第32話 弱さと優しさと上辺の強さ

 僕は弱い。

 とても臆病で、本当は誰とも接したくない。

 でも誰かに話しかけられると嬉しくて…そんなことで此処に居ていいのかな?と勘違いする。


 僕は優しくはない。

 誰かの傲慢を許せないし、誰よりも強くありたいと思う。

 それは自分の力を誇示したいだけなのだと思う。

 己が一番、傲慢だと知りながら、ソレを嘆きながら、ソレを抑える術を知らない。


 他人は言う。

 何処に行ってもオマエは上手くやれるから羨ましい。

 怖いモノなんて無いんだろ?

 何でも知ってるね。

 頭いいんだね。


 そんな人間いるわけがない。

 誰よりも不器用だから、僕は何処かに行くときには、知識を仕入れていく。

 誰かと会う時には、会話の練習をする。

 会話のパターンをいくつも想定する。

 そうしないと…誰とも会えない。


 僕は臆病なだけだ。

 臆病だから、圧には、それ以上の圧で返す。

 強いわけではない…怖いモノより恐くならないと僕は生きていけない。


 止められない…止まらない…

 もう…自分が解らない。


 臆病で空っぽの僕を誰も知らない。

 知ってほしいと思う。


 強さって…自分の弱さを曝け出せることだと知る。

 僕には出来ない。

 だから…僕は弱い。


 誰よりも弱い。

 空っぽの僕には何もない。


 何も無い自分が誰よりも怖い。

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