第41話 そうだよね

 不自然なのだろう…

 彼女に会うためには金がいる。

 恋人という関係は望んでない…望めない。


 でも…彼女にとって特別な存在で在りたいとは思う。

 でも…彼女にとっての特別な存在とは、よく指名してくれる客のことであり、店を通さずに会って金をくれる人のこと。


 昔の僕はそうだった。

 でも今は…


 客と言うには繋がりが細い。

 普通かそれ以下の価値でしかない。


 何年も、そんなことをしているから、メールで付き合ってくれているだけ。


 よく解っている。

 面倒くさい客なのかもしれない。

 そう思うとメールすることすら躊躇う。


「ただの客に過ぎないから…」

 そんな僕のメールに

「確かにお客だけど、なんか違う…なんだろうね、この関係」

 そんな返信があった。

「金払って逢っていても、なんか悲しくて、逢えなければツラくて、風俗嬢として見れなくなって…たまにでいいから普通に逢って、自然に抱いてみたかった」

 そんなメールに

「そうだよね、こんなことしてるから、いつも病ませて…」

「謝らなくていいよ…ただ僕が好きになっただけだから」


 そう、僕が勝手に想いを募らせているだけ…

 今までも…そして今年も、彼女は僕の誕生日すら覚えていないのだから。


 僕に向ける気持ちなんてないのだ。

 解っていても…ただ逢いたくて…


 愛する人に逢って…悲しいなんて

 愛する人に逢えなくてツライ…どちらがマシなのだろう?


 比較する意味も無い…逢っても、逢わなくても切ないのだから。

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