ReView://■3――識別コードA-037・060

六花「私たちの記録かぁ。どんなことが書いてあるんだろうね、みーちゃん」


三七守「なんだかどきどきします……」


九重「ふむ、十一月……丁度清星節の少し前あたりですか」


八刀「そういえばその頃だったっけ。貴方たちがそのマフラー編み始めたの」


六花「懐かしいなぁ。最初は私もみーちゃんも、お互いに知らずに作ってたんだよね。さっすがみーちゃん、息ぴったりだ」


三七守「六花ちゃん、一昨年の冬は大変なことになってたから……なんとかしなきゃ、って思って」


八刀「そういえば低体温でぶっ倒れたことがあったっけ。……地味に貴方も苦労してるのね、六花」


六花「えへへ。でも、みーちゃんと二人なら怖いもんなしだよ」


九重「それにしても、お二人ともお揃いのマフラーというのは羨ましいものですね」


三七守「八刀師匠がしっかり教えてくれたから、できました」


八刀「もう二度と勘弁よ……。貴方の手先の不器用さ、芸術的だとすら思うわ」


六花「褒められてるよみーちゃん」


三七守「えっ、えっ、そうなのかな……?」


八刀「褒めてない」


九重「それにしても、八刀さんの手先が器用なのは知っていましたけど――こういう作業も得意だというのは意外でした。誰かに習ったのですか?」


八刀「……別に。下の子たちのとれたボタンを直したりとかしてたら、いつの間にかこういうのに慣れてたのよ」


三七守「やっぱりすごいです、八刀先輩」


九重「いいお嫁さんになれそうですね、残念ながら私ほどではないですが」


八刀「突っ込まないわよ。……にしても、話は変わるけど三七守と六花、貴方たちって仲いいけど喧嘩してることも多いわよね」


六花「そうかなぁ。……そうかも」


三七守「わたしがつい、六花ちゃんに言い過ぎちゃうことがあって」


六花「そんなことないよ、みーちゃんはいつも私のこと心配してくれてるだけだもん。私の方こそいつも、みーちゃんの気も知らないで勝手に突っ走っちゃって」


三七守「そんなことないよ」


六花「そんなことあるって。この前だって」


三七守「あの時は違うでしょ。もう、六花ちゃんってば……!」


八刀「はいそこでストップ。貴方たちが仲良しなのはよーーーーーーく分かったから」


九重「喧嘩するほど仲がいい、とはよく言ったものですね。私ももう一歩親密になるために、先生と喧嘩でもしてみればよかったでしょうか」


八刀「多分あの人、貴方と喧嘩になんてなったらとんでもなく凹むわよ。顔には出さないでしょうけど」


九重「ですよねぇ。全く、困った人です」


     *


九重「それにしても、『体調管理も兵士の仕事』ですってよ、八刀さん」


八刀「……う。ええ、そうよ。私だって流石に、ちょっと反省したんだから」


九重「よーしよーし。八刀さんはちゃんと、失敗から学べるいい聖女ですね」


八刀「こここここ九重!? 頭撫でるとかやめてよ!? 一応私、貴方より年上なんだからね!?」


九重「おや、ご迷惑でしたか。申し訳ありません。四月よづきさんの悪癖がうつりましたかね……」


八刀「いや、迷惑じゃないけれど! むしろもっとやってほしいくらいはあるのだけれど! でも一応私も年長だからなんというかこう、その……」


九重「そんなに肩肘を張らなくたっていいと思いますよ。まだまだ皆、子供なんですから。貴方も、私もね?」


八刀「…………うん」


六花「ところで、やっちゃんさー」


八刀「わ!? いきなり声かけないでよ六花! ……どうしたの?」


六花「いや、ふと気になったんだけどさ。この時やっちゃんが作ったぬいぐるみ、あったじゃん」


八刀「な、なんのことかしら」


六花「く―先輩にめっちゃ似てたやつ」


八刀「そういえば、そんなものも、あったかもしれないわね」


九重「そういえば、お上手でしたねぇ。すっごく作り慣れてる感じで」


八刀「ぎくっ!」


六花「あれ、作り方教えて欲しいなーって。みーちゃんと一緒に、お揃いで作りたくて……ってどうしたの、やっちゃん? なんか顔色悪いけどだいじょぶ?」


八刀「え、ええ。なんでもないわ。そうね、作り方。分かった、今度教えてあげる」


六花・三七守「「やったー!」」


八刀「(……言えない。こっちに来てからもつい作りすぎて、部屋にぎっしり飾ってあるなんて言えない)」

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