第83話 ウェット・プレイス 初めて

 俺は雪奈とティアを部屋に呼び出した。


「お兄ちゃん、お話しって?」


「勘違いだったらごめん! 俺さ、2人に好かれてるって思ってる。だけど、色んな理由付けて逃げてた。今日は俺の気持ちを知って欲しい、だから呼んだんだ」


 真剣さを察した雪奈とティアは、ベッドに座る俺の横に分かれて座った。


「ティアちゃん、聞きましょう」


「そうだね、お兄ちゃん……ゆっくりでいいから話してね」


 俺は2人の気持ちに決着を着けるべく語り始めた。


「雪奈が元の世界で俺という枷に悩まされないように、俺は選択肢を増やそうと思った。そしてそれはティアにもそうするつもりだった。


 雪奈は無能だった俺を見捨てず癒してくれた、ティアは俺が1人の時に寄り添ってくれた。雪奈がいなければ、俺はあの家で犯罪を犯してたと思う。ティアがいなければ、俺は高レベルダンジョンに自暴自棄でアタックしてたと思う。


 2人の笑顔と優しさに救われたし、それ以上に俺は2人のことを────女性として愛してる」


 2人は涙を流しながら俺の手を左右から握っている。


「でも、どちらも選べない俺はクズだ! 俺には、どちらかを選ぶなんて──ッ!?」


 ──チュッ!


 俺に最後まで言わせないように、2人は俺の頬にキスをした。


「雪奈お姉ちゃん」「ティアちゃん」


「攻略成功ですね!」「攻略成功だね!」


 俺は唖然とする……俺のクズ発言に見限られてもおかしくなかったし、下手すればビンタの1つも覚悟していた。もう曖昧なのは嫌だったからそれをさらけ出した、悔いはなかった。


 なのに彼女らは左右からキスをした。何故?


「兄さん、どちらかを選ぶことが辛いのなら、両方取ってしまえば良いのです」


「そうだよ、お兄ちゃん。ここまで来てどちらかが選ばれないなんて、悲しいよ」


「私は兄さんを1人の男性として愛してます」


「お兄ちゃんのこと、私も愛してるよ」


 こんな俺のことを2人は両方選んで良いと言った。クソッ! 俺はなんて幸せなんだ……うぅ、室内で雨なんか降ってんじゃねぇよ……。


「あ、でも私はティアちゃんも妹だから受け入れるのであって、他は許せませんからね?」


「え? お兄ちゃん、他って? まさか秒で浮気するつもりなの!?」


 俺は涙を拭きながら、夕方マルグレットさんと話した内容を事細かに伝えた。


「ぐぬぬぬぬ……現状はそれしか発言力を得る方法は他にありませんね」


「仮なら……ギリギリ堪えられる、と思う」とティアが言って2人ともジト目を向けてくる。


「俺の、その……恋人は二人だけだよ……」


 2人は目を合わせたあと頷きあって服のボタンを外し始めた。


「え? ちょっと待って! 何するつもりだ?」


 すでに下着だけになった雪奈が言った。


「ナーシャさんとの仮婚約を許す代わりに、恋人としてのレベリングを要求します」


「え? ちょ──」


「お兄ちゃん、観念して私達を可愛がって!」


 ドサッ!


 部屋の蝋燭が揺れる。押し倒された男に2人の女が半裸となって迫っている。兄は瞬く間に服を剥がされてパンツ1枚にされてしまった。


「まずは私から──ん、ちゅ……ちゅっ、ちゅむ……ちゅぱっ、ちゅ~」


 ソフトキスから始まり、ディープキスに変わった辺りで拓真も興奮し始めた。舌と舌を絡めてより深くリップ音を鳴らす。


 実の妹からの接吻は酷く背徳的で刺激的だった。


 そして雪奈は唇から離れて首筋にキスを始める。入れ替わりにティアが口を塞ぐ。ティアは雪奈に負けじと開幕から舌をいれてくる。


「おにい……ちゃん──ちゅ、ちゅ──」


 俺はシーツをぎゅっと握っていたが、快楽物質と脳内スパークで理性は本能へと変わり、気付いたら手が2人の胸を触っていた。


 水色のブラをしている雪奈、ティアは緑色で2人ともとても立派なモノを持っていた。しかも、ブラ越しとはいえ揉まれれば感じるらしく、揉まれる度に嬌声が漏れていた。


 そして、興奮が最高潮に達した2人はおもむろに腕を後に回してカチッとそれを外した。途端に、濁点マシマシな擬音が聞こえ、その姿を兄の眼前へ晒した。


 事故で触ることは何回かあったけど、直に見るのはこれが初めてだ。雪奈はツンと少し上を向いており、ティアは綺麗な丸型だった。


 触れた感触から雪奈は弾力性に富んでおり、ティアは柔軟性に特化していた。2人はベッドに膝立ちになり、ゴムボールのようなそれを少し揺らしながら近付いてくる。


 そして俺は、2人に最後の確認の視線を向けた。


 彼女達は互いに頷き、2人の影は俺の影へ重なりあった。最早誰の体かわからないほどに絡み合い、交じり合い、水音を立てて全てを脱ぎさった。


 彼女達の間で取り決めがあったのか、最初は雪奈だった。いざ実食! というところで7回ほど失敗した。


「兄さん、ここです」そう言って助けてくれた雪奈に感謝しつつ、進んでいった。


「──いッ!?」


「大丈夫か?」


「え、ええ……思ったほどではありませんね。できれば一気にお願いします」


 ズンッ!


「──あ、ああああああッ!?」


 雪奈の絶叫に驚いた俺は心配になって声をかける。


「雪奈!? 大丈夫か?」


「ごめん、なさい。多分ですが、相性が良すぎます……秒で降りてきてます」


 んなバカな! と言いたいが、実際輪っかのような物にぶち当たったので事実なのだろう。そして再開して5分足らずで俺は果てた。


「……はぁはぁ、兄さん。次はティアちゃんです……私は、休みます……」


 そう言って雪奈はベッドの端に移動して眠りについた。


 入れ替わりにティアがベッドの真ん中に来て、両手を俺に向けた。


「お兄ちゃん、来て」


 未だ衰えることを知らない俺は、自転車に乗りたての子供のように元気だった。


「いくぞ──フンッ!」


 ドチュンッ!


「──あ、かはぁっ!」


 目に涙を溜めたティアは怒りながら胸板を叩いてきた。


「セツナお姉ちゃんと一緒にしないで! 私はゆっくりが良かったのにぃ! ぐすん、痛かった……」


「ごめん、ゆっくりするから」


「うん、お願い」


 雪奈は引きずられるかのような吸引力、ティアは包み込んでゆっくりと締め上げるタイプだった。しかも勇者のための種族は伊達ではなく、俺に対応して形状が変わっていた。


 ──ゆっくりと往復し、速度を徐々に上げていく。


「んぁぁぁぁぁぁンっ!! す、凄いぃぃ! ──ッ!?」


 嬌声が室内に響き渡り、その数分後に同時に果てた。


 ☆☆☆


 3人は川の字になってトークを始めた。


「私、癖になりそうです」


「うん、もっと早く経験したかった。お兄ちゃんはなんか苦しんでるけど……」


「当たり前だ……倫理が崩壊したんだぞ? 結構後から来るやつだからな?コレ」


 俺の言葉に両脇の美女は微笑んでぎゅっと俺に寄り添った。


「でもさ、突破しちまったからか──清々しさもあるな」


「うん、幸せだね」


「初めてが3人っていうのも特殊でしたが、私達にはむしろお似合いなのかもしれません」


 改めて俺は思う、両脇に寄り添う彼女達と俺を助けてくれたこの世界に住む人達の幸せを守りたい、そう願って眠りについた。

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