第11話 反撃
怪獣、怪人、オバケや幽霊。大小さまざまな変なモノたちが倉庫にいる人間たちに襲いかかった。
イクミちゃんを
エレベーターに盗品を積み込んでいた一人は手に持った絵画で頭の大きな宇宙人が両目から発する光線を防いでいた。
巨大なクジラに乗しかかられたもう一人は床の上に大の字になって苦しそうにゼイゼイ息を切らせている。
ただ一人、なにが起こっているか理解できないでいる陰気な黒背広は「なにが起こったというんだ?! しっかりせんか!」と部下のエリをつかんで
テレビの放送局代わりのボクとリトル。そして電波塔代わりのイクミちゃんたち。ボクらは広い倉庫内にいる、つなぎ服たちの頭の中を
アキちゃんと福塚君が
そして、その騒ぎの最中に突然それは起こった。頭に
*
「イクミちゃんは?!」
そういえば非常ベルも鳴っていない。ボクは
「あの黒い背広のやつに……」
大森君が顔を向けた階段下には誰もいない。ボクは近くにある渡り廊下まで素早く移動すると大きな吹き抜けから階下に目を落とした。
そこでは世界がひっくりかえっていた。
「しまった! おい、リトル! リトル!」
しかし、リトルからの応答はない。電波塔代わりの人間が増えたために起こった放送
ボクたちから漏れ出た
小さな妖精が踊っている様子を楽しそうに見学しているグループや野生動物の群れと鬼ごっこをしている子。ティラノサウルスと巨大ザメ・メガロドンのあり得ないプロレスをあんぐりと口を開けて見つめる引率教師の横では、ヒラヒラと空中を飛び回っている三葉虫を捕まえようとピョンピョン
とにかくボクは考えるより行動した、頭の中でリトルを呼び続けながら。そして廊下の壁に埋め込まれた非常ベルまで走りっていくと、そのスイッチを勢いよく引っぱった。
耳をつんざくけたたましい騒音がジリリリリーっと館内に
『うっ…うぅーん……』
送信が
「あそこだ!」
大森君は、
「黒背広め、イクミちゃんを人質にして自分だけ逃げるつもりだ!」その様子を確認したボクに『うん……』と寝ぼけたようなリトルの声が返ってくる。なんてことだ。力を使いすぎたんだ。でも……。
「先回りしてイクミちゃんを助けるぞ。手を貸してくれ、リトル!」
ボクの声に反応するように、リトルが頭の中で博物館のパンフレットを目まぐるしいスピードで調べるのが感じられた。そして、いつものようにすぐさま計画が立てられ、実行に移される。
非常ベルの下にすえつけてある消火器を廊下の
「ボクらなら大丈夫だよ!」
『ボクらなら大丈夫だよ』
ボクとリトルは同時にそう叫ぶと、眼下に小さく見えるトラックの屋根を目がけ、大声を上げて飛び降りた。声を出したのは落ちていく怖さをごまかすためだ。
着地と同時に肺の中の空気が
ボクはガニ
「ごほっ、ごほっ。なんだこれ?」
駐車場は白い煙に覆われていた。それは火事の煙じゃなく、火事を消す煙だった。ボクらが窓に投げた消火器が落下のショックで
ほっと
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