第35話 無知の幸福

 知らねば欲することはない。

 知れば欲しくなる。

 知的障害者という人達がいる。

 時々、思うのだ。

 あれこそ、本来の人間なのではないかと…

 彼らは、楽しければ笑い、恐ければ叫ぶ、悲しくなれば泣く…。

 それは当たり前のことなのだ。

 僕は、ソレを我慢する。

 それは知恵なのだろうか?

 知恵とは苦痛を伴うものなのだろうか?


 もし…人が知恵を捨て去れば、ココはエデン足るのだろうか?

 知恵を得て追放された、ココはどこなのだろうか?


 エデンにも知恵無き者を縛るルールはあった。

 知恵は更なるルールを必要とした、生きるために…。

 ニルヴァーナ、無我の境地、解脱…すべて知を捨てることではないだろうか、僕らは戻りたがっているのではないだろうか?


 楽園か、知恵か…

 僕らには何が必要なのだろう?

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