ReView://■1――識別コードA-009
九重「いやぁ、少しばかり気恥ずかしいですねぇ。先生とのらぶらぶトークをこうして皆さんと一緒に読むというのは」
六花「……らぶらぶ?」
八刀「すごくそっけない記載に見えるけど」
九重「分かってませんね、八刀さん。確かに一見そうですが、行間には先生から私へのそりゃあもう熱い思いが秘められまくりじゃないですか」
六花「そうなんだ」
八刀「まあ、そういうことにしておきましょ……」
九重「『月がきれいですね』。懐かしいですね、そんなことを言ったこともありました」
三七守「なんだか、素敵です」
九重「三七守さんは見どころがありますね。……貴方なら、この言葉を誰に言いたいですか?」
三七守「えっ!? あ、そのっ、えっと……六花ちゃん、かなぁ」
六花「私もみーちゃんだなぁ。『好き好き大好きちょー愛してる』!」
三七守「えっ、えっ!?」
八刀「この子はもう、何も考えずにこういうことを言うから怖いわ……。それにしても懐かしいわね、『箱庭』の温室庭園。だいたいいつも貴方の専用スペースみたいになってたし、その貴方がいつも夜モードで設定してたから、下の子たちとかは怖がってあんまり近寄らなかったっけ」
九重「おや、そうだったんですね。それは悪いことをしたかもしれません」
三七守「……そういえば九重先輩、『箱庭』にいる時って普段は何をしてたんですか?」
九重「そうですねぇ。だいたい一日中温室庭園でお茶して、お昼寝して、たまに図書室で暇潰しの本を仕入れてきて、また温室庭園に戻ってきて、って感じでした」
八刀「猫みたいな生活サイクルね……」
六花「にゃんこ先輩だ」
九重「にゃぁ♡」
六花「にゃー!」
八刀「脳が溶けそうな会話を始めないで」
六花「あ、『舞踏する死神』。くー先輩のこの二つ名、かっこいいよねー」
九重「私としては少しばかり物申したいものがあります。てっきり戦場で舞うように
戦う私の華麗さを表現したものと思っておりましたのに……まさかこんな血生臭げな由来だったとは」
六花「まぁまぁ。……私とか、二つ名つくならどんなのがいいかなー」
八刀「『頭からっぽで素早い』」
六花「それ悪口じゃん! みーちゃんみーちゃん、なんかかっこいいの付けてよ」
三七守「ええっ!? ……あー、うー、んん……えっと。『金色の疾風』……とか」
六花「あ、なんかかっこいい。みーちゃんナイス! 今度からそれで名乗っちゃおうかな」
八刀「どこで名乗るのよ。……それにしても先生。当たり前だけどこの頃からもう、私たちを――いえ、九重のことを、処分するようにって言われてたのね」
九重「不器用で、優しい人ですから。私がこんなにもずっと言い続けていたのに、結局私のこと、殺してくれませんでした」
六花「でも……ある意味そのおかげで、私たちは今ここにいるんだよね」
三七守「……うん。色んなことがあったし、悲しいこともあったけど、それでも、わたしや六花ちゃんや、他の子たちがこうして生き残れたのは――九重先輩と先生のおかげ」
九重「……全くもう、この子たちは。そんなことは、ないですよ。貴方たちが今生きているのは、貴方たちがしっかりと前を向いて歩くことを決めたから。私や先生は、せいぜいほんの少しだけ、お手伝いをしただけです」
六花「そうなの、かな」
九重「ええ、そうですよ。先生もここにいたらきっと、そうおっしゃると思います」
八刀「その前に勝手に端末を覗き見してることを注意してくると思うけど」
九重「……もう、八刀さんってば」
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