第55話【夏休みへの期待】
結局、テストも無事に終わって答案用紙も全て返ってきたのはいいけれど.......
はぁ.....。
やっぱりケアレスミスが結構あったな。
まぁ......とりあえず今回も一位か。
一応点数も過去最高得点はとれたけど.......
まだまだこんなところで満足している場合ではない。
「ま、間宮くんはまた一位?」
ん?
あぁ、山本か。
「一応、多分。」
「はは、やっぱりすごいね。でも私もかなり点数あがったんだよ。」
そう言って彼女は俺に嬉しそうに微笑んでくる。
「ほんとにありがとう。間宮くんのおかげだよ。」
そんなことはない......。
「いや、山本の頑張りの成果だろ。俺は何もしてない。」
実際に彼女は普通に頑張ってたしな。
ほんとに俺は別に特別なことはしていない。
「ふふ、ありがとう。やっぱり間宮くんは......
「失礼!」
すると目の前の彼女の声を遮るように、唐突にまた別の女性の声が俺の耳には聞こえてくる。
「ふふ、間宮健人。私はまたあなたに負けてしまったようね。」
その別の声の主は隣のクラスの渋谷アリサのよう。
「さすが間宮健人ね。私の点数をあげつつ、自分も過去最高得点をたたき出すとは、さすがとしか言いようがないわ。」
別に渋谷さんの点数があがったのも、渋谷さん自身の力なんだけどな......。
それにこんなにケアレスミスをしてしまっている時点でさすがでも何でもない.....。
「ちょっと渋谷さん、今私が間宮くんと話してたんだけど?」
「あら。ごめんなさい山本さん。私も間宮健人と話したかったの。」
「な、それ理由になってないし。」
「あら、私が間宮健人とお喋りするのに理由なんていらないわ。」
「な、常識的に私が話していたんだから待つのがあたり前でしょ!」
って........また何を騒がしくしているんだ。
「まみやくん。またいいテンスウをとったのですか? ほんとにすごいです。わたしのいえでおいわいをしましょう。」
そして気がつけば笑顔のアリスも目の前に。
「そ、そんな大したことじゃないよ。」
「あ、アリスちゃん。またしれっと。」
「アリスさん。あ、あなたマナーがなってないわよ。」
「それは渋谷さん。あなたでしょ!」
「わ、わたしはマミヤくんとふつうにおはなししてただけデス」
色々とまだ彼女たちの声は聞こえてくるが.........
ほんとに何なんだこれは。
俺の机の周りがこんな風に騒がしくなるなんて数カ月前の誰が想像できただろうか。
俺ですら普通に違和感しかないが、最近は結構な頻度でこのような状況が俺の机の傍では生み出されている。
だから.......榊たちに睨まれるのも、もはや慣れたと言っても過言ではない。
ほんとにあいつ等はめんどくさい........。
でも、ほんとに何で.......。
ほんとに.......。
そんなことを考えているとまた彼女達は俺に向かって口を開いてくる。
「ま、間宮くんは夏休みに何か予定あるの?」
「ま、間宮健人!私にも教えなさい。」
「つぎはイツわたしのいえにこれますか?」
こ、今度はなんだその質問......。
とりあえずバイト......。
ドクマナルドとADのバイトだ。
「バイトだな。」
「そ、そう。また連絡するわ。」
「わ、私も。」
「また、いつでもべんきょうをおしえてくださいね。」
ま、まぁ.....。
とりあえず、とうとう夏休み。
学校には来なくていいし、芸能人にはたくさんあえるだろうし。
最高だな......。
田中君も夏休みが嬉しいのだろう。
さっきから彼もずっと笑っている。
何故かずっと俺の方を向いてはいるけど。
まぁ、とにかく夏休み。
本当に最高だ。
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