夏休み編
第56話【夏休み ADバイト①】
お、おぉ、アイドルがいっぱいだ。
す、すごい........。
俺は今、田中君に連れられてある番組のスタジオ収録現場にいる。
そう。夏休みも始まり、とうとう今日が俺のADバイト初日だ。
おぉ......。
あ、あの人は俺が会いたかった........有末さん。
や、やっぱり面白いなぁ。
それに俺の目には他にも見渡す限りの芸能人......
ほ、ほんとすごい。
まぁ、田中君のお兄さんいわく、今日はお手伝い初日だからとりあえず雰囲気を感じて欲しいとのこと。
完全に俺は観覧席にいるお客さん気分になってしまっている。
でも、やっぱりADさんって忙しい仕事だな。
さっきから休みなく皆動き回っている........。
それにまた怒られているし........。
噂には聞いていたが本当に大変そう。
今日の俺は合図があったら笑ったり、観覧のお客さんに記念品を渡すだけでいいそうだけど、もしかして俺も後々あの人達のように.........。
まぁ、でも田中くんが言うには俺達に任せられる仕事は簡単なものしかないみたいだし、大丈夫なはずだ........多分。
まぁ、今日は簡単すぎるけどな......。
それにしても、テレビの裏側ってこんな感じなんだな.......。
へぇー。
というか、アイドルってやっぱりすごいな。
でも.......これだけ人数もいればそれはそうか。
みんな必死だ.......。
そんなことを考えていると俺の耳には昔から知っている女性の声が聞こえてくる。
「私、虫だけはほんと無理なんです~。昔とかも____ 」
「......。」
今、司会に振られて過去のエピソードトークを話している女性は星野ミキ
トップアイドルであり、一応俺の幼馴染......。
そして彼女の発言に、いつの間にかスタジオでは大爆笑が起こっているようだが.......やっぱりすごいな。
ミキは数いるアイドルの中でもやっぱりひと際目立っているようだ。
司会の有末様の力もかなりあるだろうけど......何というかほんとに。
ただ........嘘はつくなよ。ミキ。
お前、虫全然平気だろうが........。
俺の脳裏には彼女が昔バッタをもって俺を追いかけまわしてきた記憶が浮かんでくる。
「ふふ、逆にこう見えて私は虫さんがかなり大好きなんです。」
すると今度は別のアイドルの声も聞こえてくる。
あ........。
その声の方向にいたのは柊沙織
実際に見るのは修学旅行の時ぶりか。
というかやっぱり彼女もミキと同様に目立っている。
さすがトップアイドル。
気がついたらミキと口論になってまたスタジオが爆笑に包まれているし。
やはり彼女たち二人の人気は特にすごい。
この二人の共演.......
多分、視聴率はかなりすごいことになるだろうな。
司会もあのお方だし。
あと、アイドルって裏表激しいと思ってたけど、ほとんどの人たちが僕らにもあいさつしてくれたし、普通に愛想がいい。
実はさっき柊沙織にもあいさつされた。
まぁ、普通に気がつかれなかったけど。
今日はあの時と違って眼鏡とかもいつも通りかけてるし、そのせいかもしれない。
というか普通に俺みたいな一般人なんて、たとえ写真を撮ったあの時の姿であっても覚えてないだろう。
危ない......
うぬぼれるところだった。
あと、ミキもやっぱり愛想がいいな。
昔からそうだったが、愛嬌が半端ない。
田中君のお兄さんも彼女のことをかなり褒めていた。
他のADさんたちも。
でも........思い出したらさっきもバレかけたな。
このままだと彼女に俺の存在がバレるのもまじで時間の問題。
何か対策を考えないと。
色々とうるさく言われるのは勘弁だ。
まぁ、それにしてもやっぱりすごいな芸能人。
さっきから俺は常に興奮状態。
とりあえずありがとう......田中君。
楽しいです.......。
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