第54話【テスト期間】
とりあえず、テスト初日にわからない問題はなかった。
ケアレスミスがなければ満点かもしれない。
今日はもうお昼で帰れるし、どこかで食べて帰ろうか......。
いや、コンビニとかで弁当でも買って家でゆっくり食べようか。
昨日録画したちょっと見たい番組もあるし.......
うん。家で食べよう。
「間宮くん、テストどうだった?」
ん?
そんなことを考えながら帰り支度をしている俺の前には、いつの間にかクラスメイトの田中一郎くん。
「まぁ......それなりに。」
「さすが間宮くんだね。」
そう言って彼は満面の笑みを俺に向けてくる。
い、一体何なのだろうか。
急にその笑顔はちょっと怖い。
「ねぇ、もう帰るんだったら一緒にラーメンでも食べに行かない?」
ラーメン?
え.....?
「い、いや、今日は遠慮しておくよ。」
今までの高校生活でクラスメイトにご飯に誘われたことなんて一度もなかった俺は、無意識に彼に向かってそのような言葉が漏れ出てしまう。
悲しいことに俺の脳は学校でその言葉を受け入れる準備がないのだ.......。
「いや、いこうよ。夏休みのバイトの話もまだ詳しくできてなかったしさ。」
そうだ。確かに田中君にバイトのことで色々と聞きたかったんだ。
でも......
「ね、行こうよ。間宮くん。駄目?」
ここまで誘ってくれているし.......
「う、うん......。行こうか。」
とりあえず.......そう言って声をかけてくれた彼と共に、俺は学校を後にするのであった。
______「間宮くん、ここ美味しいよね。」
「あぁ。」
クラスメイトとラーメンか......。
でも、ほんとに美味しいな。
味噌ラーメンはそこまで好きではなかったけれど、ここのは本当に美味しい。
チャーシューもすごく肉厚だ。
「ところでバイトの話なんだけど。」
そうだ。それが本題だ。
「うん。」
「もうすぐ始まるアイドル番組なんだよ。」
アイドル番組......?
「しかもアイドル対決番組。ちょっと兄ちゃんのことを手伝ってくれるだけで色んなアイドルが生で見えるんだ。」
色んなアイドル.......。
「ゲストもかなり豪華な人たちを呼ぶみたいだよ。それにまた柊沙織とも会えるかもよ?」
俺の前にはそう言ってニヤニヤと笑顔を向けてくる田中くん。
アイドルの他にも豪華芸能人......
「どうかな。間宮くん?」
か、かなり魅力的だが......
それならミキも絶対いるよな。
それはちょっと.......。
でも芸能人........。
でもミキ........。
あぁ........どうしたもんか。
本心ではかなりやりたいけど、万が一ミキに見つかったらまた何かうるさく言われそうだしな。
それに何かあってまたアンチが........。
「ちなみに司会はこの前に修学旅行で間宮くんが聞いていたラジオの芸人だよ。あの毒舌の。」
「やります。」
田中君も言っていたけど、どうせ裏方。
別に彼女も俺がADのバイトをしていることまで気がつかないだろう。
アンチだって絶対そう。
というかあの人が生で見れるなら絶対にやる。
「そ、そうかありがとう間宮くん。お兄ちゃんも喜ぶよ。すぐに連絡入れておくね。」
「あ、ああ。宜しく頼む。」
色んな芸能人が見れるのか。
最高の夏休みになりそうだな。
ドクマナルドとは掛け持ちになりそうだけど、まぁ大丈夫だろう。
「じゃあ、まずは定期テストを頑張ろう。」
「あぁ。」
ほんとに夏休みもすぐそこだし、最高だな......。
あぁ........あの人に会えるのか。
今日もとりあえずラジオ聞こう。
その前に一応彼の言う通り明日もテストだ。
詰めておくか。
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