第20話【不思議な人】


 私の名前は、アリス・クリスティーナ。


 海を越えて遠いドイツのベルリンというところから親の仕事の都合上、この日本にやってきました。


 実は私、日本の高校はここで2つ目です。


 前の学校でも初めは皆、私のことを珍しがって色々と親切にしてくれました。


 でも私は正直、頭が悪いです......。

 日本語が全然覚えられません......。


 私は皆とは別に日本語の授業もありますが

 全然理解できません......。


 前の学校でも、クラスの皆は矢継ぎ早に色々なお話をしてくれたけど.......。

 結局、ほとんどが理解出来ず、私は笑顔をつくるだけ。

 1日中ほとんど何もしゃべれずに笑顔を返すだけで終わりです.......。


 そうしたら、いつのまにか私に喋りかけてくれる人もほとんどいなくなりました。


 いつも憂鬱な顔をしていた私をみかねたお父さんが学校を転校させてくれたけど、きっと.......今回も一緒。

 

 きっと......。


今、私に色々喋りかけてくれてる皆も気がつけばいなくなっているのでしょう......。

 

 この学校では皆と仲良くなりたいから勉強を頑張るつもりですが自信はまったくありません。

 前の学校でも頑張っていないわけではありません。

 自分なりに精一杯頑張りましたが、現に今も皆が何をいってるかわからないことが多すぎます......。


「困ったら、俺を頼ってくれ」


 皆がよく言ってくれる言葉ですが困っていることをうまく伝えられないのでどうしようもありません.......。


翻訳器機などもあてになりません。

正直、結構あれ、でたらめです。


そんなこんなで、私は不安しかありません。

結局......やっぱり前と変わらない環境になりそうです。


 ただ、前の学校とはちょっと違うところがあります。


 私の隣の間宮くんという男性は1日中のほとんどを自分の机から動きませんし、全くと言っていい程しゃべりません。


 前の学校ではこのような子はいませんでした。


 もしかして彼も皆が言っていることがわからないとか?

 でも見た感じ日本人だし.....。どうしてだろう?


 皆は彼のことをひそひそと「ぼっち」と言いますが、「ぼっち」ってどういう意味なのでしょう?


 勉強の為の教材にも意味が載っていません。


 それに.......間宮くん。

 隣なのに私に一言も話しかけてきません。

 全く興味もなさそうです。


 みんなが私を珍しがって話かけてくれている中で珍しい人です。


 もしかしてやっぱり日本語話せない?


 でも思い返せば、先生とは普通にお話してましたし、それは違うのでしょう。 

 

間宮くん......不思議な人です。

 

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