろ
いや本当に。
まぁまた、考えるか。
田中君のことも.....な
_____________________________________
次回、クラスに赤髪の転校生......の予定です。
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