第100話【赤髪の転校生(男)】
ふぅ........さっきから榊の視線が痛いな。
守谷や高砂からも同様にだ。
絶対あいつ等は今日仕掛けてくる。
100%仕掛けてくる。昼休み辺りが妥当だろうか?
まぁ自業自得とはいえ、昨日はかなりの恥をかかせてしまったからな。
プライドだけは人一倍高いあいつ等が、このまま黙っているわけがない。絶対に。
「おはよーさん。皆、いきなりだが今日はまた転校生を紹介する。仲良くするように.......。」
って、え?
また転校生?今年に入って二人目だぞ。
あと、なんでそんなに先生は疲れた顔をしている......。
アリスの時とは大違いだ。すごく適当な紹介。
しかもあまりにも急すぎて周りのクラスメイト達も期待というよりは、ただひたすらにざわついている様。
男か? 女か? どっちでもいいけど、どんな奴だろう........って え?
「うーすっ」
あ、あのいかにもヤンキーっぽい赤い髪って。
嘘だろ?俺は乱暴にドアを開けて入ってきた男の顔にものすごく見覚えが......。
「俺は頼本丈瑠。あーとりあえず前の学校と同様、この学校も俺がシメるから!逆らう奴は全殺し!じゃあそういうことでよろし........」
このイキリかたにも見覚えが......。
ってあ、目があった。
「ん? どうした頼本。」
「い、いやなんでもねぇよ。チッ俺の席はどこだ。」
って、なんだ。その歯切れの悪い自己紹介は。
しかも今度は誰をじっと見ている......ってあぁ。
奴の視線の先には.......田中君。
しかも田中くんは田中くんで何でまたそんな鋭い目つきで奴にガンをとばしてんだよ。
や、やめろ。また面倒くさいことに巻き込まれるぞ。おい。
本当に何してんだ。昨日に引き続きキャラじゃねぇだろ。おい。
やっぱり彼の行動はよくわからない......くっ。
「.......。」
まぁとりあえず先生が疲れた顔をしている理由がわかった。
はぁ.......また面倒くさいのが。
勘弁してくれよ。
_____「じゃあとりあえず朝のホームルームは終わりな。日直、号令。」
はぁ.......そして休み時間か。
何か絶対めんどくさいことになりそうな気が。
あぁ先生、行かないでくれ........。
「おい!お前。頼本だっけ。何かイキってるみたいだけど。ここにはここのルールってもんがあんだ。ちょっと面貸せよ。ん?」
って、先生が教室から出て行った瞬間にいきなり榊が赤髪の頼本のもとに。
というかこの学校は赤髪いいのかよ。駄目だろ。
まぁこのパターンもあるっちゃあるのか。
イキリ同士のぶつかり合い。
「.........。」
とりあえず俺にこれ以上、面倒事が降りかからなければそれでいい。
勝手にやってくれ。
何だろうか。それにしても榊はいつにもまして格好をつけているな。
もしかして昨日のこともあるし、ここでまたクラスメイトに自分の力を見せつけて汚名返上でも図ろうとしているのだろうか。
あと、気がつけば取り巻きの守谷や高砂も奴の後ろに。
はぁ......よくやるよ。
しょうもない。
「あ? お前ら誰よ。ふっ、いきなりか。まぁいい。かかってこいや。雑魚ども。」
「あ? テメェ誰に言ってんだ。コラ。調子のって...え」
え........。
「「「「「............」」」」」」
嘘だろ。また.......?
いつの間にかまた俺に視界には昨日と同様に地面にうづくまっている榊。
ふ、二日連続?
「ふっ、ザッコ。ワンパンで終わりかよ。」
って、今度は守谷や高砂まで地面に.......。
何だこれ。
俺は何を見せられている。
って、また目があった。
やっぱり次は俺か?くそっ
「.........。」
と思ったけどまた舌打ちをして頼本は自分の席へ。
そして足を机の上に載せて偉そうにふんぞり返りながら座っている。
あれ? 来ない。
ま、まあ来ないのが一番いいから良かったんだけど。
うん。
とりあえずもう教室の中は何とも言えない雰囲気に完全に包まれている。
見るからに問題児な奴が現れたこともそうだが、新学期早々に二日連続で地面に無様にうずくまる学校の人気者の存在もでかいのだろう。
本当にちょっと.....榊のことは嫌いだけど。
これは可哀そうな気が.......
今も現在進行形で3人揃って尻を空に向けながらうずくまっている榊たち。
こ、こいつ等、これからどうするんだろう......。
まぁどうでもいいけど。
今日も早退してくれるのなら俺的にはありがたいし。
「.......。」
でも、本当にまた面倒くさそうなのが増えたな。
せっかく変ろうと思っているところにこれか。
「はぁ........。」
色々と大丈夫かな。俺........。
「はぁ........。」
駄目だ。ため息が止まらない。
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