第9話 博物館へ
窓の外を流れてゆく景色は味気なかった。窓際にポツンと一つ空けられた席。ほんとなら
前の席から振り返ったイクミちゃんの顔のはるか前には、こちらに視線を向けた、ちえ子先生がいる。先生はバスガイドからマイクを
「今日の海外秘宝展が、学校で貸し切り見学できるのは、関係する人たちの
ボクと先生の視線が
「その人にお会いしたら、みんなでお礼を伝えましょう」
今回、
まったく単純なんだから……。
「ボクらの気も知らないでさ。なっ、そうだろ……」
そこまでささやいて、ボクはふと口をつぐんだ。
*
博物館の広い駐車場は、ボクら見学の小学生が乗ってきた大型バスが3台。そして数台の車とトラックだけが停まっていた。
ボクら小学生は、駐車場で出迎えてくれた
2階建ての館内は吹き抜けがあり、野球場が、すっぽりと入ってしまいそうなほど大きくて広かった。そして
海外から集められた絵画や彫刻が展示されている
『モトヒコ』
「なに?」
『いや、なんでもない。たぶん、気のせいだ……』
いつものボクなら、もっとくわしく聞こうと
正直、苦しかった。なんとかしたかった。なんとかしようと思えば、すぐに、なんとかできるはずなのに……きっとリトルもボクと同じで、お互いに歩み寄るきっかけを探してくれていたはずなのに。なぜつまらない意地を張っっちゃったんだ。
でも、次の会話のきっかけはすぐにやってきた。リトルが気のせいだと思っていたことが、気のせいではなかったからだ。
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