第31話 声は、あまりに無力で…
届かぬ声は、あまりに無力で、それは音でしかないと知ると、その現実は重く…重く…心に募る。
振り絞る声は、喉に張り付いたまま。
ツライ思いは痛みを伴うようなる。
かすれるほどに、彼女の名前を呼んでみる。
幾度叫べば、届きますか?
思いは募れど、声は空に消えるだけ…募ることなく、ゆえに届くはずもない。
僕の声は、あまりに無力で…「逢いたい」の一言が届かずに、涙を濁らせる。
くすんだ声が涙に混じり、濁った視界に、アナタは見えず、盲人と変わりなき身、歪んだ世界で、ただ…ただ彼女の名を叫ぶ。
届きますか?
もしも、届いたら…受け取ってもらえますか?
醜い身体が震えて、かすれた声が途切れて眠る。
僕は、アナタに何を伝えたいのか解らない。
僕は、アナタに何を届けたいのは解らない。
解らないから…今日もアナタの名を叫ぶ。
伝えられない言葉にカタチはない。
言葉は思いを乗せて、伝わって…はじめてカタチを得る。
僕の言葉は質量を持たない。
今夜も闇に消え入る言葉よ、せめて大気に満ちて滅せ。
全てを呪うように…
染み入る呪いよ、アナタに届け…。
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