第53話【遠距離】
またか.......。
最近こういうの多いな。
『どっちのドレスが私に似合ってるかな?』
その言葉と共に、俺のlineには2枚の画像が送られてくる。
そこには赤のドレスと青のドレスを着た同一の女性が映っている光景。
何て答えたらいいんだ......。
正直、どちらも同じに思えてしまう.......。
ほんと、こういうのは俺に聞いても無駄だってミキが一番知っているだろうに.......。
また返答によっては機嫌が悪くなるんだろうな........。
はぁ......。
『赤』
とりあえず『どっちも良いと思う』という返答は確実に彼女の場合はNG。
なので個人的に好きな色の方を即座に答える俺。
『なんで?』
なんで......? 単純に俺が青よりも赤色の方が好きだから。
まじでそれ以外の理由はない。
ただ、そんな答えを彼女は許してくれないだろう。
まぁ、許してもらう必要もないんだどな......。
『どっちも綺麗だけど、俺は赤色のドレスを着たミキの方が好きだな』
これも特に具体的な答えではないけれど、俺の経験側的にはこの返答がベスト。
なんだかんだで機嫌が悪くなられるのもめんどくさいしな。
すると間髪置かずにまた彼女からはメッセージ。
『そう。じゃあ赤にする。』
セーフか......。
というか何でほんと俺に聞いてくる。
SNSとかで皆に聞けよ.......。
絶対その方がいい。
何のためのフォロワーだ。
そしてそんなことを考えながら一息ついてるとまた、彼女からは次のメッセージ。
『ところで、柊沙織の連絡先.......。ちゃんと捨てた?」
またその話か......。
というか、さっきの話と全然関係ないな.......。
『捨てたよ。しつこいぞ。』
よくよく考えたら、あれはサインでも何でもない只の数字の書かれた紙切れだしな。
それにドッキリ用で使われた偽物。
結局あの後に普通に捨てた。
『それならいいけど。まさか彼女に連絡とかしてないわよね?それで捨てたとかなら話は別よ? 正直に答えなさい。」
はぁ.......、もっとないだろ。
それにあれは偽物だって。
『そんなわけないだろ。ほんとに捨てて終わり。』
というか何でそんなに気になるんだよ......。
万が一してたとしてもミキには関係ないだろ。
まぁ、してないけど。
何度も言うが、例え本物でも怖すぎる。
『ならいいけど』
逆に何が駄目なんだよ.......。
とりあえず、良い時間だし風呂でも入るか。
そう思いながら身体を起こそうとすると、また俺のスマホは震えている。
はぁ......まだ何かあるのか。
お前、確か.......トップアイドルだよな。
何で俺なんかにそんなに.........。
やっぱり病んでんのか?
とりあえず俺はまた自分のスマホをタップ。
「........」
どういう意味だ......。
するとそこには水着姿のミキの画像。
『どう? 柊沙織より私の方がいいでしょ? 世に出回っていない限定物よ。』
そして、よくわからないが猫が爆笑しているスタンプも押されている。
はぁ.......意味わからん。
『ねぇ、見てるんでしょ。無視するなー』
「........」
『おーい』
とりあえず風呂に行くか......。
何故かずっとスマホが震えているが、俺は知らない。
はぁ......勉強もしないとな。
いよいよもう定期テストだ。
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