第52話【苺のお菓子】


 最近、本当に疲れる。

 色んな意味で......。


 あれからも俺は放課後に彼女たち頼まれて勉強を教えている。

 おそらくテストの期間が始まるまでは続くのだろう。


 まぁ......彼女たちに教えることで自分の理解も深まるし、そのテスト期間まであと日数も少しだからそれは良いんだけど。

 本当に精神的に疲れるのだ。


 図書室然りファミレス然り、とにかく周りからの視線とか他にも色々.......。

 はぁ......。


 ただし今日は用事があってチャイムと同時に俺は普通に下校をしている。


 まだバイトには入れないけど、今日はリンリンに会いに行く用事があるからだ。

 というかお土産をに渡しに行く。


 さすがに待ちきれなかったのだろう。

 昨日の夜、俺のlineへと彼女から連絡があった。


 待ち合わせ場所であるいつもの場所へはあと一駅。


 とりあえず彼女が好きなあの苺のお菓子はしっかりと持ってきた。

 リンリンはあと少しで俺がバイトに戻れそう言っていたが、もう戻ってもいいんじゃないだろうか?

 まぁ、テスト期間が終わるまでは別にいいのだが。


 そしてそんなことを考えているといつの間にか俺はいつもの場所に。  


 そう。あの中華料理店だ。


 「おーい、ケント遅いネ。」

 

 あぁ、相変わらず時間にはきっちりしてるな。リンリン。

 まぁ、俺も全然遅れているわけではないんだけどな。


 「ごめん。ごめん。」

 「おー、ちょっとぶりネ。全然いいケド、持って来てくれたカ?」     


 「あぁ、持ってきたよ。」

 それを忘れたら意味がないからな。


 「はい。」

 そう言って俺は修学旅行のお土産である苺にホワイトチョコレートがかかったお菓子を手渡す。


 「わー、やっとネー。ありがとうケントー」

 

あぁ、喜んでくれて何よりだが......


 一旦離れようかリンリン。


 お菓子を手渡したと同時に俺に抱きついてきた彼女に今、俺は身動きが取れない。 


 文化の違いだろうか......。

 やはり彼女はスキンシップが激しい。

 というか、ちょっと力が......。


 「リ、リンリン、一回離してくれ。リンリンの為にもう一個お土産買ってきたから。」

 そう言って俺がリンリンの背中を優しくタップすると、彼女はとりあえず俺から身体を離してくれる。


 「え、なにネ、ナニネ?」

 目の前にはそう言って、また目を輝かせている彼女。


 「これだよ。レーズンが入っているバターサンド。多分リンリン、こういうの好きだろ?」


 「わー!最高ネ、ケント。苺のやつとどっちにしようか迷っていたやつネ!両方くれるのカ? わー、ありがとうネー。ケント大好きネ!」

 

 このお菓子もかなり喜んでくれてなによりだけど........

 もっかい離れようかリンリン。


 気がついたらまた.......彼女に抱きつかれている俺。


 ほんとに.......スキンシップが激しいな。

 彼女の国の人はやっぱり皆こうなのだろうか.......。


 って......え?


 気がついたら彼女の顔が俺の顔の真ん前に。 


「リ、リンリン、ち、ちょっと近くないか.......」

 ほ、ほんとにここまで近いといくらリンリンでも.......


 「ふふ、ケント.......。照れてるのカ?」

 な、何を言っているんだ。


 そ、それにそう言っている彼女の顔も.......赤い。


 「リ、リンリン、ほ、ほんとに近いから離れろ......ほんとに。」

 本当に.......。


 な、なんか最近こんなんばっかり.....。

 心臓に色んな意味で.......悪い。


 「うん。これぐらいで勘弁してあげるネ.......。」

 そう言って静かに俺から離れる彼女。


 ほ、ほんとに何をしているんだ.....。


 「か、勘弁?」

 「そうヨ........。ケントのせいで私もう大変の大変なの忘れたカ?」


 「すみません......。」

 俺のせいではないけれど結果的にリンリンに迷惑をかけてしまっているのは事実なので素直に俺は彼女に謝る。


 「ホント、さおりんとあんなに楽しそうに写真とっテ.......」

 そんなに楽しそうだったか?

 まぁ、もうその話はあんまりしたくない。


 「もう、私以外の可愛い子と写真撮ったら駄目ヨ.......。また皆に迷惑かけるからナ」

 

 言っていることはよくわからないが......

 「はい......。」


 「ふふ、よろしいネ。主任ももうちょっとしたら多分ケントを戻すだろうカラ、また一緒にバイトできるネ。」

 そう言って目の前にはまた満面の笑みを俺に向けてくる彼女。


 「おう......。」

 いつも思うが.......本当に彼女の笑顔は眩しい。

というか愛想がいい。


「じゃあ、チャーハンたべてかえろうカ。ケント!」

 「おう」


 ____そうしてチャーハンを堪能した俺達は笑顔でその場を後にするのであった。


 それにしてもほんとにどうしようかなADのバイト......   


 テストが終われば、ほんとあっという間に夏休みが来てくれるんだろうからな。


 一応もう少しすればドクマナルドにも復帰できそうだし、もう一回、田中君に詳しいことを聞くか。


 まぁとりあえず、まずは目の前の定期テストだな。


 頑張ろう......。 


 あと、リンリン本当に喜んでたな。


 ほんとお菓子好きだな。リンリン。

 

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